THE YELLOW MONKEY、幾多の思い出を積み重ねてきたバンドの聖地・横浜アリーナに新たな歴史を刻んだ一夜

THE YELLOW MONKEY

演奏が一息つくと、会場は長い拍手で包まれ、横浜アリーナという会場は、90年代後半にバンドがロンドンでレコーディングを行なっていた思い出とも密接なつながりがある会場だとMCで語った吉井。当時の「淡い切ない空気感を感じていただけたらいいなと思っています」と伝えると、「NAI」のエバーグリーンなサウンドが会場を優しく包み込んだ。
エマとヒーセがステージから伸びた左右の花道へと広がり、吉井が宇宙空間を遊泳するようなパフォーマンスを見せた「HOTEL宇宙船」、両手を大きく振って盛り上がった「SHOCK HEARTS」で会場が一体になった中盤。吉井が激しくギターをかき鳴らしたイントが口火を切り、圧倒的な混沌を作り上げた「天国旅行」は、この日のハイライトのひとつだった。

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エマが発光するギターに持ち替えたダンサブルな「MY WINDING ROAD」に続き、会場の隅々まで踊らせた「甘い経験」へと、声を出せないハンデを忘れさせるように、体で参加できる楽曲を次々に繰り出した終盤。キーボードの鶴谷崇が奏でるピアノにのせて、吉井が語りかけた。「人が集まって生のロックンロールをやるっていうのは、自分たちにとっては絶やしてはいけないことで。批判もあるとは思うんですけど、エンターテイメントの火を消してはいけないということで、やらせてもらっています」。
さらに、昨年バンドが30周年を迎えたことに触れ、「40周年、50周年も、みんなとギンギラギンの恰好をして盛り上がりたいと、そのときは大きな声で叫び合えたらいいなと思っています」と伝えた。そして、「みんなが届けてくれた声と一緒に歌わせてもらいます」と言うと、事前にアプリやカラオケで募集したファンの歌声を会場に流した「バラ色の日々」へ。会場では歌声や歓声があげられないという状況下でも、お客さんと共にライブを作り上げる演出が大きな感動を生んだ。ラストを飾ったのは「悲しきASIAN BOY」。上手から下手へと猛ダッシュで駆け抜けた吉井が、「Are you No.1 Rock’n roll asian!!! THE YELLOW MONKEY!」と全力の叫び声をあげ、大きな拍手に包まれて本編は幕を閉じた。

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「見てないようで見てる」から始まったアンコールでは、「横浜、負けるなよ!」と力強いエールを届けた「パール」のあと、メンバー紹介へ。「オン・ドラムス、ザ・イエロー・モンキーのエンジン、菊地英二、アニー!」、「オン・キーボード、職人、鶴谷崇!」、「リードギター、吉井和哉の永遠の恋人、菊地英昭、エマ!」、「オン・ベース、俺の兄貴、みんなの兄貴、廣瀬洋一、ヒーセ!」と、吉井が一人ひとり名前を呼び、最後はヒーセが吉井を紹介。
「この人のおかげで、イエローモンキーは……日本のロックはまた光を取り戻すでしょう! 吉井和哉、ロビン!」と言うと、ひときわ大きな拍手が湧いた。全21曲、2時間にわたるライブの最後は、99年の「PUNCH DRUNKARD TOUR」のファイナルの横浜アリーナでもラストナンバーとして披露された「SO YOUNG」。会場が美しい光に包まれるなか、三大ドーム編とは異なる、横浜アリーナだけの30周年ライブを完成させた。この日の模様は「Huluストア」「ニコニコ生放送」にて11月10日(火)23:59までアーカイブ配信が行われる。

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