ASKA「昭和が見ていたクリスマス!?」東京公演初日のライブレポートが到着

続いてのMCでは、ASKAが子どもの頃、坂本九のことが大好きだったエピソードが紹介された。4歳の頃、坂本がゲストで出演していたテレビの公開番組を九電体育館に観に行き、坂本がコントでいじめられているのが許せず、最前列に走って、「九ちゃんをいじめるな!」と叫んだ姿が放送されたのだ。なお、指揮の藤野はかつて坂本と一緒に仕事をしていたという繋がりもあった。今回のセットリストの4曲のアレンジを担当した現役の大学生でもあるサックス奏者・音楽家の鈴木真明地が紹介される場面もあった。世代を越えた繋がりが生まれるところにも、音楽の良さがある。

前半の最後を締めた曲はCHAGE and ASKAの「オンリー・ロンリー」(1985年)と「安息の日々」(1982年)だった。20代のころに作った曲を今のASKAが歌うことで、当時とは違う深い味わいが生まれる。とくに「安息の日々」では歌詞にある<人生><道>といった言葉がよりリアルに響いてきた。昭和から平成、令和へと歌い続けてきたASKAの歌声のかけがえのなさを再確認する瞬間があった。<この瞳をあけて歩けるような><そんな勇気が今はほしい>という最後のフレーズの<今>は作った当時だけでなく、今の瞬間を表す言葉としても響いてきた。藤野が指揮棒でASKAを指し示してフィニッシュを決めると、盛大な拍手が起こった。

後半は、ASKAが岩崎宏美とデュエットするために作った「Love is alive」(1991年)からのスタートだ。ASKAの紹介で岩崎が登場すると、歓声がひときわ高くなった。昭和のクリスマスのイメージにもぴったりのゴージャスなシルバーのドレス姿で登場したからだ。彼女の流麗な歌声からの始まり、続いてASKAの奥行きのある歌声が入っていく。なんと贅沢なデュエットだろう。肩を組んだり、見つめ合ったりする場面もあり。互いの音楽をリスペクトしあっている者同士の絆の深さや信頼関係が、2人のハーモニーをさらに特別なものにしていると感じた。

「『スター誕生』で初めて観た時から、“この子は行くな”と思ったよ」とASKAが言うと、「第一部を観ていて、私が感動する歌を全部歌ってくれるので、好みが似ているんだなと思った」と岩崎。2人のなごやかなやりとりに続いて、ASKAがいったんステージから去り、彼女の代表曲であり、ASKAのリクエスト曲でもある「ロマンス」(1975年)へ。この曲も昭和を代表する名曲のひとつだ。印象的なイントロが流れると、ハンドクラップが起こった。デビュー当時からの可憐さと純真さに加えて、深みの増した歌声での「ロマンス」は格別だ。歌い終わると岩崎から、「こんな豪華な演奏で『ロマンス』を歌えるなんて、夢のよう」との言葉があった。極上の歌声を豪華な演奏で聴けることも夢のようだ。ゲストとして、彼女が登場したことで、クリスマス感がさらに広がっていくようだった。

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