Manic Street Preachers、1994年に行ったSuedeとの共同ツアーを振り返る

Manic Street Preachers

マニック・ストリート・プリーチャーズとスウェードは共同ヘッドライナーによる北米ツアーを行うことが決定している。

11月に共同ヘッドライナー・ツアーを行うマニック・ストリート・プリーチャーズとスウェードはかつて1994年にヨーロッパで共同ヘッドライナー・ツアーを行っている。

「マニック・ストリート・プリーチャーズ以上に共演したいと思うバンドはいないね」とスウェードのブレット・アンダーソンは語っている。「ずっと彼らは自分たちにとってインスピレーションとなってきた。多くのスウェード・ファンがそう感じていることも知っているしね。一緒にやったのは30年近く前だけど、今回の公演も特別なものになると思うよ」

ジェームス・ディーン・ブラッドフィールドは「単純だけれど、盛り上がるグレイテスト・ヒッツをお届けするよ」と『NME』に語っている。

サード・アルバム『ホーリー・バイブル』を引っさげて行った1994年のツアーについてジェームス・ディーン・ブラッドフィールドは次のように振り返っている。「なんてことだろう。もう随分前のことだよね。あの時のライヴは鮮明に覚えているんだ。リッチー・エドワーズが精神的な問題を抱えていたところから復帰して、ツアーに出たいと言っていたからね。僕らはリッチー・エドワーズとゆっくり歩みを進めていった。一方、スウェードはバーナード・バトラーを失って、リチャード・オークスがバンドに加入する時期だったんだ」

「彼らを見ながら『バーナード・バトラーがいなくなっても生き残っていけるのか?』と思っていたのを覚えている。彼は素晴らしいギタリストで、音楽的にも主導していたからね。彼にはブレット・アンダーソンと書く時の化学反応があったから、後任者は大変だったはずだよ。『ドッグ・マン・スター』は出た時に夢中になって、ずっと聴いていた素晴らしいアルバムだった」

「スウェードをステージで観たんだけど、リチャード・オークスも素晴らしかった。彼は髪もあったし、動きもよくて、才能もあった。ステージで馴染んでいた。次の問題は一緒に曲を書けるかということだけど、1996年発表の『カミング・アップ』は90年代でも最高のアルバムの一つだからね」

1996年にリッチー・エドワーズ不在でマニック・ストリート・プリーチャーズを再始動させる時に影響を受けたかと訊かれて、ジェームス・ディーン・ブラッドフィールドは次のように答えている。「そういうところもあると思う。僕らもそういうリストに入る可能性があったことを忘れていたよ。彼らとの違いは失ったメンバーの代わりを入れなかったことだけど、リッチー・エドワーズのような重要な人物がいなくなって続けられるのかとみんなが見ているとは思わなかった。俺たちが失敗するかどうかを見守っていることは考えなかったな」

スウェードとのヨーロッパ・ツアーはマニック・ストリート・プリーチャーズにとってリッチー・エドワーズ在籍時の最終盤のライヴとなったが、ジェームス・ディーン・ブラッドフィールドはいい思い出として振り返っている。

「ツアーの最後、リッチー・エドワーズが思っている以上に彼にとってツアーが大変なものであることが明らかになった。気まずい時期だったけど、いい思い出でも溢れているんだ。リッチー・エドワーズは10点満点でライヴを採点していてね。ステージを降りてきて『9点だ』と言っていたんだけど、いまだにそれは彼の生命の一部かのようで、僕らを満たしてくれるんだ。4人でステージに立って、『ホーリー・バイブル』をやっていたんだけど、まだみんなはそれが何を意味するかは分かってなかった。音的にも、審美眼でも、肉体面でも一体となっていたんだ」

共にゴッドライク・ジーニアス賞を受賞している90年代の生き残りとしてマニック・ストリート・プリーチャーズとスウェードには大きな「シンメトリー」があるとジェームス・ディーン・ブラッドフィールドは語っている。

「あの当時の多くのバンドはグラマラスな面が足りなかったんだよね。アンダーグラウンドで醸成されたグラマラスさという点で僕らは同じDNAを共有している。J.G.バラードの小説のようなディストピア的な光景が彼らにはあって、その路線は間違いなく僕らにも合っていたし、ライヴ・バンドとして両者ともに直感的だった。ステージのブレット・アンダーソンはラウドだよね。僕らと同じ道を歩んできたんだよ。いろんなことがあったけど、まだやっているわけだからね」

マニック・ストリート・プリーチャーズとスウェードは共に90年代のブリットポップにも括られたが、スウェードがそれを拒絶してきたのに対して、ジェームス・ディーン・ブラッドフィールドは「切り替える」こともできたと説明している。

「ブラーを除けば、ほとんどのバンドより僕らは前からやってきたんだ。“Motorcycle Emptiness”も、“La Tristessa”も、“Faster”も、“Revol”も、“Motown Junk”も、“You Love Us”も、ブリットポップの胎動が生まれる前に存在していた。だから、一線を画していることは分かっていたけれど、それに括られてもまったく気にならなかったんだ。よりたくさんの観客に向けてライヴができたし、アルバムも売れて、多くの人に届けられたからね。“Faster”や“A Design For Life”の歌詞をみんなが知ってくれることになったんだから」

「政治の世界では中間層を獲得するためには魂の一部を捨てなければならないと言われるけど、魂を捨てずに中間層を獲得することができたんだ」

マニック・ストリート・プリーチャーズは先日、2001年発表の『ノウ・ユア・エネミー』のリイシュー盤をリリースしている。完全生産限定盤ではアルバムがメンバーが当初望んでいた形でアルバムが真の姿に生まれ変わっており、ディスク1『ドア・トゥ・ザ・リヴァー』とディスク2『ソリダリティ』に分けて収録され、ディスク3には未発表デモ音源が収録されている。

「自分たちが何をやろうとしてるのか分かっていただけに自分は苛立ってしまった。ニッキー・ワイアーとショーン・ムーアを2枚組のコンセプト・アルバムから引き離したのは僕にほとんどの責任がある」とジェームス・ディーン・ブラッドフィールドは2001年当時『NME』に語っている。「最初の1枚は既に完成していた。常にいろいろと考えていることやコンセプトはあったけど、『エヴリシング・マスト・ゴー』や『ディス・イズ・マイ・トゥルース・テル・ミー・ユアーズ』で大きな成功を収めていたわけで、なんで2枚の別のアルバムを作って、それを台無しにしたいと思うんだい?」

彼は今回、次のように振り返っている。「今、こうして聴いてみると、素晴らしいアルバムを僕らが見逃していたことが分かる。『ノウ・ユア・エネミー』が何かを分かっていなかった。今は分かるよ。ある種、クリエイティヴ面でのピークであり、なすがままに複雑な世界への視座や個人の感情を扱っていた。最大のヒット作にはならないとしても、素晴らしいアルバムにはなり得る。当時は自分たちの伝えようとしていた複雑さを提示できなかったんだ。今ならできるし、より豊かなものになった。リミックスをしたことで、シンプルにクリアになって、すべてが文脈に属しているんだ」

『ノウ・ユア・エネミー』には反アメリカというテーマも含まれており、アルバムに伴ってマニック・ストリート・プリーチャーズはフィデル・カストロ議長の前でキューバ公演も行っている。

「アメリカに対して複雑な愛情を持っていたことが分かるよね」と現在のアメリカに対する見解をジェームス・ディーン・ブラッドフィールドは語っている。「文学にしても映画にしても音楽にしても、審美眼についても戦後デザインについても、アメリカから生まれたポジティヴなことはたくさんある。人生の大半はギブソンのレス・ポールなしにはステージにも立つことができなかったんだからね。カルチャーの面でアメリカがもたらしてくれたものを分かっていなかったんだ」

「サンアンドレアス断層のような大きな相反する感情がある裏返しでもある。それは緊張を生み出す。こうした実験というのは、時におかしな決断をしてそれ自体を傷つけてしまうこともあるんだ」

ジェームス・ディーン・ブラッドフィールドは『ノウ・ユア・エネミー』を再現するライヴがUKで行われるかは分からないとしていた上で、2021年のちょうど1年前の週に発表された『ジ・ウルトラ・ヴィヴィッド・ラメント』に続く新作が進んでいることも明かしている。

「何曲か曲を書いたんだけど、それがどうなるかは分からないね。コンセプトも青写真もない」と彼は語っている。「まったく分からない。今はアメリカでやるツアーに集中している。ニッキー・ワイアーはソロ・アルバムを完成させているところで、どうやって出すか決めているところなんだ。素晴らしかったよ。出すべきだと思うね」

2020年発表の『イーヴン・イン・エグザイル』に続くソロ・アルバムの可能性を訊かれた彼は次のように答えている。「次のソロ作を作るなら、もう少し商業的なものをやりたいね。前作はチリの革命家であるヴィクトル・ハラの歴史と周辺人物を追ったコンセプト重視のものだったからね」

「ヒット曲を書く必要もなく、あれをやったのは楽しかったけど、もう一度ソロをやるなら、ブロンディ的なものをやりたい。ヒット曲があって、別のシンガーと一緒にやるようなね」

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