Paul McCartney、「Live And Let Die」を巡る逸話について新たな説が浮上

Paul McCartney

ポール・マッカートニーは映画『007/死ぬのは奴らだ』に起用された“Live And Let Die”に関する逸話について新たな説が浮上している。

“Live And Let Die”はポール・マッカートニーにとってソロとして最大のヒット曲の一つで、映画のメイン・テーマとして使われている。

リリース後、ポール・マッカートニーとジョージ・マーティンは2人とも映画のプロデューサーがポール・マッカートニーのヴォーカルを女性シンガーに代えようとして、デモとして聴かされたものだと考えていたと語っている。

「彼は『これまでやってきたこと同様、素晴らしいね。非常に素敵なレコードで、映画のスコアのようだよ』と言っていた」とジョージ・マーティンは1979年刊行の回想録『ザ・ビートルズ・サウンドを創った男 耳こそはすべて』で述べている。「『さあ、誰が歌ったらいいと思うか、教えて欲しい』と言われてね。それには完全に驚かされた」

「結局、彼は僕らが作ったポール・マッカートニーの音源にすることにした。ポール・マッカートニーはポール・マッカートニーだからね。でも、彼は明らかにデモ音源として扱ったんだ。『あなたの言っていることが分かりません。ポール・マッカートニーなんですよ』と私は言ったよ。『ああ、それは素晴らしいことだけど、誰に歌わせたらいいと思う』と言うから、『申し訳ないですが、あなたの言っていることが分かりません』と私は言ったけど、自分には聞いていないことがあるのかもしれないと思った。『女性を入れなければいけないんでしょうか』というね」

この逸話についてはポール・マッカートニーの口からも語られており、歴史上の事実として扱われてきたが、作家のアラン・コージンとエイドリアン・シンクレアはアメリカのとある大学に保管されてきた未公開の契約書を発見しており、それは映画のプロデューサーがポール・マッカートニーの声をそのまま使いたいと思っていたことを示しているという。

アラン・コージンは『ガーディアン』紙に次のように語っている。「これは音楽界で長年語り継がれてきた逸話です。映画『007/死ぬのは奴らだ』のプロデューサーがポール・マッカートニーを女性シンガーに代えたいと思っていたというものです。ジョージ・マーティンはこの逸話を何度も語り、ポール・マッカートニーも何度も触れています」

「しかし、実際内側のやりとりを見てみると、この曲には2つのバージョンが存在することが常に契約書には書かれていました」

エイドリアン・シンクレアは今回の新情報が「逸話を根底から覆し、違った光を見せることになり」、「長年にわたってジョージ・マーティンとポール・マッカートニーが語ってきた逸話は歴史の一部になったものの、誰も訂正しなかったのです」と語っている。

発見された書類の一つでアップル・レコードのトップは映画のプロデューサーだったハリー・サルツマンに対して次のように述べている。「ポール・マッカートニーは“Live And Let Die”というタイトルの曲を書くことに合意しました。彼とグループのウイングスがオープニング・タイトルのタイトル曲を担当することになります」

アラン・コージンは今回発見された経緯の重要性について次のように語っている。「なので、ポール・マッカートニーを交代させるつもりはなかったと確実に言うことができます。バージョンの一つはウイングスによるもので、オープニング・タイトルやエンド・ロールで使われることになっていました」

「ソウル・シンガーのB.J.アルナウによるライヴ・バージョンがクラブのシーンで使用されました。これらの書類を見る限り、逸話は誤解だと思わずにはいられないのです」

「ジョージ・マーティンは契約関係のことに詳しくなかったと思いますが、ポール・マッカートニーは知っていたはずです。私たちに分かったことの一つは、逸話が優れたものだったら、ポールはそれに乗るということです。契約書を誰かが見るなんて思ってもいなかったのでしょう」

先日、ザ・ビートルズは『リボルバー』の再発盤より“Here, There and Everywhere”の新たなミュージック・ビデオが公開されている。

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