J 「LIGHTNING」インタビュー

J

ー アルバムに収められている「MY HEAVEN」「A Thousand Dreams」は先行して届けられていたわけですが、全ての楽曲がこのコロナの渦中で作り上げられていたもので、先程仰られた「大切なアルバムにしたい」という想いも重なって、サウンドの研ぎ澄ませ方も含め、こだわった部分があったのかなと推測してしまうのですが。

曲作りも含めてレコーディングでの一音一音、一瞬一瞬がかけがえのないものであるべきだと思うと同時に、特別な誰かのものではなくて、このアルバムを聴いてくれた全ての人に作用するものでありたいっていう部分がありましたね。聴いた瞬間に「おお!!」って思えるフレーバーがたくさん詰まっているのもが、自分が好きなロック・ミュージックで、そこからは外れないように、身体的にも感覚的にも頭でっかちにならないようにしてたんじゃないかな。

ー すごく納得できます。偶然ではありますが、雷が発生する仕組みは雲の中で静電気を溜めきれなくなって放電することで起きるようです。どうしてもこの時代、何かに折り合いをつけて生きていこうとしますが、溜め込んだ感情にリミットを掛けることなく、音楽に変換して忠実に表現したのが「LIGHTNING」であるからこそ、こんなにもこのアルバムを欲してしまうんだろうと。

そうかも知れないね。音楽の魔力って、誰かの感情を溢れ出させるものでもあれば、誰かの感情を目覚めさせるものだとも思うんだよね。少なくとも、自分自身がガキの頃にそういった経験をして今に至っているから、そういう意味ではベストなタイトルをつけたよね(笑)。

ー はい、今回もこれ以外にないタイトルだと思います(笑)。歌詞にも注目させていただきたいのですが、「Wake Up!」の一節にある”もう一度始めよう そう限界の向こう”にあるように、「Limitless」から繋いでくれるストーリーを想起させるような言葉があり、コロナ禍にあっても前作から分断されない、確かなもので鼓舞してくれる楽曲からスタートし、どの楽曲にも普遍的な”自由”や”夢”といったキーワードがあることで、このアルバムにエネルギーをもたらしてくれている感じがします。

キーワードとしてどの楽曲に散りばめられてるのは、言葉としてベクトルが後ろではなく前に向いていて、全てに於いてエネルギーに変わっていくものだからなんだと思います。嘆いたりすることが存在していないわけではないけれど、そこから何か始めて進んでいくことや燃え上がっていくような想いというものは、ロック・ミュージックが与えてくれたものだからね。もちろん作った自分自身にも、また気づかせてくれる。こういった状況の中だからこそ、”自分が信じてきた音楽を未だに信じている自分”という存在をやっぱり信じたいんだよね。信じていた自分を疑わないといけなくなるような世の中や、抑圧されて規制だらけの日常の中で、理屈で語るようなことではない”好き”とか”これ最高!”みたいなシンプルな想いを、今回はより曲に込めている感じはするかな。

ー 「HEAT」では、まさにそんな世界が歌われていますね。

思ったんだよね、例え世の中がどうにかなったとしても、自分が好きなものって変わらないんじゃないかなって。今回のパンデミックのように、ルールの中で行動が変わったりするかも知れないけど、”好きなんだ”っていうことを変えなくていいよね。音楽だけじゃなくて、そう思うことを変える必要はないし、どうなったとしても君自身は何も変わらなくていいっていうね。この状況だからこそ、よりその対象がわかりやすくなったのかも知れないね。

ー 確かに、不自由になったことでむしろ強く思えるようになった気もします。一方の曲について、前作からもそうでしたが「Starrrrs」をmasasucksさん、「Day by Day」をごっちんさんが作曲されています。アルバム収録にあたり、お2人に何かJさんからオーダーをされたのか、もしくは委ねられたのか、もしくはその両方があったのかだと如何ですか?

なんとなくね、「最近どんな感じですか?」じゃないけど(笑)、バンドとしてまた1段上のレベルに行く為に必要な話を常にしているからね。masaもごっちんも才能があるから、彼らなりのバンドが持つ破壊力を持ち上げるきっかけになる曲として、この2曲を書いてきてくれたなと思うんですよね。もちろん、自分の曲ではないから色んなことを想像して歌詞をつけていくんだけど、逆に自分が曲を書いていないからこそ新しい刺激を受けることがあって、自分が書いた曲以上に言葉やメロディーが多彩に湧いてくるんですよね。そういう瞬間こそ「ああ、バンドになったんだな」って、すごく感じますね。

ー しかも結果論になるかもしれないですが、曲順も含めてここにないといけない曲として存在しているんですよね。それは、昨年に出された「MY HEAVEN」「A Thousand Dreams」も然り。

自分でもね、制作していたタイミングが違うからどういった反応をするかは不確かな部分もあったんだけど、いざ出揃ってみるとお互いの曲たちがストーリーを繋いでくれているし、この2曲がなかったらこのアルバムの”へそ”となる部分がなかっただろうなって、自分でもそういう発見がありましたね。

ー ストリーミング時代でありますが、こういったアルバムとして聴くことで生まれるストーリーの醍醐味みたいなものは大事だなと思わされます。

やっぱりね、自分たちが育ってきた時代のアナログ盤で聴くドラマっていうものを鮮明に覚えているし、それがCDとなり配信となりっていう時代を経て、その両方がこの身体には詰まっているから、その1番いい所を生み出していけたらいいなとは思ってるんだけどね。

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