ここまで進んできて強く印象づけられたのは、本格的な始動からすでに1年半が経過しているプロジェクトが、日々着実に、意欲的に、スティングの名曲群に対する‘reimagine’を重ねてきたようだ、ということだった。『3.0ライヴ』収録の時点から、すでにバンドはもう何歩か前に進んでいるのだ。その感触をオーディエンスとともに楽しみながら、次の一歩を模索しているということなのだろう。
7曲目の「ネヴァー・カミング・ホーム」では、ジミ・ヘンドリックスが「ヘイ・ジョー」で聞かせたリフをさらりと取り込み、そして「マッド・アバウト・ユー」。つづいて、「アラウンド・ユア・フィンガー」と「フォートレス・アラウンド・ユア・ハート」を情感豊かに歌い上げると、一転して、世界各地から届くニュースに触れるたびに涙を禁じ得ない現実への怒りと悲しみ、喪失感を叩きつけるように歌う「世界は悲しすぎる」。ステージ後方のスクリーンには、PROTESTの文字が何度か映し出される。
さらに「サウザンド・イヤーズ」、「キャント・スタンド・ルージング・ユー」とステージは進んでいき、ここでまたドミニク・ミラーの繊細なギターに乗って歌う「シェイプ・オブ・マイ・ハート」。向かいあってギターを爪弾くうちに生まれたメロディに、スティングがトランプのカードをテーマに書いた歌詞をあわせたという、二人の共作曲だ。これもまた、音の要素を極限までおさえたトリオによる演奏によって、さらに魅力を増したように感じた。
ポリス初期の「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」と「ソー・ロンリー」がメドレーの形で演奏されると、照明などステージ上のイメージが大きく変わって、「デザート・ローズ」に。この複雑で大胆なリズムの曲でも、クリス・マースのパフフルなドラムスが光っていた。エフェクト類を駆使して北アフリカの砂漠地帯をステージ上に描き出すドミニクのギターにも素晴らしかった。
ポリス最後のアルバム『シンクロニシティ』から、「キング・オブ・ペイン」と、そして、最近のあの話題にはもちろんまったく触れずに「見つめていたい」を聞かせてくれたあと、3人は手を取りあって深々と頭を下げてから、いったんステージをあとにした。






















