—本メディアが初登場ということで、最初に「gibkiy gibkiy gibkiy」の経歴から伺わせてください。
aie:最初が2009年?
kazuma:そんな遅かったっけ?
aie:そうです。kazumaさんと「何かやろう!」っていうところから、基本的にはギターとボーカルだけで、他に同期モノとかなしっていう…
sakura:Wham!(イギリスの2人組ミュージシャン)だね。
一同:(爆笑)
aie:まぁ、新しい世代のCHAGE and ASKAになろうと思ってたんです(笑)。僕は名古屋の先輩でもあるkazumaさんと、音楽の話をちゃんとしたのがこのときからだったんですけど、2人での活動を「highfashionparalyze」として、3年くらい続けてたんです。たまたま、僕とsakuraさんがやってる「THE MADCAP LAUGHS」のツアーにkazumaさんが遊びに来てくれたことがあって、飲んでる席で「明日、京都なんだけど来ない?」って。それで、京都にkazumaさんが来て「highfashionparalyze」をその日にやったんですよ。もちろん、sakuraさんにも観てもらって「うまいこと一緒にやれるかもなぁ」って話をした数カ月後に、また名古屋で「THE MADCAP LAUGHS」のツアーがあって、そこに「highfashionparalyze」が出ることになったんですけど、sakuraさんが「じゃあ俺もドラム叩くよ」って。
—「highfashionparalyze」として、ドラムが入ったのはこのときが初めてだったんですか?
aie:そうなんです。そこで久しぶりにkazumaさんが生ドラムで歌ってるのを観て、良い感触だなと思ったし、タイミングが合えばこの体制を続けようかなと思ってたら、ツアーが決まったんですよ。「じゃあ、この3人でツアーまわろうか」って話した席にkazuさんがたまたまいて(笑)。そのツアーの話をしながらkazuさんに「その日、何してます?」って聞いたら「僕、始めから行く気ですけど」って(笑)。それでそのツアーを4人でまわったっていうのがきっかけですね。
─あれよあれよと飲みの席で決まっていってますが(笑)。そのときは、sakuraさんもkazuさんもあくまで「highfashionparalyze」のサポートとして、という解釈で良いのでしょうか?
kazu:そうですね。みんなが飲んでた席に僕が行った時には、「highfashionparalyze+sakura」として、ツアーの場所が発表されてたし、そこに僕がついて行った感じです。
aie:でも、そうなるとわからなくなるから”+sakura”も辞めて、今まで小文字だったのをこの4人で動くときは大文字の「HIGHFASHIONPARALYZE」にしたんだけど、やっぱりそれもわかりづらいと(笑)。そのツアーの為にレコーディングしてるときに「これならフルアルバムで録れるかもな」ってノリにもなってきたから、新しいバンドにしてちゃんとした活動をしましょうっていう。それでkazumaさんに「新しい名前をつけましょう」って言ったら「gibkiy」だと。
kazuma:もう「highfashionparalyze」とは切り離して、この4人でやるイメージを考えたら”しなやかなものは歪と紙一重”みたいな言葉が浮かんで。その意味を成した「gibkiy」って、元はロシア語なんですけど英語読みにしてるんですよね。ネットで検索しても、他の物が引っ掛からないんで「これいいな」って。それで「gibkiy」を3つか5つ、どっちを並べるのがいいか聞いたら3つになった。
─「gibkiy」5連呼のパターンもあったんですね(笑)。
aie:いやー、3つだな(笑)。
─ツアーの為のレコーディングでは、バンド内での感触が良かったからこその「gibkiy gibkiy gibkiy」となったようですが、「highfashionparalyze」を踏襲するだけに収まらなくなった?
aie:そうでもありますけど「gibkiyだからこう!」みたいなものもないです。例えば1人でも変わったら、全く違うものになると思うんですけど、この4人だとこういう音をたまたま出してて、それが良いっていう。
kazuma:「こういったものをやろう」ではなく、「この4人でやろう」ってだけなんです。自分たちのバックボーンにある”匂い”を出していけば、カッコイイものが出来るんじゃないのっていう。
─各楽曲にはインプロ的な要素が見え隠れしていると思ったのですが、それが”匂い”を出していったことに繋がっていくのでしょうか?
aie:sakuraさんが叩き始めるのをきっかけに、そこに我々が寄っていく。2人でやってたときはテンポとかチューニングとか関係なくやってたんですけど、そこにsakuraさんのドラムが入ると更に難解になって、同じく難解なベースが入って(笑)、そうやって我々味になったみたいな。
sakura:俺の捉え方だと、まず「highfashionparalyze」というサイズのキャンバスが与えられたから、好きに絵を描いてっていう状態。ベースがいないんで、単純にリズムをとるだけじゃなくてドラムっていう筆を使って、キャンバスに殴り書きをするようにやればいいと思ってたから。特にそれに対して呼応してくれるのがkazumaくんだったりとか、それを好きに描かせてくれるのがaieのギターだったりするから。まず2人でやってた楽曲があったのがデカかった。そこにベースのkazuくんが入ることによって、やっとドラムらしいことが叩けるって感じ。
─使う筆は同じでも、キャンバスや一緒に描く人によって全然使い方が違うし、sakuraさんが必要以上の筆を使わずに描けるようになった?
sakura:そうそう。ベースがいなかったときは、使う筆が何種類かあったのに対して、ベースが加わったことによって「この筆は使わなくてもkazuくんがやってくれる」ってなって、最小限の筆だけで出来るみたいな。
kazu:普通のロックバンドと比べると、ベースレスだったりリズムレスだったりしていて、シンプルな方が難解に聴こえるというか。リズムが無いことっていうのが、ロックバンドの中では異質に聴こえていて、そこがカッコイイ部分でもあったので。ベース入れるときにそういう部分は残したかったし、そのくらいベースやドラムって、普通に曲が出来ちゃうんですよね。
sakura:悪く言えば、当たり障りなく出来ちゃう。
kazu:そうならないようにしようっていうのはありましたね。あんまり天邪鬼にやってしまうと、これもまたおかしくなっちゃうんで、1番カッコイイ状態に持って行こうとは思ってます。あとアンサンブルとして聴いたときに、あんまり聴いたことがない聴こえ方をするものが作れたかなと思います。