The Cheserasera、満員御礼でリクエストツアー完結! 7月に渋谷WWWワンマン決定

撮影:釘野孝宏

セットリストも折り返し地点を過ぎ、佳境へと差し掛かった頃「ここになかったらどこにあるんだろう」と宍戸が前置いて始めたのは「最後の恋」。終わってしまった恋を振り返りながらも〈後悔なんて一つもないよ〉と言い切るこの曲は、彼らのバンド活動そのもののように思えた。後悔と過去に雁字搦めになっていた時代を経て、自らの意志でバンドを動かすことを覚え、一歩ずつ前へと進んできた彼ら。そのスピードは決して速いものではないが、二の足を踏むことも後ずさりすることもなく、意地でも前に進んできた。

撮影:釘野孝宏

2018年のリリース作品はこの「最後の恋」が収録された5曲入りのe.pのみ。それもライヴ会場限定での発売という、メジャーも経験したバンドにしてはあまりにも泥臭い活動だ。でも事務所と二人三脚で再出発をした今だからこそ、バンドとして原点に立ち返ることが必要だったのだろう。いや、それが去年の彼らにとっては一番自然な形だったに過ぎないのかもしれない。
「最後の恋」の直後のMCで、宍戸は「息が詰まるような歌ばかり、たくさん作ってきたんです」と真情を吐露し始めた。彼はずっと、嘘偽りのない等身大の自分を歌にしてきたソングライターだ。
だからThe Cheseraseraの曲には、分かりやすい応援歌も踊るためだけのダンスナンバーもない。希望と憂鬱の間で揺れ動いたり、忘れたいはずの思い出まで大事にしまい込んでしまったり、いつだってどっちつかず。だけど、それが宍戸本人にとってもファンにとっても、何物にも替え難いリアルな感情なのだ。だからこそ宍戸はそんな自分の歌を聴いて共感してくれた人たちを「心の友達」と呼び、そんなかけがえのない仲間に恵まれてFEVERのステージをソールドアウトできたことに、心からの感謝を述べたのだった。

撮影:釘野孝宏

その後も「愛しておくれ」「東京タワー」とバンドの歴史を総ざらいするかのごとくセットリストは進み、「月と太陽の日々」まで全19曲を演奏し、本編が終了。ステージを去る彼らに贈られた拍手は、そのままアンコールへと変わった。そのリクエストに応え、再び登場した3人は「After party lululu」でアンコールを始める。
祝祭感溢れるメロディーとミラーボールのきらめきが会場を満たす。するとその余韻に浸る間もなく始まったのは「I Hate Love Song」。
「つかぬことをお伺いしまうが、皆様クソみたいな恋愛はしたことありますか!俺の人生最高で最低な恋愛の歌を歌います」という宍戸の口上に焚き付けられた観客たちが、曲中で「笑わせんなよ」と声を揃えて返す場面は何度見ても痛快だ。

そしてダブルアンコールでは新曲を披露。スタートから宍戸の歌が力強く突き抜け、それをエネルギッシュな美代のドラムと、はげしく蠢く西田のベースが追いかける疾走感溢れるナンバーだ。その勢いのまま、ラストは「SHORT HOPE」で締め括った。

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