gibkiy gibkiy gibkiy インタビューvol.40

─元々のaieさんとkazumaさんで描いたキャンバスとは違うキャンバスになっているわけですが、その世界観に新しい筆が2本入ったことによって、感覚として額が広がったのか、それとも額につけられる絵が増えていったのかだと、どちらが近いですか?

kazuma:僕的には空気感が良ければカッコイイと思っちゃうんで、それが2人でも4人でも一緒だと思う。でも今はパートとして僕の他に3つあるものを信じてるから、集中する部分が明確に見える。そこから広がってるのか広がってないのかは感じる人次第。だけど、そこでまとまっちゃいけないみたいな。ひと言で言うと「信用」ってことで、そのときどきに描かれるものを楽しんでます。

─4人になったことに対して、すごく肯定的ですよね。

aie:そうですね。ドラムとベースが増えたことよりは、4人になったってことの方がバンドとしては大きなポイントかな。たまたまsakuraさんドラム・kazuさんベースですけど、sakuraさんが1番ギタリストっぽいフレーズ多かったり、逆に僕がベースみたいなこと弾いてて。パートこそ違えど、たまたま4人でやってるのが楽しいってだけで。ツインギターみたいなノリで、1番ギターっぽいのはsakuraさんですね(笑)。

sakura:まあ、道具が違うだけで、描きたいって意思は一緒だと思う。この人って「こういうフレーズがうまいよね」とかどうでもよくて、「ギターでこういう描き方するよね。」とかね。それでこの4人でいるってだけだから、演奏家として当たり前な自分の表現したいことを自分に沿った道具で、表現出来る集まりがここなんだろうなって。上手い下手は関係なく、どんな言葉よりもどんな絵を描くよりも、1番自分のパートで表現するのが得意なんだろうなって。

─1番の自分の色を描き出せる集合体が「gibkiy gibkiy gibkiy」にあるってことですね。

aie:「highfashionparalyze」をやるときに、kazumaさんが「俺、音楽よくわかんないけど、傷口で言えば『血だらけでベトベト』」って言って「あぁ!わかりますわかります!」って。4人で作るものに対して傷で言えば「血だらけでベトベト」なんだろうなって思います。

kazuma:あと、最初は特に2人でやっていこうってことじゃなかったんだよね。他のメンバーを探すのかとか決めずにスタジオ入って、2人で鳴らしてみて「やっちゃえ」って思ったんですよね。最初、aieくんに「ギターをギターと思わないでくれ」って言ったんですよ(笑)。最初に渡したり聴かせた曲には、殆どギターが入ってなかった(笑)。2人でやって、削ぎ落した方向でカッコよくしたいっていう考えが僕にはあって、それは4人でも2人でも変わんないし、後ろに3人いる絵はいいなって思うんですよね。

sakura:この4人で描きたいんじゃなくて、描きたい4人が集まったっていうのもあるし。この4人の根本は変わらないんだけど、出てくる材料が変わってくるし、この組み合わせだから出てくる引き出しも違ったりとかするから、我々が変わってないつもりでも、受け取り手が変化を感じているのかなって。だから、まだ「こういう風に見せたい」っていうのは決まってなくて、ただ「この4人で出てくるのは、自ずとこういう形になるよね」っていうものが出てる。

—4人4様のイメージかもしれないですけど、むしろそれこそがこのバンドである必然のようにも思えます。

sakura:イメージの話だと、ボーカルであるkazumaくんの持ってるイメージに無理くり合わせてるわけじゃなくて、俺は俺の中にある”kazumaチャンネル”を出してるだけなんだよね。もちろん、パブリックイメージである”ドラマーsakura”っていうのも俺だけど、それだけじゃなく “kazumaチャンネル”の俺もちゃんと持ってるよってことなんですよ。

aie:そうですね。イニシアチブを握ってるのはkazumaさんなんですけど、始めに旗を振るのはsakuraさんが多くて、僕はそれに味付けするタイプですね。4人になって、今まではお客さんの感想として「変なもの見ちゃった」とか「見なきゃ良かった」って言わせたら勝ちだよねって言ってたんですけど、ツアー終わってからは「よくわかんないけどカッコイイ」って言わせたいに変わって。

─言い換えると、それだけ中毒性があって、もう1度観たいと思わせるライブであると。

aie:そうですね。日によって曲のサイズも違うし、sakuraさんの顔色見て「あれ?あと4小節増えそうだな」とか現場で変わりますし、共演者に「全然わけわかんなかった」って言われても「俺たちもわかんないんだよね」って(笑)。

sakura:あんときの公演やってって言われても出来ない。

aie:1曲の演奏時間も全然違います。「そろそろ終わりかな?」っていう空気でも、kazumaさんからもうひと言あるな思ったらもう一周するとか。

sakura:発想自体はジャズと一緒で喋りなんですよね。役者で言えば、台本に当たるアルバムを出してしまうわけですけど、その台本通りに喋ることは我々には出来ないから。ただ、お題目がないと分からなさ過ぎるから、aieのギターリフや曲のタイトルがあるんだけど。お題目を踏襲しながらも、そのとき思ったことをそのまま叩いてる。

─なるほど。ライブを重ねる毎に楽曲が成長していくとよく言いますが、「gibkiy gibkiy gibkiy」の場合はそれに加えて重ね方も違えば、その成長ベクトルが同じにならないんですね。

kazuma:あと、観てくれる人によっても全然違うと思う。

sakura:だからといって、敢えて意見を統一したいなんて野望もないもんね。

kazuma:それ、つまんないと思うんだよね。良いイメージと悪いイメージが同時進行してるような状態で隣を見ると「あっ!こうだったのね」と思ったりするし、それはすごく次に繋がることだと思う。生まれ落ちて死んでいく中で、僕がチョイスしたもののイメージがついてしまうんですけど、泣きたいときは大声で泣いて、笑いたいときは大声で笑っていうか、すごく原始人的な感情。そういう予定調和でないものをカッコイイものというよりも突き刺さるものにしたい。

sakura:結局、やってる側も予定調和だとみんな飽きちゃうのよ。もちろん、予定調和から生まれるものもあるし、予定調和だとしてもライブをやる意味はあると思うけど、常に予定調和+αをみんな求めてるんだと思う。我々はその+αの部分に特化してるのかもしれない。

─それはお客さんもそうかもしれないですね。まさに「gibkiy gibkiy gibkiy」のライブではその瞬間でしかないものが繰り広げられていますもんね。

kazu:ライブが終わったあとに、そのライブの話をすることが多いもんね。基本、マジメですからね(笑)。

aie:毎回のライブが前回と違いますから、自然とそういう話になっちゃいますよね。間違えがないですし、俺が正解だと言えば、みんな正解なんです。

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