ジョン・レノンはオノ・ヨーコとリリースした『トゥー・ヴァージンズ』をめぐるレコード会社や音楽業界全体に対しての怒りを綴った1971年の手紙がアメリカのオークション・サイトに出品されている。
この手紙はマサチューセッツ州ボストンのオークション・サイト「RRオークション」に出品されているもので、現地時間3月14日に入札が締め切られるまでに1万5,000ドル(約167万円)ほどの値段がつくことが見込まれている。
手紙は「ロック・インクのマーティン・ジョージ」に宛てられたもので、「PRオークション」ではこのマーティン・ジョージについて、ザ・ビートルズのプロデューサーであるジョージ・マーティンのことを指していると「著名なザ・ビートルズの専門家」であるペリー・コックスは考えていると説明されている。一方で、作家のマーク・ルイソーンは『タイムズ』紙に対し、この手紙はジョン・レノンが「当時『インク』と呼ばれていた雑誌か週刊誌」に寄稿していたジャーナリストのマーティン・ジョージに宛てて書いたものではないかと推察している。
ジョン・レノンは手紙の中で、オノ・ヨーコと初めてレコーディングをし、1968年にリリースしたアルバム『トゥー・ヴァージンズ』に言及して次のように綴っている。「ヨーコと僕は(下線で強調しながら)アップル・レコードの元メンバーであったにもかかわらず『トゥー・ヴァージンズ』を取り上げられたんだ。5月に作ったのに、11月まで不当な扱いを受けたんだよ! それからEMI(彼らが実際の権限を持っているんだ)が世界中の手先たちにこのアルバムを何があっても扱わないように警告文を送ったんだ(しかもこれは、サー・ジョー(・ロックウッド/当時のEMIの代表)が僕らに面と向かって『できることは何でもするよ』って言ってくれて、彼からサイン入りのアルバムを頼まれていた矢先の出来事だったんだ!)」
「アメリカではテトラグラマトンからリリースされ、数千枚を残してなくなってしまったんだ(茶色い紙袋に入れて個別に販売されたんだ)」と彼は続けている。「各地の小売業者たちはこのアルバムを扱うことを恐れて、ほとんど売ってくれなかった……このことはよく知られている事実だけど、きちんとその意味を理解している人はそう多くないからね。他の大きな市場でも同様にね。例えば、日本でもリリースされなかったんだ」
ジョン・レノンはその後、“fuck”という言葉に対する検閲やオノ・ヨーコの“Open Your Box”が放送禁止になったことに言及して、「君が知りたがっているんじゃないかと思ったんだ」と手紙を締め括っている。
手紙の写真が公開されているオークション・サイトのページはこちらから。
https://www.rrauction.com/bidtracker_detail.cfm?IN=4036
ジョン・レノンとオノ・ヨーコは先日、ケンブリッジ大学で初めてライヴを行ってから50年を迎えたことを記念して記念楯が公開されている。