lynch. 20周年の集大成となった lynch. 20TH ANNIVERSARY XX FINAL ACT「ALL THIS WE’LL GIVE YOU」ライブレポート

とはいえ、当然ながらlynch.のライヴはそうした空気感のまま終わりはしない。葉月が晁直の名前をコールすると短いドラム・ソロが始まり、誰もが次なる曲の正体が“MIRRORS”であることを察知する。しかしドラムの激走に呼応しながらCO2の白煙が噴き出したところで、前述のようなトラブルが再発生。ここで葉月はマイクを通して「ケムリ禁止!」を宣言し、「なんだかすげえ楽しくなってきた!」と笑う。こうした流れが、仕切り直しを経て改めて炸裂した“MIRRORS”の興奮度をいっそう高めることになった。そしてこの曲を皮切りに必殺曲のさらなる連射が繰り広げられると、時間経過と比例しながら場内の熱はいっそうの高まりをみせていく。しかも“GALLOWS”や“PULSE_”といった鉄板曲の連続を経て、葉月の「この日に向かうために作った曲。その曲でひとつになっていくぞ!」との言葉に導かれながら始まったのは、その言葉通り、アニヴァーサリー・イヤーを締め括るこの夜のために作られた“BRINGER”だった。空中を舞う大量の金テープといい、オーディエンスの大合唱の渦といい、まさにクライマックスに相応しい光景がそこに広がっていた。

この約束の曲をもってライヴはひとたび幕を閉じたが、5人が姿を消すや否や、当然のようにアンコールを求める声が湧く。そして数分後、ふたたびステージに登場した葉月は、20年間の積み重ねてきたことの証明となるようなライヴになったと喜びを語り、それが改めて自信に繋がったと発言。そのうえで「でもみんな、やっぱり新曲聴きたいですよね?」と客席に告げると大きな歓声が起こり、そこで2026年初夏に次なるアルバムがリリース予定であること、それに合わせてツアーが実施されることが発表されると、オーディエンスの歓喜の声はいっそう高まっていった。葉月は「すっげえの作ります。楽しみに待っててください」とも告げ、さらにこの夜のライヴの模様が映像作品化されることも報告。そして「ここでまたやりましょう!」と呼びかけ、「夢を叶える」うえで何よりも不可欠なのは「辞めずに続けること」だと語った。加えて「まだ叶えてないことがたくさんある」とも。

そうした流れのなかで、各メンバーに発言の機会が巡ってきた。晁直は,当初は「(結成当時の)3人のもの」に過ぎなかったlynch.が「みんなのもの」になった感慨深さを語り、悠介はこのバンドの歩みは「山あり谷あり」だったことを認めつつ、そうしたトラブルを乗り越えてきたことが成長に繋がったと語り、「みんなでもっといい景色、見に行きましょう!」と呼びかけていた。幕間のあいだにバックステージで髭を剃ってきたという明徳は、もはや「何をやるにも不安を感じる必要ない」と感じるようになっていると言い、玲央は「葉月(が言ったこと)と同じことを思っていた」と発言していた。

その玲央の口から聞こえてきた「諦めなければ、可能性はゼロではない。これからも、死に物狂いで」という言葉に胸を打たれたファンも多かったことだろう。玲央はその発言の前に、lynch.は彼自身が30歳の時に始めたバンドであること、48歳で武道館公演、51歳でガーデンシアターのステージに到達したという事実を告げていたが、まさにそんな彼だからこその説得力を感じずにいられない。若くして目標達成するのも素晴らしいことだが、挫折やそれに近いものを味わい、人間として成熟期を迎え、常識や判断力を持ち合わせたうえで夢を追うことも否定されるべきではないはずなのだ。

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