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J 「LIGHTNING」インタビュー

Jが、前作「Limitless」から約2年3ヶ月振りとなる12枚目のオリジナル・フルアルバム「LIGHTNING」をリリースする。
世界中で混乱を引き起こしたパンデミックの影響を受ける渦中で制作された「LIGHTNING」は、ロックファンのみならず音楽ファンに新たな衝撃を与えるようなサウンドとメッセージを携えたアルバムとなっている。繰り返されたライヴ活動の延期と、新たな試みとなったオンラインでのコミュニケーションを経て、いかにして辿り着くことができたのかを伺った。

ー まだまだ予断を許さない状況ではありますが、LUNA SEAを含めJさん自身、少しずつファンの前に出られる機会が増えてきましたね。

徐々にね。最初の「どうなっちゃうんだろう?」っていう状況から、僕ら側も来てくれるみんなも安全にライヴを楽しめる方法が確立しつつあって、急に元に戻ることは難しいけれど「また始められたな」って感じていますね。

ー その中で、コロナがきっかけかもしれないですが、既に「Pyro.LINE」も8回目を迎えるまでになりました。

こういう状況にならなければね、オンラインでのイベントも始まらなかったと思うんですよね。特にツアーを開催することが難しくなった中では、ファンのみんなとコミュニケーションが出来る唯一の手段となってこういった選択をしたんですけど、今となっては新しい楽しみとして存在してくれているから、これからも続いていく気がしています。

ー 何よりもライヴを大切にしてきたJさんだからこそ、コミュニケーションの場所にそれ以外を選択はしないということも出来た筈なんですが、こういった新しい手段にチャレンジしていくことも、またJさんらしいですよね。

どういった状況の中でも、常にベストな形をとっていきたいだけなんだと思うんだ。それによってね、僕自身のスタイルが変わったり何かが奪われることもないし、もっと言うと自分自身の世界観の中で変わらず表現できているわけだしね。ツアーの開催が難しい理由の1つとして、全国各地での状況が違うのでそれに1つ1つアジャストしていくと、どこかで形が歪になってしまうところもある。そういう意味での制約のないオンライン上だからこそ、距離も含めて気持ちの面でもより密にもなれるしね。また、どういう状況になってもこういった繋がれる場があることで、みんなと同じ時代・時間を過ごしていることを感じられますね。内容的にはね、シリアスな部分から砕けた部分まであるんだけど、みんなも楽しんでくれていますし僕自身もすごく楽しいんですよね。

ー そういった好転的な動きも見せる中、アルバム「LIGHTNING」が届けられました。直訳すると”稲妻”となりますが、Jさんはどういったきっかけでこのキーワードに辿り着いたんでしょうか?

ちょうど、LUNA SEAの「30th Anniversary Tour 20202021 -CROSS THE UNIVERSE-」開始直後にパンデミックが起こったんですよね。得体の知れないウイルスで、世界中にとんでもないことが起こっている状況にツアーも一時ストップをして、ある意味、1番リアルにその状況を感じられてたと思います。特に当時は、日常生活もままならなかったり音楽活動を取り巻く環境も混乱を起こしていて、”STAY HOME”と言われ始めた時期でもあったから、必然的に音楽を続けてきた自分自身を見つめる時間が生まれたんですよね。

ー それはこれまでの軌跡とこれからを自問するような時間だったんですね。

そう、そんな中でアルバム制作に入っていくわけなんだけど、僕自身が楽器を持つ前にロックを初めて聴いたときに受けたインパクトは、まさに稲妻が自分の身体中を走ったような衝撃だったんだよね。それは全ての音楽に携わる仕事をしているみんな、もっと言うと全ての音楽を好きなみんながこの経験をしていると思うんですよね。僕はそのインパクトを受けて、未だにそれを追いかけ続けているからこそ、その初期衝動を忘れない、大切なアルバムにしたいという想いがあって。また僕自身が受けたように、出来上がったアルバムが誰かの”稲妻”になってくれるようなサウンドで埋め尽くしたいというイメージに、「LIGHTNING」というキーワードがぴったり当てはまったんですよね。

ー そういった想いが込められていたんですね。だからかも知れませんが、「HEAT」の一節にある”大袈裟すぎる 演出に飽きてる”にリンクさせられるような、前作「Limitless」で打ち出されたシンプルさを昇華させた骨太のサウンドが、未だ突き詰められるのかと驚かされるくらい、厚みが増したサウンドの印象をアルバム全体から感じられました。

嬉しいですね。前作「Limitless」で色んな経験をしてレコーディングを終えた後に、自分自身がやり続けてきた音楽的なスタイルも含めて、可能性の扉が見つけられた感じがすごいしたんですよね。それをもっと強固なものにしていけたらいいな、なんて想いを並走させていた2年3ヶ月だったんだよね。次のアルバムはその想いをより忠実に、より素直に作り上げたいと思って向かったレコーディングだった気がします。

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