H ZETT M 1/26(土)-新年の響きの陣-ライブレポート

客席からは笑い声が溢れ、一転会場はアットホームな雰囲気に。この緩急のつけ方が H ZETT M のステージパフォーマンスの大きな魅力だろう。柔らかい空気の中で、時折見せるテクニックが緊張感を途切れさせない。そのまま楽曲は“踏み出すニュー”、“ほろ酔いバランス”と続きながら、“北風 小僧の寒太郎”のメロディーが入り込んできて、観客とコールアンドレスポンス。
その日の関東は北風も強く厳しい寒さであったが、その粋な演出に会場も暖かくなる。その後も “スーダラ節”を演奏してみたり、H ZETTRIO の“Fusion in Blue”に“Get Wild”を混ぜていくなど、誰もが知る楽曲を時に大胆に、時に繊細にアレンジしていく様は、常に人々を楽しませることを忘れない彼の姿勢がよく表された瞬間。
音のエンターテインメントに浸っているとあっという間に第一部が終了。大きな拍手の中、客席の明かりが点いた。
H ZETT M
15 分の休憩の後、このピアノ独演会の大きな特徴でもある第二部がスタート。先ほどまで会場を彩っていた大きな暖簾からステージセットの小物、照明もスピーカーもなくなり、ステージにはピアノ一台のみ。
そこに H ZETT M が登場。第 1 部とは衣装の雰囲気も変わり、モードなジャケットスタイルに。先日ミュージックビデオが公開されたばかりの「ランドスケープ」、その映像のように不思議な緊張感が会場に漂い始める。
ここからが文字通り「ピアノ一台だけで観客と向き合う」独演会スタイルの真骨頂だ。
H ZETT M とオーディエンスが作り出す心地よい緊張感と静寂の中、“永遠は見つからない”でスタート。
先ほどまでよりも、より自由に鍵盤の上を駆け巡る指先。特に“水の流れ”や“ボレロ” では美しい旋律が独特のアレンジにより解体、再構築され新たな印象を持って届けられた。
大観衆の中、ピアノから放たれる音が次々と空間を埋めていく。演奏が進むに連れ、その勢いは増していき“ショーが始まる” “新しいチカラ”と頂点に達したところで第二部が 終了。息を飲むような圧巻のステージに割れんばかりの拍手。第二部もまた息をつかせぬ展開で終了。

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