The Cheserasera インタビュー

グレーは別に曖昧なものじゃないし、白や黒と同じようにただそこにあるだけ(西田)

ー なのに、そのまま『ずっと浮かれてる』を聴いたときは…

西田:なんとなくハメられました?

ー はい(笑)。

宍戸:全然違いますよね。ふざけてるみたいですもんね(笑)。でも面白みがあってこの位置にっていうのはありますね。

美代:いろんな考え方があるしメンバーでいろんな意見もあると思うんですけど、遊び心みたいなものは大事な気がしてますけどね。

ー しかも痛烈なメッセージで皮肉ってると思ったんですが?

宍戸:これを皮肉に聞こえる人は、その人自体が皮肉な人ですよ(笑)。

ー やられた!

宍戸:今初めて言われましたけど、因みに僕は皮肉ですよ(笑)。

美代:『幻』で1度締まってるみたいなイメージとかもあるし。

宍戸:そうですね、真面目な話はここまで。そろそろ!っていう感じで置いてるっていうのもありますね。皮肉かどうかは聴き手に委ねますけど(笑)。

ー 失礼しました(笑)。

美代:でも宍戸くんらしいけどね。

宍戸:まあ、皮肉ってますけど(笑)、別に楽しい人はそれを楽しんでくれればいいしっていうところでしかないっていう感じです。

ー 『月は面影』なんて、その宍戸さん節炸裂!っていうくらい痛快ですよ。

宍戸:もう五感です。フィーリングですね。

ー 軽く仰いますけど、これは他のバンドで出せないマジックですよ。

西田:僕はこのバンドやる前までは、そういう感覚もなかったから、実は理解ができなかったんです。例えば白か黒かって分かりやすい方が楽じゃないですか?ただ実際には白と黒しかない世界ではなくて、その間にはいろんな色があるんだなっていうのをこのバンドやりながら感じたんですよね。白と黒がはっきりしてるのに対して、グレーが曖昧という表現が間違ってるわけじゃないんですけど、グレーは別に曖昧なものじゃないし、白や黒と同じようにただそこにあるだけだっていうことに気づかされると、こういう表現ができるようになったのかなとは思います。

ー それはすごく納得ができます。例えば美代さん作詞 / 作曲の『透き通っていく』を聴いても世界観に違いがないのは、そういう共通認識みたいなものが作用しないと表現できないと思うんです。

宍戸:いる時間が長いっすからね。その世界をどう言うか?どう見るか?っていうレベルの違いしかなくて。だからその世界を受け取って歌ってる感じです。

美代:僕も歌ってもらうことに対して、いろいろ言わないでおきたいんです。作ったときに「こう歌って欲しいな」っていう部分もありますけど、どちらかといえばそれを伝えずに同じことを想ってくれてたらいいなっていう感じですね。逆にそれが伝わらない内容だったら、曲に十分落とし込みきれていないんだなと思いますし。

ー 冒頭で宍戸さんが仰った”信頼感”があってこそなんでしょうし。

宍戸:それはありますね。実際に歌うときにヒントをもらうことがあるくらいで、採用された時点でその世界に共感できてるので。

ー そうやって選ばれた楽曲が収められている中で、再録された『Night and Day』ですが、オリジナルを知らなかったんで、sound cloudで視聴しました。

西田:もう全然違うと思いますけどね。

宍戸:当時のレコーディングエンジニアの方に、なるべく音圧を出してもらったんで、それはギューっとされた音になってますね。

美代:実際、聴き比べてどうでした?

ー もし、当時の勢いを閉じ込めたのまま収録されていたとしたら、同居しづらいと思ったのですが、単純に再録という前情報がなくてもこのアルバムに相応しいから収められているという感覚です。ただ、敢えて選んだ理由があると思うので、そこは伺いたいです。

宍戸:その通りで、この作品性にも合うから再録っていう感じがありますね。あとはリクエストワンマン(冬の煌星 ワンマンツアー)の影響もあったんで。

西田:そのリクエストで結構な表が入ってたし、当時リリースしたと言っても流通かけたわけでもないし、バンドが事務所が云々とかっていう前のデモ版に入ってた曲っていうのをみんなが良いって言ってくれてるならと思いました。実際、曲順もハマって、アルバムの肌感に馴染んだし、本当に自然に入ってる感覚があります。

宍戸:リクエストワンマンの結果を見て、確かに意外だなとは思わなくて、人気な気がしてたし。

美代:結構サウンドがとがってたりして、分かりやすい曲ではあったね。昔はこういう表現がしたかったんだなっていうことに対して、じゃあ今やってやろうみたいな感覚もある。

ー そこで楽曲が良くてアルバムを表すピースになるなら、決して褪せないっていう証明ができましたよね。実際にライヴを想定したという部分でも演奏されていくことになるでしょうし。

宍戸:やる機会は増えると思いますね。

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