米アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を獲得した映画『フリーソロ』以来の壮大なスケールと迫力に満ちた驚くべきアルピニストのドキュメンタリー映画『アルピニスト』が、7月8日より全国公開します。
命綱無し、たった独り 前人未到の挑戦 −−−
世界でも有数の岩壁や氷壁、数々の断崖絶壁を、命綱もつけず、たった独りで登る無謀なフリーソロという登山スタイルを貫いたマークは、SNS社会に背を向けながらも、不可能とされていた数々の世界の山脈の難所に挑み、次々と新たな記録を打ち立てていく。だが、そんな偉業を成し遂げながらも、名声を求めない彼の性格から世間的な知名度はほぼ皆無――。
本作は、思わず目もくらむ、崩れ落ちそうな岩と氷の断崖絶壁をものともせず、命綱をつけずにたった独りで頂点を目指すアルピニストの姿が収められている。普段、なかなか見ることのできないような雄大な自然を背景に、体力と精神力の極限に挑むマーク。そんな彼の驚くべきフリーソロというクライミング・スタイルに、思わず手に汗握る作品です。
彼はなぜ危険を顧みず、危険な山に挑もうとするのでしょうか? そのヒントは、クライミングの歴史に関係がありそうです。その歴史をひもとくと、そのスタイルの変遷は、1950年代ごろを境に大きく様変わりを遂げました。まさにこの時期、ヨーロッパでは登山の概念やスタイルに、革命的な変化が起こったのです。アルピニストたちの装備は、少人数かつ軽装備となり、それによって彼らは、より急な崖を、より険しく危険な斜面を、より速く、より身軽に登ることが可能になりました。技術革新のかいあって、山岳登山は一段階進化することとなりました。
1950年に、フランスの山岳隊が、ネパール中部にそびえ立つ高峰アンナプルナの初登頂に成功して以来、1953年にはヒマラヤ山脈のエベレストが、そして1956年にはマナスルの初登頂が成し遂げられるなど、1950年代は、当時前人未到だった8,000メートルを超える高峰の初登頂が続きました。そうした技術の進歩は、アルピニストたちの意識も大きく変えました。アルピニストで歴史家のバーナデッド・マクドナルドが「何にも拘束されず、解き放たれ、完全にひとり。ハイレベルの単独登攀(とうはん)は一種のアートだ」と語れば、同じくアルピニストのラインホルト・メスナーも「過酷な状況に置ける生還というアートだ」と語るなど、クライミングという行為そのものが彼らにとってのアートであり、人生でもあることを、貴重な過去の映像とともにアルピニスト界のレジェンドたちが惜しみなく歴史を語られてます。
そして、そんなアルピニストたちのDNAをもっとも純粋に、もっとも色濃く受け継いでいるのが本作の主人公であるマークなのです。何ものにもとらわれず、ただひたすらに、目の前にある山を自由に制覇したい。そんなマークの純粋さはきっと観る人の心を打つことでしょう。
この夏、私たちは知られざる天才クライマー、マーク・アンドレ・ルクレールの新たな伝説を目撃する。
『アルピニスト』 (原題:『THE ALPINIST』)
出演:マーク・アンドレ・ルクレール、ブレット・ハリントン、アレックス・オノルド(『フリーソロ』) ほか
監督:ピーター・モーティマー、ニック・ローゼン/制作:レッドブルメディアハウス/配給:パルコ ユニバーサル映画
2021年/英語/アメリカ映画/G/93分/ビスタ/© 2021 Red Bull Media House. All Rights Reserved.
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