レディオヘッドのコリン・グリーンウッドはEU離脱後のアーティストのツアーについて混乱が続く中で声を上げている。
2021年1月1日から施行されたEU離脱後の貿易協定でミュージシャンは不遇にさらされていて、ヨーロッパ・ツアーでパフォーマンスを行うにはビザの取得が必要となる可能性がある。
貿易協定には批判が寄せられており、ワーキング・ビザなしでミュージシャンがヨーロッパをツアーできない場合、ツアーのコストが増大し、多くのアーティストが経済的にヨーロッパ・ツアーを実現できない可能性が指摘されている。
コリン・グリーンウッドは『ガーディアン』紙に寄せた文章でかかる費用について次のように述べている。「長年にわたってレディオヘッドのツアーを考えてくれてきた何人かの古くからの友人と話をしました。ツアーの会計士であるエイドリアンはツアーがやりにくく、費用がかかることになると言っていました」
「EU離脱前は通関手帳(国に持ち込む物品のリスト)が必要だったのはノルウェーとスイスだけでした。今回の件で、自分たちのような『第三国』を扱うシステムのある南米でツアーをやるような感じになるでしょう。エイドリアンは1万ポンドのギターを持ち込むには650ポンド+付加価値税の通関手帳が必要になるだろうと言っていました。渡航や宿泊のコストは既に高いのに、オーケストラがツアーをするとなったら必要書類と経費はすぐに高騰することになるでしょう」
EU離脱後のツアーをめぐる「経費と混乱」について「気が沈む」としながらコリン・グリーンウッドは政府にツアーをめぐる状況について改善するよう求めている。
「イギリス政府はEU離脱の交渉でクリエイティヴな産業に十分なことをしていないことを認め、ヨーロッパでツアーを行う条件について再交渉すべき時です」と彼は述べている。
「この国の音楽が素晴らしいのは国境や境界を乗り越えてきたからです。音楽は素晴らしい愛国的な資源であり、自身と喜び、共通の情熱をもたらす要因となっています。私はこの国と世界でやりとりされている音楽を誇りに思っています。そして、この誇りはUKでは世代や文化を越えて感じられるものです。それは文化的に疲弊させるEU離脱のようなナショナリズムとは反対にあるものであり、その衰退は私たち全員から多くを奪うことになるでしょう」
EU離脱後のヨーロッパ・ツアーをめぐる状況については先日、エルトン・ジョンも政府を批判している。
エルトン・ジョンはEU離脱後の貿易協定からビザなしでのツアーが抜けていることについてデジタル・文化・メディア・スポーツ省のオリヴァー・ダウデン大臣と面会を果たしている。エルトン・ジョンは大臣との会話について「非常に前向きなもの」だったと述べつつも、ビザなしのツアーは現在のところ「実現しなさそう」だと語っている。
貿易協定の再交渉についてミュージシャンやファンから28万を超える署名が集まったことを受けて、国会では現地時間2月8日に討論が行われている。