R2Y+J インタビューvol.45

—僕らの思っているR2Y+Jはこれ

─ライブを中心とした活動の中、音源で表現するR2Y+Jには魅せる表情に違いはあるのでしょうか?

Lüna:新曲を初めてライブでやった後、スタジオでアレンジを練り直して次のライブってなるんだけど、そのライブとスタジオで進化させたものが、最終的に音源となって今回のアルバムとなっていますね。逆に言えば、これが各楽曲の最終形でもあるから、ここから変えることはないですね。

A・O・I:あるとすれば、Lünaさんがさっき言ったように、ライブの曲間が大事なので「BELEAVE」や「VIBES」のオープニングには、色んなバリエーションがあるんですよ。もちろん、曲自体が始まってしまえば、その曲のストーリーですけど、それまでの時間に変化をつけていて、アルバムに収録した「BELEAVE」は3パターンあるうちの1つを収めています。

Lüna:「VIBES」も初期のオープニングだった頃と、今改めてオープニングでチャレンジしている始まりは全然違うものですね。

A・O・I:そういう違いを更に極めていきたいんですよね(笑)。さっきの土台の話じゃないですけど、そういった曲間でバンドの自由度や柔軟性が表現できるところでもあるんで、すごく楽しいんですよ。

─だからと言って、曲のテーマやバンドのコンセプトが変わることはないので、それを広げる要素が曲間にあるんでしょうね。

Lüna:ここ1年くらいの主催イベントだと、アンコール以外はほぼMCなしでやっているんですけど、そのくらい曲間の時間が重要になっているんですよね。

─それは、R2Y+Jを表現する上で”MCは不必要”ということですか?

A・O・I:今はそうですね。最近のスタイルでは、最初のバンド紹介とラスト前の挨拶くらいですけど、それ以外の曲間が無音ではなく、ずっと音が止まず続いているんです。そうなると、その音の中で話すテンションって大事じゃないですか(笑)。

─確かに(笑)。暗く話しても明るく話しても合わないとズレますね。

A・O・I:そういう工夫をするくらいだったら、音を工夫したいんですよね。映画のようにじゃないですけど、流れるように表現する方法として、音を止めないということで、今は模索をしている感じですね。

─このインタビューを配信するタイミングでは、既に終えた後となってしまいますが、「LIMIT CODE」発売記念ワンマンライブでも、それが垣間みれるわけですね。

A・O・I:そうです。しかも、新曲を加えるつもりなんですけど、このアルバムのライブというよりはこれをスタート・ラインとした、次のR2Y+Jへの第1歩のようなイメージです。かといって、イメージしているR2Y+Jの枠からは外れてはいませんが、面白い音を聴かせられると思っていますね。

─“「LIMIT CODE」発売記念”というタイトルに、勘違いをしてしまうところでした。アルバムのお披露目的な要素よりも、新曲を加えることで更に最新のR2Y+Jを披露する空間になると。

Lüna:最初、アルバムを構成するにあたって、これまでの音源9曲と新曲をいれて、要は全ての楽曲を収めようとしていたんですけど、あるときに”今出す必要のあるアルバムにしよう”という考えに変わって。もちろん、ライブでは全曲やったりしているので、”この曲は盛り上がる””この曲は気に入ってくれている”という側面もわかっているんです。それでも、その曲が自分たちの”今”っていう観点の軸でなかったら、収録から外そうというね。

─「LIMIT CODE」がよくある”ベスト・アルバム”的な要素も見られなければ、実際に視聴したときに繋がりを感じられるのは、こういったバンドの姿勢がセンターピンとして掲げられていたからなんですね。

Lüna:録音した時期がバラバラであっても、そう聴かせられるようにしたかったんです。だから、「LIMIT CODE」発売記念ワンマンライブでも、同じように今のR2Y+Jを見せたいんですよね。

A・O・I:因みにアンコールの鉄板曲も入れてないんで(笑)。それは、バンドが”次”に向かっているし、今までR2Y+Jを応援してくれた、ファンのみなさんへのプレゼントではないんですよね。だからと言って、今後その曲を演奏しないとかでもないですし、次の新譜に収録される可能性もゼロではないんです。

─ファンへの感謝がないわけではなく、今のR2Y+Jに嘘のない軸で届けることが「LIMIT CODE」に込められていると。

A・O・I:僕らの思っているR2Y+Jはこれだっていう、ただそれだけなんですよね。これまでのファン、これから出会えるであろうファンを見ていない訳ではないですし、新しいR2Y+Jを表現する10曲で、逆に分かち合いたいですよね。

─それが”R2Y+Jらしさ”でしょうし、今回のインタビューで伺っていても、それが自然だと感じられたので、ファンの方々はその意図を理解してくれているんだと思います。しかも” 新しいR2Y+Jを表現する10曲”と話された通り、「SONIC WAVE」が終わった後、すんなり「BELEAVE」に戻れたんです。

Lüna:それは狙ってた(笑)。

─これ、私はまんまとLünaさん意図通りになったんですね(笑)。

Lüna:この並びは、絶対もう1度聴きたくなるって言ってましたね。

T-T:言ってましたね。

A・O・I:Lünaさんの術中にハマりましたね(笑)。

Lüna:(笑)。さっき、A・O・Iくんが言ったように、未知なる人にR2Y+Jを知ってもらえるキッカケにしたいという思いが強かったし、その為には繰り返し聴いてもらえるアルバムにしたかったんです。実際に、その軸で曲目を絞り込むのは早かったんですけど、曲順だけ最後の最後まで悩んだくらいですね。

─アルバム・タイトルである「LIMIT CODE」は誰が持ち寄られたのですか?

Lüna:僕からです。A・O・Iくんも「LIMIT CODE」っていう曲を作ろうか?って言う勢いがあるくらい、1発で気に入ってくれて。

T-T:実は”◯◯ CODE”ってアイディアのとき、あんまりピンと来てなかったんですよ(笑)。でも”LIMIT”ってつけられたときに、バッチリって思いましたね。

A・O・I:「LIMIT CODE」って造語ではありますが、”限界の和音(共鳴)”っていう解釈をしていて。それは3人が戦っている調和であると思うんですよ。さっき、アルバムに含めなかった曲があることを話しましたけど、要するに次のR2Y+Jが見える10曲を選んだからこそであるんです。ちょうど、スタジオで新しい曲のセッションをしている途中なんですが、まさにこれまでになかったけど、R2Y+Jに合うものを入れていっている気がしているんです。

─それがR2Y+Jの進化であるとも言い換えられます。

A・O・I:そうですね。「LIMIT CODE」をスタートとするならば、より”バンド感”が強くなる進化をして行っている最中ですね。R2Y+Jらしい旋律はあるので、歌モノとして聴こうとすればそうなりますが、ミュージシャンや同じようなバンドマンが聴いたときに、より楽しくて自分たち自身も充実しているサウンドになっている気がしますので。

─ロック・バンドとして、と解釈しても良いのでしょうか?

A・O・I:アート・ロックって勝手に呼んでいるんですが、旋律があってキレイなんだけど、芸術性が高いと言うか。それでいて、そっちに転び過ぎないバランスをR2Y+Jは表現できるはずなので、そういう挑戦をしていきたいんです。

─その入り口を担った楽曲という点で、「LIMIT CODE」に収めた楽曲ではどれにあたりますか?

A・O・I:「BELEAVE」と「RAY」は、R2Y+Jの歴史上で新しい曲なので、そこにはヒントがあると思います。

Lüna:さっきの”ライブのMCをせずに音を途切れさせない”に繋がっていくんですけど、ライブも含めて”分かりやすいことを分かりやすく”表現することに、あんまり魅力を感じていなくて。経験値で言えば、僕もA・O・Iくんも分かりやすく盛り上げることって、簡単に出来てしまうんですよ。これまでに盛り上げる曲をやってきたし、盛り上げる空間を作ってきたから。ただ、R2Y+Jでもその空間にいるお客さんを同じようにしていくのはやりたくないし、それをするバンドじゃないんです。

─「BELEAVE」が1曲目であることも、まさにA・O・Iさんが仰ったヒントとなっています。

Lüna:アンコールの鉄板曲も入れてないしね(笑)。自分たちが理想とする表現やライブの空気感を作りたいし、それがバンドの武器にもなる。そうなると、ライブで盛り上がる曲を入れちゃうことは、武器を消してしまうことになるんです。

─R2Y+Jで見たい景色というのは、過去に見てきた景色を重ねたいわけでもなく、あくまで自分たちが未だ見ぬ景色を求めているからこそであって、それがR2Y+Jとしての存在意義みたいなものになっているんでしょうね。

Lüna:突き放すとこは突き放すし、盛り上げてあげないし(笑)。A・O・Iくんが言ったバランスの話に近いけど、そういった作り込んだ世界だけではなくて、そこに人間臭さがあったり、T-Tにはエモーショナルなドラムを叩けって言ってるしね。

A・O・I:今のLünaさんの話を聞いて思ったのが、分かりやすく導いてあげられていませんが、バンドが分かりやすいところに引っ張られそうになると排除していきつつ「分かりづらいけどカッコイイだろ!」っていうものを提示していきたいんだなと。

Lüna:僕らがこうしたいっていうことと関係なく、その日のライブを楽しみに来てくれる人にとって、もしかしたら戸惑いやギャップが多少あるかもしれないです。求められる楽しみと、僕らが求める楽しみに差がある可能性もありますし。ただ、それを楽しんでもらえるように、リードしてあげられる力量をつけなければいけないと思っていますね。

─それは、現段階でもステージで感じている空気感と、フロアでの空気感の差が生まれてしまっているのでしょうか?

Lüna:ライブを観に来てくれた方から客観的に言われたんですけど、R2Y+Jが作りたい空間とお客さんが求めている空間がズレてるんじゃないかって。そこではっきり言われたことで、改めて気づきましたし、尚更分かりやすいことを排除していくべきだと思いましたね。

─一瞬の盛り上がりで満足感を与えることより、音が止まないこともそうですけど、ライブ全体を通した時間軸でR2Y+Jの空間を味わってもらうことで、絶対的に得られる満足感にしたいと。

Lüna:それを目指しているし、それへの責任感もありますね。

─また一方で、初めてライブを観に来る人、初めて音源を聴く人にとっては、そういった色眼鏡もないわけで。私が”これがR2Y+Jです”と提示された「LIMIT CODE」にすんなり入り込めたように、スタート・ラインという言葉が示す通り、R2Y+Jの世界に引き込むパワーがアルバムに封じ込められていると思うんです。

Lüna:そうなって欲しいですね。もしかしたら、ずっと固まっていたものが「LIMIT CODE」を入り口に中和されていくかもしれないですし、ライブでも空気の流れが変わっていくキッカケになるかもしれないですね。

A・O・I:こうやって、皆さんが話していることを伺ってて、改めて今作っている新曲が良い感じになっていく気がしましたね(笑)。

Lüna:見えてきた(笑)?

A・O・I:期待していて欲しいって思いましたね。

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