3,000人が熱狂、NUMBER GIRL「TOUR『NUMBER GIRL』」を日比谷野音で開催

解散前のライブとの大きな相違は、“YOUNG GIRL SEVENTEEN SEXUALLY KNOWING”をややBPM落としてどっしり演奏していたくらいで、この日のライブは約17年に及ぶ「NUMBER GIRLの空白」をまるで感じさせないものだった。
バンドアンサンブルの常識に囚われない4人の爆音と咆哮のせめぎ合いが、ロックもポップも狂騒の彼方へと押し流す――。唯一無二の楽曲世界でファンを魅了し、「オルタナティブロックの象徴」として後進世代に多数のフォロワーを生んできたNUMBER GIRLの音楽は、2019年の今もなお圧倒的にオリジナルでスリリングだった。派手なパフォーマンスもなく、自分たちの演奏に専念する4人の姿が、その「音楽そのものの凄味」をより明確に際立たせていた。
1曲ごとに熱気を増す客席に「ナイスですね!」と呼びかけていた向井。「ウチのカミさんが言うんですよ」「私の記憶が確かならば……」と映画やテレビの名台詞を次々に引用しながら「あの娘は透明少女!」と“透明少女”へつないで、高らかな大合唱を呼び起こしていた。

“日常に生きる少女”で中尾のベースアンプにトラブルが生じるも、動じることなく強烈なプレイを繰り広げ、“NUM-AMI-DABUTZ”、“DESTRUCTION BABY”、“SASU-YOU”など切れ味鋭いサウンドを響かせていくNUMBER GIRL。“TATTOOあり”の田渕の凄絶なギターソロが野音の熱気を震わせ、4人一丸となってスパークするような“I don’t know”の轟音が夏の夜空に鳴り渡る。
「本当にみなさん、今日はお集まりいただきまして、ありがとうございます」の向井の言葉とともに、最後は“EIGHT BEATER”〜“IGGY POP FAN CLUB”でダイナミックに本編の終幕を飾ってみせた。

アンコールでは、向井が12月からスタートする新たなツアーの開催を発表。会場が驚きと歓喜に沸き返っていく。
「ドラムス、アヒト・イナザワ!」のコールから再び“OMOIDE IN MY HEAD”でアンコールはスタート。さらに、メジャー2ndアルバム『SAPPUKEI』収録の“TRAMPOLINE GIRL”から、「NUMBER GIRLが初めてレコーディングした曲」という紹介とともに、インディーズ時代の“トランポリンガール”を立て続けに披露して、「17年ぶり野音」を熱く締め括ったNUMBER GIRL。ビールを掲げて「乾杯!」と呼びかける向井に、惜しみない拍手喝采が広がった。

「TOUR『NUMBER GIRL』」はこの後、大阪・なんばHatch(9月7日)、福岡・DRUM LOGOS(9月8日)、名古屋・ダイアモンドホール(9月27日)へと続く。そして、12月14日・15日の東京・豊洲PIT公演を皮切りに、「NUMBER GIRL TOUR 2019-2020『逆噴射バンド』」が2020年2月まで全国11会場・12公演にわたって開催される。

また、日比谷野外大音楽堂公演の模様がWOWOWで9月29日に独占放送される。

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