難波章浩 (Namba69) Interview vol.32

1st ALBUM「21st CENTRY DREAMS」同様、エンジニア/プロデューサーにRyan Greenを迎え、僅か1年足らずで全6曲を収録したMINI ALBUM「LET IT ROCK」をリリースするNAMBA69。Red Bull Studio Tokyoにて制作され、JESSE(RIZE / The BONEZ)を迎えた初のコラボレーション曲”LET IT ROCK feat. JESSE”と”REVOLUTION”のカヴァー曲を含む、さらに進化したメロディックパンクの金字塔がここに完成した。バンドを代表して、難波章浩(Vo/Bass)にその魅力を語ってもらった。

—まずは、今年の初めから4月末まで「21st CENTURY DREAMS TOUR 2015」を開催され、NAMBA69としては初のロングツアーでしたが、バンドにもたらしたものや得られたものを教えてください。

毎日のように、生活を共にする時間が持てたことが1番デカくて。バンドとして音を出す前に、人としての結束力が高まったことだね。そこでは、バンドのビジョンとかも共有し合えましたね。例えば打ち上げでも、その日のライブをお互いに振り返って、讃えたりもちろん反省もしてを繰り返してたから、日に日にライブが良くなったし、それを自分たちでも実感してたんだよね。ファンのお陰でもあるんですけど、最終的にツアー・ファイナルでものすごいライブが出来て、バンドが固まりましたね。

—喜びも悲しみも含めて、NAMBA69として共有し合える3人となって、そこには対等の立場だからこそ成し得る、制作やライブが実現出来たんでしょうね。

そうだね。3人それぞれの得意分野も見えてきたから、バンドに対しての役割分担とか、バンドへの関わり方が2人(K5(Guitar)もSAMBU(Drums))も深くなって。例えばSAMちゃんは、ツアー・ブッキングとかマネージャーの役割も担ってくれるし、K5は元々デザインが得意だったんだけど、今回のジャケットやグッズのデザインを中心になって考えてくれたり。きっと、NAMBA69を自分の人生として捉えてくれたからなんだろうね。

—それは難波さん自身にも、同じ想いがありますよね。因みに難波さんの役割は?

オレは…「何だろう?」って思うくらい、2人がすごい(笑)。

—(笑)。良い意味で、2人は引っ張ってくれる存在でもありそうですね。

そう。オレがステージに立ったときには、場の雰囲気が出来てるし。オレは何もやってない…こともないけど(笑)、そのくらい2人がすごいよね。

—そうやって、ライブを重ねて強固なバンド体制を整えた後も、イベントやフェスの出演が続き、バンドとしても止まることなく、早くも2枚目となる「LET IT ROCK」の完成となりましたが、制作はいつ頃からですか?

ツアー中のリハの合間とかに、セッションっぽいこともしていたけど、制作はツアーが終わってからですね。6曲ともデモを使わずにゼロから作り上げるっていう。

—前作の「21st CENTRY DREAMS」でも、3人でゼロから作り上げていったとのことですが、その方法を引き継ぐ形で臨まれたんですね。

やっぱり「今を出そう」というのがあったからね。オレがメロディーを付けるから、それに準じて展開が出来るし牽引もしていくけど、その後のアンサンブル的なものは2人がかなり持ってってくれましたね。

—なるほど。また前作同様、エンジニア・プロデューサーにライアン・グリーンを起用されたのは、NAMBA69のサウンドに欠かせない存在となっているからですか?

そうなのよ(笑)。ライアンがNAMBA69のことを好きになってくれてて。FAT WRECK CHORDSのバンドばかりを手掛けてた時代から、ポップスもヒップ・ホップも手掛けるようになって、要はパンクをあんまりやっていなかったんだけど、前作で一緒にやったときに、ハイスタもそうなんだけど、NAMBA69の楽曲を褒めてくれて、オレたちを愛する気持ちが強いことがわかったんだよね。

—今や、ハイスタを彷彿させるサウンドではなく、”NAMBA69のサウンド”としてライアンも臨んでいるでしょうし。

楽曲に対しても色んなアイディアをくれたし、それをオレたち3人が良いと思えるものばかりだったからね。これからもライアンにお願いするつもりだよ。

ーこれはアルバム全体を通してなのですが、曲や歌詞の随所にポジティブさが感じられて、これはバンドの状態がそのまま反映されているからですか?

今の3人が合わさったときのキャラクターが、ものすごいキャッチーなんだよね。オレたち自身に素直になって、今のバンドのムードを純粋に出した結果が、キャッチーでポップなものになったし、そこに行きたかったのはあるよね。

—ある意味、日増しに良くなっていくライブから、遠ざかることなく制作に臨めたことによって、その純粋な熱量のまま表現できたことは大きそうですね。

たしかに。すぐ作りたくなったもんね(笑)。

—その「LET IT ROCK」に収められた楽曲は、どれもアンセムを担うかのような、メロディックパンクの進化を体現されたような印象を持ちました。

実はどの曲もすごいシンプルになってるんですよ。音数もそうだし、凝らないようにしたり。細かい部分で言えば、ギターの歪みを削ったし、ドラムの手数も減らしたのね。そういう方向性に、ライアンとも一致して突き詰めたら、サウンドがダイナミックになってパンチも出たんだよね。

—先ほど「素直になって」というお話もありましたが、ナチュラルなエネルギーが詰まっているからこそ、作り出せたサウンドなのかもしれないですね。

そうだね。「21st CENTRY DREAMS」は、オレたちの自己紹介的な部分もあったから、メッセージ性が強い部分もあったけど、今回は単純に、みんなに楽しんで踊って欲しいなって。

—楽曲の話に進みますが、アルバム・タイトルでもある「LET IT ROCK」は、フィーチャリングにJESSEを迎え、その”楽しんで踊る”部分が全面に放たれていますよね。

前からJESSEと「オレがボーカルで入って、4ピースでやるとヤバイね」なんて妄想してたのね。だから「LET IT ROCK」を作ってるときに、フィーチャリングで真っ先に浮かんだのがJESSEの顔だったんだよね。「曲のパートにJESSEのラップが入ったらヤバイよね」って。あとは力を抜いて、メロディアスに歌ってるJESSEを見たことがなかったから、オレはこの曲でJESSEの新しい一面を見れたかな。

—確かにRIZEでの一面でもなく、メロディアスという部分ではThe BONEZでも垣間見れますが、ここまで振り切ったのは「LET IT ROCK」が初に近いですよね。

2番のパートは、かなりキレイに歌ってるからね。歌詞もいい感じだったし。

—その中で「I wanna be an Anarchy」のリリックには、NAMBA69への自由が込められているように思えました。

オレもそう思った。その部分はJESSEが書いたんだけど、曲を作ったときのイメージを軽く超えたし、やって良かったよね。

—次の「WALK」では、「SUMMERTIME」を彷彿させるようなミドルテンポで表現されていますが、にも関わらず踊れる楽曲となっていて、NAMBA69の進化を象徴するかのような仕上がりですね。

そうだね。「21st CENTURY DREAMS TOUR 2015」を周って、「意外と8ビートの曲でも踊れるんだな」って思ったし、ヘタしたら2ビートの曲よりも、盛り上がるくらい評判が良かったのが「SUMMERTIME」だったね。今まで2ビートで激しくやってた曲は、”躍らせる”というより”暴れさせる”っていうイメージ。だから「8ビートでこんなに盛り上がれるんだ」って気付けたのがあるかも。たとえBPMが遅くて8ビートでも、すごく踊れる曲をもっと増やしたかったし、その中で「エモくて泣けるんだけど、踊れる曲を目指そう」ってなって、この曲が出来たと思う。

—経験したことで形に出来るというのが、すごく伝わってきます。そして、「BREAK IT DOWN」では、「行動しよう!」と謳われていますが、社会的な問題として憲法9条、安保、沖縄や原発問題など、多くの課題が現在も議論されていますが、難波さんが提示したいことというのは?

そうだね。具体的に「この件について考えよう!」って言ってるわけじゃないんだけど、今挙げてくれた中のことをすごく思うよね。もちろん、政治がそういう風に流れを作ってる部分があるのかもしれないけど、実はそうでない部分もある気がするし。良くない流れによって出来てしまう自分の壁や、同じ環境で生きてるにもかかわらず、分断されていっているような感じが作る、目に見えない壁。それによって、自分の行動や表現が遮られてしまうような壁やムードを壊そうって言ってる。

—NAMBA69が、音楽を通して伝えたいこと、感じて欲しいことの中には、こういった現実社会の問題にも目を背けずという部分もありますか?

まず、オレが歌いたいことを歌いたいという部分があって、その上で音楽から考えてもらうきっかけにもなれば嬉しいけど、何よりもまずは楽しんで欲しいよね。例えば「社会について考えようぜ」っていうメッセージがあったとしても、それでいて踊れるっていうところに行きたいんだよね。踊って発散して、目線をその先でちょっと変えてもらえるようなきっかけになればと思ってます。

—ヘタな政治家の演説を聞くよりは「BREAK IT DOWN」を聴く方が、ある意味リアリティもあって共感しやすいし、何より踊れるっていうことは大きな武器ですね。

ビートルズとかもそうだもんね。すごいシンプルな曲でも、深い歌詞があったりするしね。

—そのビートルズの中から、今回「REVOLUTION」をカバーされた理由や、今NAMBA69としてやる意味がそれとも繋がっていきますね。

そうですね。ただ制作面で言うと、「REVOLUTION」が一番大変だったんですよ。オレたちのオリジナルを作るより難しかったもんね。「これ、もしかしたら出来ないかも…」って思ったりもしたから。

—難波さんのキャリアの中で、いくつものカバー曲をされていますけど、その中でも難しかったんですか?

難しい。単純に2ビートにしてとかはイヤだったし、意外にAメロの部分が一番ですね。

—なるほど。でも、そういった考えの中で臨むから、NMABA69の進化があるんだとも思いました。

それはあるかもなぁ。やろうと思えばね、いくらでも出来ることはあるんだけど、NAMBA69のオリジナリティーを見せたいから、アレンジが大事なのね。実はカバーって、そういう部分が出やすいんだよね。その楽曲をみんなが知ってる程そうだし、今回のビートルズみたいにポピュラーな曲だと特に「こういうバンドなのね」って打ち出しやすいんですよ。だからこそカバーって面白いんだけど、今回もしAメロを2ビートにして「なるほどね」って、普通に思われたらダメだったと思う。NAMBA69のオリジナリティーを見せるのに、オレたちは結構ヘヴィに持ってって、それからサビで早くしたのも、みんながモッシュする光景を浮かべてアレンジしたんだよね。

—因みに曲のアウトロに収められている歓声は、ライブで録音されたものですか?

あれはレコーディングをRed Bull Studio Tokyoで録ったんだけど、そこのスタッフの人たちの声なんだよね。ものすごくみんなが良くしてくれて参加してもらったんだけど、実は「Hey!」とか「Ho!」って入ってる曲のビッグコーラスは全部そうなんです。オフィスにいる人も呼んできちゃおうよって(笑)。

—(笑)。

アウトロは「やったー!」っていう達成感をイメージした声なんだよね。未来の子供達には体験して欲しいと思うんだけど、自分が「やったー!」って体験出来ることって、オレ自身にはもうないと思ってるの。ただ、今回はそのイメージは出来たと思ってるのね。「これ聴いたら全部良くなってるんじゃないかな」っていうイメージをビートルズの「REVOLUTION」の力を借りて、ロックにしてオレらが届ける。それをイメージ出来てる人間じゃないと、ポジティブでいられないし、理想とする世界とか、自分がいい感じに思ってることを伝えられないと思うんだよね。

—イメージを持つことと共に、難波さんはそれを持って行動もされているから、伝わるんだとも思います。

行動って言っても、オレが出来ることって音楽しかないけど、まだまだ出来ることもあるだろし、それは自分の課題ですね。みんなにいい感じになってもらいたいし、そのためにはみんなで考えていかないとね。

1

2 3