ドレスコーズ ゴキゲンで醜悪なるロックンロールパーティへようこそ。the dresscodes TOUR2025 “grotesque human”ツアーファイナル公演ライブレポート

「シスターマン」はこのライブにおける白眉だろう。志磨遼平は客席の柵に乗り上げ、懸命に手を伸ばしながら、身を捩るように、絞り出すように、不恰好なまま美しいブルース・ロックを歌っていく。声の端々からこぼれ落ちるのは、疎外感と祈りだろうか。いや、これこそまさに「グロテスク・ヒューマン」だろう。情感豊かな演奏も頼もしい限りで、ベースは淡々としているがセクシー。そしてここから繋げた「ミスフィッツ」が大変素晴らしかった。グルーヴィで腰に響く低音が実に踊れる。何より孤独を歌っているのに、サウンドから感じるのは晴々しいフィーリング。まあ、「やるからには陽気でやれ」ってことでしょう。できることなら毎回ライブで聴きたいと思わせる1曲である。

「自叙伝なんて出したせいで、あのなにもかもが気にくわなくって 蹴りあげてやりたくなるような 気持ちがよみがえってきました」というのは、『†』をリリースする時に寄せた志磨遼平のコメントである。なんとなくその気持ちはわかるような気がする。自身の少年時代から、初期のドレスコーズ崩壊までを辿った自伝『ぼくだけはブルー』(2024年9月)。そこで彼はロックンロールに魅了された根拠と改めて向き合ったはずだ。ついでに言えば、巻末に収録された美輪明宏との対談も象徴的である。年齢を告げた志磨に対し、「まだ赤ちゃんね」と返すのが面白い。『†』の制作時には、「新人バンドのつもりで演奏してほしい」と告げていたという。それもそうだろう。ロックンロールは、子供の目から見た大人の社会への批評なのだから。

アンコールはお約束の「愛に気をつけてね」。7月13日(日)には、上海にて自身初の海外ワンマンライブを開催。まだまだ充実のキャリアが続きそうだ。

Photo by 森好弘
Text by 黒田 隆太朗

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