BAROQUEの圭(Gt)、ソロワンマンライヴ-振替公演-を開催!これから歩んでいく新たな未来への希望… すべてを音楽に込めて届けようとする覚悟

9月10日(木)、BAROQUEの圭(Gt)が、ソロワンマンライヴ『beautiful emotional picture 2.0 「神と理想郷」』を日本橋三井ホールにて開催した。本来は3月を予定していたのだが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期、生配信という選択肢も加えた上での振替公演である。公演直前の9月8日(火)、BAROQUEの怜(Vo)の引退が発表となり、BAROQUE無期限活動休止、ツアーも中止という突然の知らせに激震が走ったばかり。このような心境でライヴを観ることになるとは、半年前には予測不可能だった。

座席は感染対策に万全を期し広い間隔を取られており、観客はマスク着用のうえ発声を控えて開演を待機。紗幕越しにメンバーが登場し、純白のスーツ姿の圭が最後に現れ、ギターを鳴らす。最初の一音だけでモノクロームの世界を色付かせるような、鮮烈な始まりだった。無数の光の泡が弾けてゆく映像を背に、ゆったりと宙を泳ぐように身体を揺らしながら、最新ソロアルバム『4 deus.』収録の「empyrean.」を艶やかに演奏。紗幕が落ち、水面に反射する花の眩い映像が目に飛び込んでくると、2009年の1stソロアルバム『silk tree.』に収められている「pitiful emotional picture.」を繊細に歌い届けた。音楽だけでなく、想像力を掻き立てられる映像、照明、すべてが絡み合って圭の世界を構築していく。

ノスタルジックなオルゴールのような音色に乗せて静かに始まったのは「vita.」。同じく『4 deus.』の収録曲で、刻々と移り変わっていく曲調が人生・生命そのものを映し出すような、約15分の大曲。圭は、無垢なトーンを清らかに爪弾いたかと思えば、やがて咆哮するような攻撃的な音色も含みながら、暗く乱れたカオスへと突進。高松浩史(Ba/THE NOVEMBERS)、山口大吾(Dr/People In The Box)、hico(Key&Mani)の演奏も迫力に満ち躍動的で、4人の音は互いに絡み合いながら昂っていく。最後、圭は酩酊したように跪いてプレイすると、その後呆然と立ち尽くし、静かに音色を響かせた。深く引き込まれる圧巻の1曲だった。空気が一変し、ブルーのシンプルな光に照らされる中、hicoとの2人編成で披露したのはBAROQUEの「YOU」。ピュアなヴォーカルラインを、優しく、時にやるせない切なさを漂わせながらギターで奏でる圭。手を伸ばして何かを求める悲痛な叫びのような、想いの迸るフレーズには胸を締め付けられる。hicoはさざ波のように穏やかなピアノでそっと寄り添っていた。

「一昨日発表したからね、しんみりしちゃうよね…」とファンの複雑な想いを圭は気遣いながら、その件については後ほど改めて話すと予告した上で、「それまでは普通に楽しまない?」と語り掛けると、観客は大きな拍手で応えた。外出自粛期間中にスタートさせたツイキャス配信ラジオ番組『SYNERGY』で経験を積み、目に見える反応がない中での発信に慣れたこと、髪が伸び長い襟足で着る白スーツは「チャラいのでは?」と心配になったことなど、ざっくばらんなトークで笑いをもたらしながら空気をほぐした後、1人目のゲスト、圭が敬意を込めて〝変態ギタリスト″と呼ぶtakutoを招き入れた。2月に圭が出演したフラワーアーティスト相壁琢人の主催イベント『Adam et Eve₋Adam₋』では、takutoはwolrd’s end girlfreindとして出演。以来2度目の共演となる。圭がtakutoの隣へと移り、互いに向き合って音を鳴らし合い、セッションがスタート。音が次々に重なっていくと、それまでの和やかなトーク場面を瞬時に忘れ去ってしまい、時空の歪みに陥ったような狂気の世界へ。ダークでグラマラスな音の洪水に酔いしれ、忘我の境地に誘われていく。圭が脚を高く上げギターを振り下ろしセッションを閉じ、takutoを拍手で送り出した後は、「the sin.」を初披露。配信番組の中で即興的に生み出したばかりの新曲である。太古から変わらない大地の胎動のような力強さと最新のエレクトロニクスとが共存するダンスミュージックに、澄んだ空のような圭の透明なギターが美しく重なっていた。

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