着実な成長を続けるにしなの現在地、多様な表情を見せた3度目のワンマンライブ

4月20日に配信リリースされることが発表された新曲の“FRIDAY KIDS CHINA TOWN”は、にしな いわく「頭のなかを覗きこんだら、どんどん渦のなかに落ちて行くような、そんな曲」。ダンサブルなビートと<れいらられいらられいらら GIVE ME A DANCE!>という歌詞の組み合わせがユニークな、遊び心を感じさせるナンバーで、今後ライブの定番曲になっていきそう。TikTokのダンス動画も人気の“ケダモノのフレンズ”では場内がクラップに包まれ、“U+”では推進力のあるリズムに背中を押されるように にしな がステージ前方に出ていき、オーディエンスと近い距離で歌う。さらに、間奏でバックに雄大な星空が浮かび上がることによって、にしな の音楽が持つスケールの大きさを印象付けた。

「ワンマンをやることが決まってから、ずっと頭のなかがライブのことでいっぱいだったんですけど、始まっちゃったら本当に一瞬で、あと2曲になりました」と話し、現在の にしな の代表曲“ヘビースモーク”を情感たっぷりに歌い上げると、本編ラストに披露されたのは“ワンルーム”。静謐なピアノのイントロから始まり、フォーキーな曲調のなかでモノローグも交えながらせつない別れを描く、にしな の原点を感じさせるような名演だった。

アンコールではニューアルバム『1999』を7月にリリースすることが伝えられ、フロアから盛大な拍手が起こると、「音楽をやっていくなかで、自分の分岐点に書いた曲」という“青藍遊泳”を披露。この曲は初ワンマンでもアンコールで演奏された大事な曲で、そのときと同じように「この広い宇宙のなかを、私たちがどこまでも自由に泳いでいけることを願っています」と語り、青藍の照明のなか、<ただ 必死になって 泳いでいく>と自分に言い聞かせるように歌う姿が実に感動的だった。ラストはもう一度エレキギターを手にして、エイトビートのロックナンバー“アイニコイ”で締め括り。今後は各地の春フェスやイベント出演を控え、この稀有な歌声がより多くの人に直接届けられることが非常に楽しみだ。

Text by 金子厚武
Photo by Kana Tarumi

<セットリスト>
1.スローモーション
2.真白
3.夜になって
4.ダーリン
5.centi
6.夜間飛行
7.モモ
8.debbie
9.透明な黒と鉄分のある赤
10.東京マーブル
11.ランデブー
12.FRIDAY KIDS CHINA TOWN
13.ケダモノのフレンズ
14.U+
15.ヘビースモーク
16.ワンルーム
EN1. 青藍遊泳
EN2. アイニコイ

セットリストプレイリスト:https://nishina.lnk.to/toratora_setlist

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