UNIDOTS 「SHIKISAI 2018 ー四季彩、或いは四奇才の色彩ー ~冬編~」

UNIDOTS(ユニドッツ)が渋谷eggmanにて2マンライブ「SHIKISAI 2018 ー四季彩、或いは四奇才の色彩ー ~冬編~」を行い満場のなか大成功を収めた。
このシリーズは2018年を通し春夏秋冬の年に4回、同会場にて2マン形式で行われてきたもの。3月の春編ではシナリオアート、6月の夏編ではチアキ(ex赤い公園)、9月の秋編ではLOCAL CONNECTを迎え、このクアイフとの冬編を含め全公演をソールドアウトさせてきた。

Koji Nishida (nirnor inc.)


UNIDOTSは瑞葵(Vo)とコンノツグヒト(Ba)によるユニット。2016年1月に活動を開始し、2017年夏には初の東名阪ツアーを行う。また、同年11月の初のeggmanワンマンはソールドアウト。しかしながら、これまで一切の音源等のリリースはされていない。
瑞葵の神秘性を帯びた部分や伸びやかで艶やかな歌声に加え、バンドサウンド+同期によるフレキシブルなサウンドも魅力的な彼ら。エレクトロやトレンド、逆に80’s感覚やファンキーさ、歌謡性や哀愁、色気や感情移入たっぷりの歌も魅力的だ。

Koji Nishida (nirnor inc.)


この日の相手はクアイフ。昔から信頼し合っている公私共に仲の良い、ギターレスの3ピースバンドだ。
そのクアイフは、この時期にぴったりな「snow traveler」からライヴをスタート。ここではないどこかへと誘う。4つ打ちのダンサブルさが特徴的な「Wonderful Life」が躍動感を場内に寄与し、“会いたい!!”との愛しさが溢れた「さよならライアー」、また、「Re:Answer」では、曲が進むにつれ情景や重ねた想いが徐々に広がり強くなっていく感覚をおぼえた。
中盤では、「Clock hands」が会場各所にかけがえのない無数の笑顔の花を咲せると、後半も「ピラミッドを崩せ」が会場をぐいぐい惹き込み、「meaning of me」の際にはライブがストレートに走り行くのを感じた。また、「organism」に入ると、渦巻くサウンドが会場を独自の世界観へと巻き込み、ラストは大切な人に想いを伝えなくちゃの気持ちをしっかりと込めて「愛を教えてくれた君へ」が贈られた。

Koji Nishida (nirnor inc.)


対してUNIDOTSは、各曲毎に全く違った景色や光景、歌物語を展開していく。オープニングの「白昼夢」にて伸びやかな歌声を広げていく瑞葵。5弦ベースを多様に扱うコンノを中心に、ギターに木下哲、ドラムのUのサポート陣を交えたバンドサウンドは、ソリッドなのだが、ラップトップからのメロトロンの音色がノスタルジックさを醸し出し、独特の世界観を作り出していく。対して「バスルーム・リフレクション」ではエレクトロの要素が飛び出し、「神様の言うとおり」では、これまでの抽象性から写実的な情景感へと移り変わり、合わせて瑞葵の歌声も伸びやかに広角に拡がっていく。またトレンド路線の「狐の嫁入り」では、コンノも時折スラップを交え、対してどこかあえて無機質でクールさを演じ歌う瑞葵の姿には興味深いものがあった。
中盤からは彼らの特性とも言える歌謡性も現れ出す。歌詞も歌謡曲的な「舗道に咲いた花」では、艶っぽい面も伺わせ、ハンドマイクにて歌われた「渇き」では、歌に乗せた切ない本音が場内に響き渡っていった。
後半は躍動的な楽曲たちが目立った。バウンス部分が特徴的な「sayosigure」が会場をハネさせると、「裏街道ハイウェイ」ではファンキーさが楽しめ、最後は、まるで大海に行き着くように「あなたは嘘つきだ」が、伸びやかにじわじわと生命力を取り戻すかのように会場内に広がっていった。

Koji Nishida (nirnor inc.)


アンコールは2曲。クアイフ森がステージに呼び込まれ、用意されたキーボードを弾きながら2人+コンノのベースにて「冬がはじまるよ」が厳かに歌われ温かい気持ちにさせてくれた。
そして、木下、Uも再びステージに呼び込まれ、「新しいスタート地点に向かいます。もっと大きく羽ばたくために、今後もみなさんついてきてください」と、最後は「僕らの終着点」が力強く、会場を一緒に連れていく気概と意思、決意と覚悟を現したかのように突き進んでいく。歌い終えると瑞葵の深々としたお辞儀を残し4人はステージを去った。

Koji Nishida (nirnor inc.)


これまで正式な音源を出していないUNIDOTSだったが、初のMV「舗道に咲いた花」がこの日、終演後スクリーンにて上映された。YouTubeでも既に公開中なので是非ともご覧いただきたい。
加えて2度目のワンマンライブとなる『孵化』を3月3日に渋谷WWWにて行うことも発表された、この日。その孵化を経て、新しく美しいハネを広げた彼らが雄々しく飛び立っていくその姿へと想いを馳せさせてくれた一夜であった。

文=池田スカオ和宏 

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