ザ・ビートルズはほぼ60年前に録音された最初期のUKでのライヴ音源が発見されている。
BBCニュースによれば、1時間に及ぶ4分の1インチのテープは1963年4月4日にバッキンガムシャーのストウ寄宿学校でザ・ビートルズが行ったライヴをジョン・ブルームフィールドが録音したものとなっている。
現在75歳のジョン・ブルームフィールドは当時15歳で、BBCラジオ4の番組『フロント・ロウ』の60周年を記念した特別番組を制作するためにジャーナリストのサミラ・アーメッドがストウを訪れたことでテープの存在は発覚している。
「珍しいザ・ビートルズのライヴです。ほぼ男性だけの観客を前に行われたものとなっています」とサミラ・アーメッドは述べている。「そして決定的なのは大きな歓声や叫び声にもかかわらず、テープは観客の反応に掻き消されていないことです」
セットリストは1963年3月22日にリリースされたデビュー・アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』の曲やR&Bのカヴァーで構成されている。
“I Saw Her Standing There”でライヴは始まり、チャック・ベリーが1956年に発表した“Too Much Monkey Business”のカヴァーが続き、学生からのリクエストを募ったり、曲間では冗談を飛ばしたりもしているという。
このテープの一部音源は4月3日に放送された『フロント・ロウ』でオンエアされている。番組の音源はこちらから。
https://www.bbc.co.uk/sounds/play/m001kpq1
ジョン・ブルームフィールドはテープを制作してから60年を経て、初めてオンエアすることに同意しており、テープの全編はサミラ・アーメッドとザ・ビートルズ研究家のマーク・ルイゾンだけが聴いたという。
「このテープがもたらしてくれるものは青天の霹靂というもので、素晴らしいものです。ザ・ビートルズがブレイクを果たし、世界的な名声を獲得しようとする瞬間を聴けるのです」とマーク・ルイゾンはBBCに語っている。「そして、あの当時はすべての観客がレコーディングした音源は絶叫に包まれることになっていました」
「このテープではUKでライヴを行ったザ・ビートルズを聴くことができます。彼らをちゃんと聴くことができ、テープがそれをちゃんと捉えています。彼らは観客と談笑したりしているのです」
マーク・ルイゾンはテープに「非常に重要な音源」も含まれているとして、「最終的に素晴らしいこと、建設的なことに繋がればと思います」と語っている。
ザ・ビートルズはマネージャーのブライアン・エプスタインに手紙を書いた生徒のデヴィッド・ムーアズによってこのライヴにブッキングされている。ジョン・ブルームフィールドは機械に興味があって、リール式のテープ・レコーダーでパフォーマンスを録音したという。
「あの時に私は成長したと言えるでしょう」とジョン・ブルームフィールドは10代の自分にライヴが与えた影響について語っている。「大袈裟に聞こえるでしょうが、別の惑星から来たものだと分かったのです」
「演奏が始まって、絶叫が聞こえてきて、ビートルマニアの渦中にいることに気づきました。あれは体験すらしたことのないものでした」
2020年、ストウ寄宿学校はザ・ビートルズが訪れたことで名所に認定される看板が設置されている。
ポール・マッカートニーは当時、次のように振り返っている。「僕らのような労働者階級の少年たちはストウ寄宿学校のような施設を訪れたことがなく、厳しい生活環境を目の当たりにして衝撃を受けました」
ポール・マッカートニーはビートルマニアの盛り上がりの絶頂の中で撮影されたザ・ビートルズの写真が写真集として刊行され、ナショナル・ポートレート・ギャラリーで展示されることが決定している。