J インタビューvol.41

—その強い音や響きを求めた「eternal flames」を中心とした時間軸がパッケージされていますが、辿り着く為にはどんな要素が必要だったのでしょうか?

J:例えばなんだけど、感情を円グラフで描いて、どこも途切れていないものが詰まってるアルバムを作りたいと思ったんだ。ハードな曲やラウドな曲も好きなんだけど、俺自身の中でずっと昔から存在している、ロック・ミュージックってヤツを表現したかったんだよね。もちろん、ハードさやラウドさの一面も持っているけれど、その部分だけをピックアップしたサウンドって、散々やってきたと思うんだ。

—確かに「eternal flames」は、瞬発的な表現よりも普遍的な表現と解釈できます。

J:何故ならば、何かに対しての強い怒りや感情って、ある意味では沸点のある一瞬のものじゃん?それはそれで美しいけれど、それだけじゃない、ずっと俺の心の中に引っ掛かっているものを曲にしたかっし、それをロックできる自分を見てみたかったのかな。

—それが「I know」に代表される、シンプルな構成にも心地よいメロディが乗る楽曲へと導かれたんですね。また、その要素はライブにも必要なピースだったとも言えるのでしょうか?

J:それもあるし、10年間という長いタームの中で、俺自身が語っていなかった部分もあるというか。うまく言えないんだけど…多分、俺の中でやりたいことは1stアルバムで終わっているんだよね。それくらい強い想いを込めて作ったアルバムだったからね。今思えばそれ以降は、最初に描いたその世界を1つ1つ説明してきたみたいな感覚なんだ。

—仰られた”散々やってきたこと”という部分が、それにあたるということですか?

J:そうだね。10枚目という節目なんて、俺の中では気にしないでおこうと思ってたんだけど、やっぱり節目だよね(笑)。そんなときに、次のスタートに向けて走りだす為の、終着点という意味ではないゴールに辿り着く作品でありたかったんだ。

—例えば、U2の10作目「All That You Can’t Leave Behind」は、その名の通り“置いていけないもの全て”が示唆する様に、バンドの本質を見つめ直し、シンプルで肯定的な大人のロックを響かせていて、その”辿り着きたい場所”への本質を見出す部分が、今のお話しと重なりました。

J:そうだね。ミュージシャンやバンドはアルバムを重ねていく毎に、当然のように刺激を求めていく生き物なんだよね。それはあるべきことなんだけど、ある瞬間に”ベーシックに戻る”ことが刺激的に変わるし、新鮮に思えるんだよね。料理でいうとさ、色んな調理法とか調味料で美味しい味はできたんだけど、最後は素材の良さを求めるっていうね。

—確かに(笑)。

J:あとさ、その素材を何処かに探しに行き、そいつを手に入れるのかどうかの目利きは、自分自身なわけじゃない?

—その感覚も、今までの道のりがないと得れないことなはずですしね。しかも、素材で勝負するとなれば、いちロック・ミュージシャンとしての経験や力が備わっていなければ、辿り着けないんだと思います。

J:それって、ものすごくシンプルなんだけど究極なことなんだっていう感覚だね。 よく言うんだけど「そのギターの音って、distortion踏めば出るんでしょ?」みたいな(笑)。良い音で鳴らすにしても「高い楽器を持ってる人が1番になっちゃうのはファ◯クだ」って、そんな気持ちで始めたんだから。そこにあったものって、純粋な”燃える気持ち”だったはずだからね。

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