坂本龍一が生前最後に手掛け、その一周忌となる2024年3月28日に日本初演を迎えるシアターピース「TIME」新ビジュアルと、坂本龍一、高谷史郎ら参加アーティストのコメントが発表となった。
パフォーマンスとインスタレーションの境目なく存在するような舞台芸術を作ろうと考え、『TIME』というタイトルを掲げ、あえて時間の否定に挑戦してみました。
(2023年新潮社刊『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』より抜粋)
坂本龍一
坂本龍一さんと長い時間をかけて創作に取り組んだ『TIME』がようやく日本で上演の運びとなりました。
奇しくも東京公演の初日は一周忌。
坂本さんの訃報を聞いた時、この偶然に慟哭し言葉を失いました。
2021 年コロナ禍のアムステルダムでの初演は、田中泯さん、宮田まゆみさん、そしてチーム全員が一丸となって坂本さんと共に成し遂げた奇跡の初演でした。
私は幸運にもこれまで数多く坂本さんと作品を制作させていただき、その過程で多くのことを学びました。
『TIME』のテーマである「時間」についても様々な角度から多くのことを語り合いました。
坂本さんが思索を重ね情熱を持って作り上げた『TIME』。
他の作品と同様に『TIME』も坂本さんのアイディアで埋め尽くされています。
そのシンプルな構造の中に何重にも様々な思想が織り込まれていて、坂本さんがプロットされたより深い意味を、今後も作品を上演していくたびごとに、私自身、理解を深めていくのだと感じています。
終盤、舞台に響く藤田六郎兵衛さんの笛の音は、六郎兵衛さん生前最後となってしまった演奏を、渡邊守章先生演出の舞台公演の際に急遽記録させていただいた音源であり、坂本さんの強い思いでこのシーンが生まれました。
すべてが奇跡のようであり夢のようであり、それは「時間」の中に、存在します。
高谷史郎
シアターピース「TIME」は99年に日本武道館ほかで上演され、約4万枚が即完売した『LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999』に続き、坂本龍一が生前全曲を書き下ろし。高谷史郎とコンセプトを考案、創作しました。
田中泯、宮田まゆみ(笙)、石原淋のパフォーマンスと、サウンド/インスタレーション/ヴィジュアルアート。そのすべてが、光と水が交錯し幻出する、幾つもの「夢」とともに劇場空間で融合する唯一無二の舞台芸術となります。
RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI
TIME
2024年
3月28日(木) ~ 4月14日(日) 東京・新国立劇場 中劇場
4月27日(土) ~ 4月28日(日) 京都・ロームシアター京都 メインホール
https://stage.parco.jp/program/time