Original Love&竹内アンナ、“おとなの音楽フェス”「TMC week 2021 〜TOKYO MUSIC CRUISE Spin-Off〜」ライブレポート

Original Love&竹内アンナ

 続いては、Original Love。30周年を迎え、ニューシングル「Dreams」のリリース、全国ツアー”Don’t Forget Your Soul Power”の開催など、アニバーサリーイヤーに伴う活動を続けているOriginal Loveは、濃密なソウルと豊潤の音楽性が響き合う圧巻のステージを繰り広げた。
 バンドメンバーとともに登場した田島貴男は、満面の笑みで観客に挨拶し、会場のテンションを一気に上げていく。最初の楽曲は、1991年の1stシングル「DEEP FRENCH KISS」。ソウルミュージックの本質を感じさせるグルーヴ、生々しいメロディが共存するこの曲はOriginal Loveの原点であり、30年経った現在でもまったく色褪せていない。さらに最新アルバム「bless You!」(2019年)から「ゼロセット」を披露し、キレのいいギターカッティングとタイトなバンドサウンドを響かせる。バンドメンバーは、佐野康夫(Dr)、小松秀行(Ba)、河合代介(Organ)に木暮晋也(G)、真城めぐみ(Cho)を加えたラインナップ。凄腕のミュージシャンたちのよる演奏は、日本最高峰と言っても過言ではないだろう。
「こんな大変な状況を潜り抜け、来てくださってありがとうございます。せめて音楽を楽しんで、心をグチャグチャにしていただけたらと思います」というMCの後は、キャリアを象徴する楽曲が演奏された。まずは1993年にリリースされた「接吻」。ハイハットとオルガン、<長く甘い口づけを交わす>というフレーズが聴こえてきた瞬間、心が震えるような感動が広がる。数多くのアーティストにカバーされた名曲だが、本家本元の「接吻」は、やはり格別。エンディングにおけるソウルフルなシャウト、「声が出せないときは、手がある!」とハンドクラップを要求するパフォーマンスも最高だ。続いては、名盤『風の歌を聴け』(1994年)に収録された「朝日のあたる道」。切なさと叙情性に溢れたメロディは、まさにエバーグリーンだ。

Original Love&竹内アンナ

 かけがえのない“今日”への思いを高らかに歌い上げた「The Best Day Of My Life」、“どんな毎日でも、人生でも祝福”というメッセージをたたえた「bless You!」も強く心に残った。先が見えない状況を生きる我々にとって、音楽がもたらす力はとてつもなく大きい——そのことを再認識できる名演だったと思う。
 解放感と力強さを併せ持ったヴァイブスが観客の感情を解き放った「The Rover」によってライブは終了。現在のOriginal Loveの充実ぶりを体感できる強烈なステージだった。
9月29日にオフィシャルカバーアルバム「「What a Wonderful World with Original Love?」をリリース、田島貴男ソロによる「ひとりソウルツアー 2021」が9月から、10月9日には日比谷野外大音楽堂でのスペシャルライブ『A Change Is Gonna Come ~ Original Love Live At 日比谷野音ライブ』も開催される。30周年を契機にしてOriginal Loveは、さらなる充実の時期に突入しつつあるようだ。

Text by 森朋之

1

2