T$UYO$HI ( The BONEZ ) インタビューvol.55

ーこのバンド人生の中で、一番肩の力を抜いて作れたアルバム

メロや歌詞も然りですが、曲自体も4人でジャムりながらですか?
T$UYO$HI:ジャムって作ってる部分がメインではあるし、みんなその感触が残ってると思う。でも、実は半分そうで半分違うっていうか。例えば「Bird ~people with wings~」だと、夜中にレッドロックっていうところにみんなで行って、一晩中焚き火して凄い景色を観て、今までのThe BONEZの全曲を1台の車で聴きながら帰ってきたっていう。その日にThe BONEZは生まれ変わったし、絶対にパワーアップした。で、その夜にスタジオでジャムって出来たのがこの曲なんだけど、もちろんその時には鳴ってないBメロのピアノとか、シンセのイメージが俺の頭の中にあって。日本に戻ってから、iPhoneで録音しといたスタジオの音を元に、自宅でドラムを打ち込んでギター、ベースをバーっと弾いて録って、ピアノやシンセを入れたりちょっとしたアレンジをしたデモの形にして、改めてみんなに聴かせる。「Rude Boy」もジャムでは最後の展開はなくて、ホントはあそこで終わってたの。だけど、最後の3拍子になる部分は、このままただアッパーな曲で終わるんじゃなくて、もう一展開欲しいなって思って、俺が作るデモの段階で付け足したりとか。

半分の意味ってそういうことだったんですね。前作だと、結構T$UYO$HIさんが作り込んできたものをっていうパターンが多々ありましたよね。
T$UYO$HI:そうだね。みんなでジャムらずに、俺が家で一から全部曲を作ったのは、今回は「LIFE」と「See you again」だけだね。今作は、基本的にスタジオで誰かが演奏したものだったりをビルドアップする作業にしたからね。みんなでジャムった曲だから、それぞれ作った感触やフレーズも残ってるし、俺は全員のプレイやイメージを元に更にアレンジしてみたり、すごくうまくいったかな。それこそ「Anthem」とかは、3年ぐらい前の合宿でNAKAが持ってきた曲で。いつかちゃんとカタチにしたいなってとっておいた曲なんだけど、今回NAKAがイニシアチブをとって完成しましたね。後はZAXが初めて作った「One more」。

初ですか!T$UYO$HIさん自体も構成にはノンタッチ?
T$UYO$HI:全くいじってないっすね。今回、アイツが「俺も曲作ったるー!」ってギターとMacBookProを買って、Logicも導入してドラムとギターのデモを作ってきたの。NAKAがフレーズを足したりしてるけど、基本のギターや曲の構成はほぼZAXのデモのまま。更に面白い話があって、俺とZAXでロンドン行ったでしょ。そのときに、俺はこの曲のベースのデモを仕事の合間に、Abbey・Road StudioのThe Beatlesの写真が貼ってある部屋で、パソコン立ち上げてデモを録ったっていう。なのでちょっとポールを意識して、メロディックなベースになってたりする。そのデモに偶然入っちゃったベースのハーモニクスが凄い良くて、その部分だけはアビーロードで弾いたデモのベースのテイクを使ってます。つまりはこの曲はロンドンレコーディングですよ(笑)。


最高!ちょっと意地悪な聞き方すると、ZAXの初楽曲ではありますけど、大凡のギターはZAXが持ってきたもので、それをNAKAが弾くことに抵抗って生まれないんですかね?
T$UYO$HI:前回はあったと思うよ。俺らはあんま意識してなかったけど、前作はそういう固さもあったみたい。でも今回は、そういうエゴじゃないけど「俺はこれなんか違うなあ」みたいなものは捨てて、なんでも挑戦しようって気持ちでいたみたい。俺もデモを作るときは極力NAKAが弾いたフレーズで構成していったし、前回はそれをしなかった反省もあって。実際のやりとりで「もう1回これ弾いて。これNAKAが弾いてたフレーズだよ」「あ、そうか」ってなった方がお互いやりやすいしスムーズになる。

そう伺うと「To a person that may save someone」のレコーディングよりメンバーの間柄も良くなってますよね。
T$UYO$HI:このバンド人生の中で、一番肩の力を抜いて作れたアルバムだと思う。前作は大変なことというかイメージ通りにならないこともあったりはしたしね。例えばサウンドにしても、自分の頭の中にあるイメージを人に伝えるのは難しかった。イメージの掛け違いでうーんってなってお互いストレスみたいな場面もあったし。

それは良くないですね。
T$UYO$HI:そう。もちろん、前回の方がチャレンジが多かったと思うから仕方ないんだけど、今回はそういう要素も乗りこなせるようになった部分もあるし、自分の血となり肉となってるものをそのままやってる感じだったから、みんなも楽しかったと思うしクリエイティブな感じでできたと思うよ。

そう伺うと役割の変化もありそうですね。T$UYO$HIさんで言えば、前作までプロデューサー寄りなイメージでしたけど、今作は1つ降りてよりメンバーとイーヴンでいるというか。
T$UYO$HI:そういや昨日JESSEにも「前回はプロデューサーって感じだったけど、今回はバンマスって感じだね」って言われたよ(笑)。まぁ、実際には作業的にはそんなに変わってないんだけど、やり方というかね。今回のバランス感はとてもいいかな。どうやっていくのが、このバンドのベストなんだろうっていうものがなんとなく今回わかってきたっていうか。ジャムって作って行くのはいいんだけど、その場で完成までさせないで仕上げの作業はデモに起こして色付けをちゃんとやるっていうね。The BONEZの楽曲の魅力って、勢いやグルーヴだけじゃなく、ハーモニーだったり曲の展開感だったりってのもあるから。と同時に、どうしても1人で作らなきゃ出来ない曲もあったりするのね。エレクトロな部分や新しい要素だったり、ジャムでは産まれないような大きなスケールの曲もThe BONEZに必要だと俺は思ってるし。

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