TEARS OF THE REBEL インタビュー vol.44

—「もうひとスパイスが欲しいよね」って

─因みに既存であった楽曲はどれになりますか?

MURASE:1つは「LAST NIGHT」で、ライブでもちょこちょこやってた曲です。もう1曲が「Strange Girl」で、これはもう廃盤になってるんだけど、1番最初にリリースしたEPに入ってる曲。ライブでも長い期間やっていなくて、今のメンバーになってからも数回くらいなんだけど、ずっと評判が良くて再録することにしました。

─そう伺っても、書き下ろした楽曲と既存の楽曲を比べて差異が見出せないくらい、その”新しさ”を損なわずハマっていますよね。

MURASE:そうだね。1曲目の「L.G.L.G」は勢いがあって、1発目にかますにはもってこいでMVも撮ったんだけど、2曲目の「GLOW」が所謂”リード曲”になるかなと思ってる。

─TEARS OF THE REBELの王道である要素が散りばめられていますよね。

MURASE:リフが効いててリズムが跳ねてて、サビがキャッチーだね。最初はバンド・サウンドのアレンジだけでも良かったんだけど、前作の「STARRY DISCO」と変わらない感じもしてて。
「もうひとスパイスが欲しいよね」ってメンバーとも話してて、今まで手を出していなかった同期を入れたんです。

─もはや鳴ってないと成り立たないっていうくらい、ガッツリ入っていますよね。

MURASE:ここに関しては貪欲に入れていったかなぁ。今までのアルバムは、入れてもシンセとかで広がりをつける役目だったり、効果音的に扱うだけだったけど、今回はガッツリだね。

─T$UYO$HI(The BONEZ / Pay money To my Pain)さんへも、何か具体的なオーダーをされたんですか?

MURASE:イメージくらいですよ。KOJIが「ガッツリやれる人、誰かな」って言ってきたんで、「T$UYO$HIでしょ」って。本人に振ったら、二つ返事でOKくれてね。
同世代でTEARS OF THE REBELのことも良く知ってくれて、何よりオレにとっては元メンバーだしね。イメージを伝えて1度作ってもらって、それを聴いて細かい修正を入れてもらってFIX!本当に早かった!流石だよね。

—ラウド / ヘヴィ・ロックをやってるから、ポップ・ソングはご法度とは考えてない

─「RAIN」では、鍵盤の存在感が大きいですが、これまでの楽曲でもあったのでしょうか?

MURASE:ないですね。今までは、メンバーが出す音だけで構築していたし、ギターのダビングで世界観を作っていたから、バンドサウンドが基本だったよ。今回は、最初からメンバー以外の音が欲しいという話をしていたし、その想定でラフなプリプロもしてて。

─かといって、アルバムの中で浮くこともないし、むしろTEARS OF THE REBELの新しさとして魅せられている楽曲ですね。

MURASE:そうなんですよね。これがバンドのキャパシティが広がったことなのか、違和感なく聴かせられるスキルがついたのかはわかんないけど(笑)。

─両方を持っていたんだと思います(笑)。既にライブで披露はされましたか?

MURASE:『DISSIDENT』リリースパーティーでやりました。これからもっと良くなると思うけど、ニュアンス的にも”こうやるんだ”っていう曲が求めている表情を何度かやって感じてますね。

─こういったメロディラインは主に村瀬さんから出されるんですか?

MURASE:いや、「LAST NIGHT」自体を作ってきたのもKOJIなんだけど、その時点でメロが付いてたかな。みんなから「アイデアを頂戴」って言うときがあるけど、他の曲もメロは基本KOJIですね。メロディーを鍵盤で作り込んだりして固めて行くんだよ。

─ある意味、「L.G.L.G」から「DREAMS」まで、アルバムがグラデーションの様に表現されているというか。そして「SWEET SORROW」で、一気に次の扉を開いているような感じがしますね。

MURASE:そうなんですよ。流れでいくと、ハードなものから歌モノへ徐々にグラデーションしていく感じがあって。「SWEET SORROW」も、今まで音源にはしてなかったテイストをやりたいねっていう1つでもあるし、バラエティでいうところの”バラードの表情”を担ってるのかな。

─「TEARS節になればなんでもあり!」とお話されていましたが、「SWEET SORROW」で描けたことは、その楽曲の持つ雰囲気や匂いに加え、TEARS OF THE REBELが元々持っていた、音楽的ルーツの筆を使うことができた部分があると思います。

MURASE:そうだね。「絶対、バラード入れようぜ」っていうより、「この曲良いじゃん、やろうよ」っていう原石が、たまたま今までやってなかったものだったし、やりたいと思えるようなテイストの曲だったからね。まぁ、敢えて入れようなんて思わないしさ(笑)。 「SWEET SORROW」然り、「Tonight, Bright」はTEARSの中でもポップな部類に入るんだけど、オレが今まで聴いてきた音楽でいっても、全然アリなんだよね。例えば、Linkin ParkだったりKornとか好きだけど、BlondieとかThe Pretendersも同じように好きだから、その音楽的な振り幅の中でTEARSも表現しているかな。だから「ラウド / ヘヴィ・ロックをやってるから、ポップ・ソングはご法度」とは考えてないかな。でも、他のバンドはどうなんだろう(笑)?

─「GLOW」も「Tonight, Bright」も、ごく自然に生まれた楽曲であるから、どちらかに振り切るのは、逆に不自然なんだと思うんです。なので、どちらかに振り切っているアーティストがいるのも事実ですけど、それもまた自然で、差分があるとすれば村瀬さん・バンド自身がしてきた、経験や知識になるのかも知れませんね。

MURASE:そうか、あんまり周りを気にしてないからな(笑)。例えば「ラウド・シーンに入りたい」とかは特に思ってない。だからと言って、そういうシーンの人たちがどう思うかはさておき、そういったバンドの人とやらないってことじゃないし。別に俺らはお客さんを選んでもいないし、そこはみんなそうだと思うんだけどね。

─好きになってくれたら、拒む理由なんてありませんもんね。

MURASE:本当にそうだと思う。ジャンルとかで分けるのは、最初に聞く側にとって分かりやすい判断材料であれば良いと思う。

—1曲1曲に俺たちのエッセンスが必ず入っている

─「DISSIDENT」は、ぶっちゃけ分けづらいです(笑)。

MURASE:それ、よく言われます(笑)。だから対バンとかもすごく悩むんだよね。

─仮に1曲1曲をジャンル分けならできるかもしれないですけど(笑)、TEARS OF THE REBELはそうではないことが「DISSIDENT」を聴いてわかるわけですし。

MURASE:他にこういうバンドがいなくて、面白い存在ではあると思うんだけどね。今回のアルバムでいうと「L.G.L.G」と「Tonight, Bright」を同じバンドがやってるわけじゃないですか。でも俺ら的には全く違和感はないし、1曲1曲に俺たちのエッセンスが必ず入っているからね。

─だからこそ、アルバムとして違和感がないし、そのエッセンスは無意識に仕込まれている要素なんでしょうね。

MURASE:背伸びもしてないしね(笑)。あくまで等身大でこれをやるっていうのはあるかな。

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