奇才タランティーノの頭と心の中を出演俳優たちが暴く危険なドキュメンタリー『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』が、8月11日(金・祝)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほかにて全国公開、映画オタクのタランティーノ監督が敬愛する映画にオマージュを捧げたシーンについて、元ネタを解説します。
映画オタクのタランティーノ監督が敬愛する映画にオマージュを捧ぐ!元ネタ解説
クエンティン・タランティーノは映画監督になる前、ロサンゼルス南部のマンハッタンビーチにあったレンタルビデオ店「ビデオアーカイブス」で働きながら浴びるように映画を観て、映画マニアの同僚やお客たちと映画について熱く語り合ってきた生粋の映画オタクだ。
そんなタランティーノの映画には度々、彼が愛した古今東西の映画へのオマージュが捧げられている。
そこで今回は、その中から代表的なものをいくつか解説してご紹介します。
まず、デビュー作『レザボア・ドッグス』では、チョウ・ユンファ主演の香港ノワール『友は風の彼方に』の影響を強く受けており、潜入捜査官と強盗団との友情というストーリーから、クライマックスの三つ巴で拳銃を突きつけ合うシチュエーションまで、そのまま再現されている。
2作目『パルプ・フィクション』では、ジョン・トラヴォルタとユマ・サーマンの有名なダンスシーンが、トラヴォルタ主演のディスコ映画『サタデー・ナイト・フィーバー』をベースに、フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』のダンスシーンの撮り方、振付、女性の髪型や服装にいたるまでそっくりと模倣されている。
さらに、サミュエル・L・ジャクソン演じるギャングが人を殺す前に「エゼキエル書25章17節」を長々と朗読するシーンは、千葉真一主演映画『ボディガード牙』からセリフを拝借しており、千葉の大ファンだというタランティーノ監督は、4作目『キル・ビル』で、千葉が主演した時代劇ドラマ「影の軍団 服部半蔵」になぞらえ、服部半蔵役で千葉をキャスティングしている。
その他、『キル・ビル』では、ユマ・サーマン演じる主人公が『死亡遊戯』でブルース・リーが着用していた黄色に黒のラインが入ったトラックスーツを着ており、ルーシー・リュー演じるオーレン・イシイが白い着物姿で雪の日本庭園を舞台に戦うシーンは、梶芽衣子主演の時代劇『修羅雪姫』をオマージュしている。
7作目『ジャンゴ 繋がれざる者』では、タランティーノがこよなく愛する『続・荒野の用心棒』の原題「ジャンゴ」をタイトルに使い、オープニングシーンではそのテーマ曲を使用。さらに、本家『続・荒野の用心棒』で主演したフランコ・ネロをカメオ出演させている。
この度、タランティーノの頭と心の中を暴くドキュメンタリー映画『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』が8月11日(金・祝)より全国公開されるのを記念し、代表作『パルプ・フィクション』が全国36館で本作と同日の8月11日(金・祝)より2週間限定でリバイバル上映することが決定!
映画愛溢れるオマージュの捧げられたタランティーノ作品と、その制作裏に迫るドキュメンタリー映画を共に楽しんでみてはいかがでしょうか?
クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男
監督・脚本:タラ・ウッド(『21 Years: Richard Linklater』)
出演:ゾーイ・ベル/ブルース・ダーン/ロバート・フォスター/ジェイミー・フォックス/サミュエル・L・ジャクソン/ジェニファー・ジェイソン・リー/ダイアン・クルーガー/ルーシー・リュー/マイケル・マドセン/イーライ・ロス/ティム・ロス/カート・ラッセル/クリストフ・ヴァルツ
2019年/アメリカ/英語/101分/カラー/ビスタ/5.1ch/原題: QT8: THE FIRST EIGHT/R15+/日本語字幕: 高橋彩
配給:ショウゲート 公式HP:https://qt-movie.jp