『ランディ・ローズ』監督アンドレ・レリス インタビュー

ーこの映画が証明するようにQuiet Riotの楽曲は今なお輝きを放ちます。Randy Rhoadsが80年代の音楽シーンに与えた影響はどういったものがあると思いますか?

具体的なことを1つ挙げると、Randy RhoadsはOzzy Osbourneのソロ・キャリアのキーとなった人物であるということだ。Black Sabbathを脱退した頃のOzzy Osbourneの状態でバンド編成をしていくには、礎となるロック・ミュージシャンが必要だったはずです。そういう存在となったRandy Rhoadsは、Ozzy Osbourneのソロ・キャリアを走らせたと言っても過言ではないと思うよ。そう捉えると、Ozzy Osbourneの初期サウンドは80年代のヘヴィメタル・シーンのサウンドの礎でもあるわけだから、70年代のQuiet Riotが既にそれを奏でていたという事実からも、Randy Rhoadsの影響というのは計り知れないものがあるよね。Iggy PopやNew York Dollsがパンクの道を切り開いたように、Quiet Riot・Randy Rhoadsがヘヴィメタルの道を切り開いたと思っているよ。

ーこの映画の構成として、Ozzy Osbourne時代に終始したドキュメンタリーではなかったことが最も優れいているところの1つですが、Quiet Riot期の資料・素材ついて、難しかった部分はありますか?

いや、実はQuiet Riot時代の方が簡単だったんだ。2012年に制作されたRon Sobolのドキュメンタリーをベースに作ることができたことに加えて、Quiet Riot時代のファンの所有物はOsbourneのコントロール外の物だしね。また、活動期間はOzzy Osbourne時代よりQuiet Riot時代の方が圧倒的に長いのでやりやすかったよ。

ー「Randy Rhoads: Reflections of a Guitar Icon」を観るまでは、Ron Sobolが制作した内容しか知り得るものがありませんでした。監督が制作を進める上で特に印象に残る新たな発見はありましたか?

数多くの発見があったわけだけど、その中でもアメリカでリリースされていない「Quiet Riot」「Quiet Riot II」の楽曲が素晴らしかった。このアルバムをもってしても、レコード契約が出来なかったことが僕としては驚きだよ。加えて、Randy Rhoadsは音楽を教えている一家の元で生まれ育った環境があって、1ミュージシャンとしても卓越しいていたんだということも発見だった。また、Ozzy Osbourneのオーディションの経緯はメタル界ではミステリーとされていたけど、今回わかったことでとても”ロックンロール的”だと思えたよ。

ーRandy Rhoadsのヒストリーという点においてもとても重要ですね。また、幾つものインタビュー・シーンで異口同音に彼の謙虚さを話してくれています。そういった彼の人柄に触れて、監督はRandy Rhoadsという人物をどう形容しますか?

もちろん知り合いでもなければ会ったこともないけれど、とても良心的な人だったと思うよ。出し惜しみをせずに人に分け与える姿勢を持っていて、何よりキャリアの頂点にいながらも人々にレッスンをしていたことが、それを物語っているんじゃないかな。ギターのベートーベンみたいな人が、ギターの練習に直向きに取り組んでいて、自分のレガシーをガチガチに固めて守るのではなく、人にシェアしていくことができる善良な人。そのギターで世界と共有したいという姿や想いが「Randy Rhoads: Reflections of a Guitar Icon」にあると思うよ。

Interview: Atsushi Tsuji

ランディ・ローズ

ランディ・ローズ

監督:アンドレ・レリス 脚本・編集:マイケル・ブルーイニン
新宿シネマカリテ、渋谷シネクイントほか全国ロードショー2022年/アメリカ/英語/カラー/シネスコ/5.1c/92分/原題:RANDY RHOADS:Reflections of A Guitar Icon/字幕監修:上田慎也(ヤング・ギター) 提供:ニューセレクト 配給:アルバトロス・フィルム/©RANDY RHOADS: LEGEND, LLC 2022

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