『π〈パイ〉 デジタルリマスター』の日本公開がホワイトシネクイント他にて3月14日(木)に決定、追加場面写真が解禁された。
主人公マックス・コーエンの挑戦と同じように、脚本家兼監督のダーレン・アロノフスキーは、一見不可能と思われることに挑んだ。インディペンデント映画の予算とリソースを自由に使って、テンポの速いSFスリラーを作り上げたのだ。マックスがコーヒーカップや木の葉に数学的な無限の可能性を見出したのと同じように、アロノフスキーは経済的な制約を芸術的なチャンスと捉えなければならなかった。しかし、マックスとは異なり、アロノフスキーは一人で目標を達成しようとしたわけではない。初めて長編映画を製作するエリック・ワトソンと一緒に、脚本に必要な6万ドルの予算を捻出した。友人や家族から100ドルの出資を募り、映画が儲かれば全員に150ドルを渡すと約束したのだ。結果的に、全員が小切手を受け取ることになった。キャストとクルーに関しては、プロダクションアシスタントからアシスタント・カメラマン、アロノフスキーまで、全員が同じ報酬で働いた。1日200ドルの前払い給与と、映画の最終的な興行収入に対して成功報酬を分配するというものだ。
ロケ地には、共同プロデューサーの父親が所有するブルックリンにある照明工場のさびれた部屋を使用した。また、アロノフスキーの母親シャーロットがケータリングを担当し、父親のエイブラハムが凶悪犯のひとりを演じた。その他のちょい役もほとんど友人や家族で、あらゆる意味で “家族愛 “に満ちた作品となっている。
映画製作者たちが直面した最大の挑戦、予算の制限に逆らうということが、最終的に最もエキサイティングな作品となった。SFスリラーというジャンルを、観客がこれまでに見たことのないものに押し上げるために。「もうみんなだいたいぶっ飛んだものは既にみたことがあるんだ。宇宙船、デス・スター、巨大昆虫、地球。今、人々が興味を持っているのは、感情、人を動かすもの、内面世界の探求だ。外宇宙は死んだ。次の旅は内なる宇宙だ。」
π〈パイ〉 デジタルリマスター
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ショーン・ガレット、マーク・マーゴリス、スティーヴン・パールマン
インディペンデント・スピリット賞(98)新人監督賞受賞(ダーレン・アロノフスキー)
サンダンス映画祭(98)最優秀監督賞受賞(ダーレン・アロノフスキー)
原題:π|1998年|アメリカ|モノクロ|ビスタ|4K|5.1chデジタル|85分|字幕翻訳:林 完治
配給:ギャガ
©1998 Protozoa Pictures, Inc. All Rights Reserved