TEARS OF THE REBEL インタビュー vol.44

—「もう1回聴きたい」と思ってもらえるような尺

─ラストの「Inspiration」はインスト・ナンバーですが、結果として「DISSIDENT」の幅を広げることにもなった楽曲と思ったのですが。

MURASE:前作の「MM/CD」にもラストにインストを入れていたんだけどが、ちょっとその流れを汲んだというのもあるし、並べたときに”ここかな”って思った。実際、あれがあるとないとじゃまた違うよね。

─接着剤っぽい要素というか、また「L.G.L.G」へすんなり戻れたりもしますし。

MURASE:そうだね。ループしたくなる作用があるよね。狙ったんだけど。

─その要素として、ある種の基準ではないですが普通の楽曲だと4〜5分くらいですけど、TEARS OF THE REBELの楽曲は2〜3分に凝縮されてるイメージがあります。

MURASE:よく気づいたね。その通りで、表現したいことが多いから長くなりがちなんだけど、最近は、1回作ってから曲の構成はかなり削ぎ落してる。初期の曲は長いし、自分たちで聴いてても長いって今だと思えるから、アルバム全体ももちろんなんだけど、その曲を「もう1回聴きたい」と思ってもらえるような尺にしてるよね。

─PUNKの楽曲で特徴的な短さで終わるのとは、要素が違うというか。

MURASE:具体的に言うと、繰り返しのAメロを省くとか、ブリッジ部分は本当に必要かとか、間奏の尺とかだね。
曲中で一番の聞かせ所をフューチャー出来る様にしてる。サビをしっかり聞かせたい事も狙ってるしね。

─今伺って、2つの作用があるかなと。1つは、ごく自然にリピートへ向かえること。もう1つは、その凝縮した時間で説得力を持たせられていることだと思うんですよね。

MURASE:そうだね。曲を最大限活かせる長さだと思ってる。例えばBメロを2回も3回もいらないじゃんって思うんだよね(笑)。TEARSでそういう取り組みをするようになってから、他の曲を聴いて「ここ絶対いらないじゃん」って思うことは多々ある(笑)。そこは拘った部分だし、意識的にシェイプアップはした。

─今回、収められた9曲で描かれた世界は、ネガティブというよりはポジティブな印象を受けました。バンド名にも通ずるようなアルバム・タイトル「DISSIDENT」では、バンドとしてどういった表現ができたと思いますか?

MURASE:ぶっちゃけ、コンセプトがあるものではないし、できたものをそのまま詰めていったんだよね(笑)。「DISSIDENT」は、レコーディング中のアルバムが上がる直前ぐらいに「そろそろタイトルを決めないとね」って言って決めたものなんで、逆に1つ1つの楽曲たちが「DISSIDENT」を表しているという方が正しいかもしれない。

─確かに。9曲の表情が良い意味であまりにも違いすぎるので、同じアルバムに収まっていること自体が反体制を表していると思います。

MURASE:そう言ってもらえると嬉しいです。TEARSらしさがこういうことでもあると思うんだけど、どうですか?他のバンドさんにもTEARSみたいなのいないですか(笑)?

─きっぱり、いないですね(笑)。それが他のバンド・アーティストからしてみても、似た表現をしないし、オリジナリティを求めているからこそ、それぞれの活動や楽曲が成立しているわけですし。一方で、TEARS OF THE REBEL自体も当初のコンセプトであった”黒いガンズ”に加え、KOJIさんMURASEさんが中心となって、若いメンバーを入れることによる”新しい風”が、今の楽曲で表現できていることだとも思いますし。それは、TEARS OF THE REBELとしての、芯がブレていないからだという気はします。

MURASE:芯がブレていないのは、確かにそう思う。どんな曲でも、明らかにウチららしくできると思うし、やっぱりKOJIがこのバンドを始めるにあたって「歌をやりたい」と言ってくれたんで、歌メロと勢いだけではない要素が、ちゃんとバンドにあるっていうね。

—「DISSIDENT」はライブで育って、変わっていく。

─ライブでは、過去の楽曲を含めたセットリストを作られていると思うんですけど、TEARS OF THE REBELらしさが変わっていないから、交わり方も問題ない?

MURASE:全然問題ない。「この曲は浮いちゃう!」とか、交わらないってことはないね。

─「DISSIDENT」を引っ提げた今後のライブでは、まだ演奏している回数が少ないからこそ、楽曲の違う側面が見せられるかもしれないですね。

MURASE:それは自分たちでも感じてて。単純に曲の表現力とかも、5回やるより10回やる方が細かいところまで伝え切れるし。もちろん、新しい曲が昔の曲との差があってはいけないと思うけど、表現の仕方とか聴こえ方っていうのは、どんどん変わっていくんじゃないかな。

─特に「DISSIDENT」はライブで育ててきた楽曲ではないからこそ、その成長度が高いという言い方もできますし。

MURASE:そうですね。これまでの曲は、ライブである程度育ったものをパッケージにしてたから、その違いは正直あるかな。「DISSIDENT」はライブで育って、変わっていく。ぶっちゃけ、オレなんか音源とは違うことはかなりやってるし(笑)。ライブって、同じことを弾いててもそのときの気持ちとかその日の環境とかで違うしからね。そういう意味では、1つ1つのライブは楽しいんじゃないかな。

─今後のライブは見逃さないで欲しいですね。

MURASE:そうですね。決まってるスケジュールは多々ありますので、是非楽しんでもらいたいですね。


取材:2016.04.22
インタビュー・テキスト:Atsushi Tsuji(辻 敦志) @classic0330
写真:O.J.A live photo:sentaro

リリース

DISSIDENT

・ECXXX-0005 / ¥2,500オフィシャルより購入

ライヴ

Vestimitation Works Presents 『rhedorical tactics Vol.8』
2016/05/20 (Fri) 下恵比寿Club Aim
TEARS OF THE REBEL / RHEDORIC / DINOSPEC / Reach The Skyadv / 2,500 (+1d) door / 3,500 (+1d)
e+【入場順】
物販先行チケット – プレイガイド – バンド予約 – 当日券

Takatoshi Murase Solo Exhibition – 個展 –

2016年6月より。後日日程詳細発表(開催期間 約1ヶ月開催予定)
鉛筆画等のイラストの展示。展示作品について
今回SMACK ENGINEERの協力により、
SMACK ENGINEERとコラボレーションして来たアイテムの原画を展示予定。1999年 – 渋谷区松濤美術館 公募展に出展し優秀賞を得た作品を17年ぶりに展示予定。

FRAMES中目黒
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TEL:03-5724-5097
営業時間 AM11時30~AM3時
(金、土、祝前日AM11時30~AM5時)
【アーティスト情報】
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