車の中で音楽ライブを楽しむ、万博記念公園でドライブインコンサート オフィシャルレポート

 トップバッターのビッケブランカは1曲目「Shekebon!」から観客からのパッシングを煽り、フロントガラスをのぞきこむように右へ左へとステージを巡る。テンションのピークを早々に高めると、「Little Summer」「夏の夢」とサマーチューンを続けて投下。さらに、8/19に発売したばかりの新曲「ミラージュ」ではシリアスでひりつく感情を歌に込め、多彩な歌声で魅せる。多幸感に満ちあふれていたり、刹那的だったりと、唯一無二の音の個性に観客は窓から大きく手をふって応える。ライブ後半は「(パッシングで光る)景色がキレイ! もっとテンションを上げていこう!」と、「ウララ」でステージを降りて、フェイスシールドを装着し、車が並ぶ会場へと走りだすと、車の後部に次々とサインを書き込んでいく(もちろん、観客がOKを出した車のみ)! 観客が車に乗車し、ソーシャルディスタンスをしっかりと守っているからこそできる、通常のライブでは絶対にできない嬉しいハプニングに会場は大興奮。ラスト「Ca Va?」まで一瞬の緩みもなく、怒涛の展開で突き進んでいった。

 夜になると「太陽の塔」がライトアップされ、昼間とは違った迫力のある姿を見ることができる。普段は公園閉園後に立ち入ることができないので、間近で塔を眺めることできるのもこのイベントがあってこそ。ステージチェンジの合間に塔を記念撮影する人も多い。

ドライブインコンサート

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 3日間のイベントを締めくくるSKY-HIは「Sky’s The Limit」からダークな雰囲気を纏い会場に睨みを効かせると、艶っぽさも打ち出した「Simplify Yourlife」や「Persona」で全身から攻撃的なリリックを打ち込むなど、初っ端から緩急をつけた高速ラップを休むことなく次々に繰り出していく。喜怒哀楽すべてを詰め込んだリリックやライムは滑舌の良さもあって、一言一言が鋭利に心に差し込んでくる。観客のテンションの高さはパッシングの多さで一目瞭然だが、その数の多さに思わずSKY-HIが「バッテリー大丈夫?」と心配の声が出る一幕も。MCでは生のライブができたことに感謝しつつ、コロナ禍で改めて音楽の在り方について考えたと語る彼。「この曲をやるためにここに来た」と、4月に多くのアーティストとのセッションで生まれた「#Homesession」で“今”の思いを歌いあげる。夜空の下、ビッケブランカとともに共作した「Over the Moon」を、この日の共演者でもあるビッケブランカを呼び込んで、2人で披露すると、観客からの歓声代わりのパッシングが止まらない瞬間も。その後もアドリブたっぷりのラップやバンドセットでのダイナミックなサウンドの中での迫力ある歌唱など、全18曲を走り抜けステージは終了。

 3日間、全てのアーティストが普段とは違うライブスタイルの中、全力のパフォーマンスで楽しませてくれた。ドライブインならではの楽しさや発見もあり、生のライブとはひと味違う魅力も感じ取ることができた。「ドライブインコンサート」は「コロナ時代」の新しいライブスタイルとして広まるのか、今後の展開に注目したい。なお、イベントの模様は有料での事後配信も実施される。

文:黒田奈保子
撮影:Akihide MISHIMA

Grand VIEWTY2020 Drive In Concert期間限定事後配信(アーカイブ配信)

配信日時:2020年8月26日(水)12:00〜2020年8月31日(月)11:59(3日間分全て)
配信チケット金額 :2,500円(税込)
販売期間:8月24日(月)0:00~8月31日(月)10:00
チケット受付ページURL : https://up.auone.jp/articles/id/80737

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