カサビアンのギタリストであるサージ・ピッツォーノはザ・S.L.P.と題した新たなソロ・プロジェクトよりリトル・シムズが参加したファースト・シングル“Favourites”がリリースされている。
2017年に発表した『フォー・クライング・アウト・ラウド』以来となる新作が待たれるカサビアンだが、サージ・ピッツォーノは現地時間5月13日に「ザ・S.L.P.」と名付けられたインスタグラムの新たなアカウントから自身の写真を投稿して、ソロ・プロジェクトの噂が巻き起こることなっている。投稿にはアルゼンチン出身のアーティストであるアイター・スロープの名前がタグ付けされているほか、ザ・S.L.P.は彼の本名であるサージ・ロレンツォ・ピッツォーノの頭文字を取ったものとなっている。
サージ・ピッツォーノはその後、ザ・S.L.P.としての最初のシングルとなる“Favourites”をリリースすることを発表して、同曲は現地時間5月14日にリリースされている。サージ・ピッツォーノは同曲についてインターネットの出会い系サービスから影響を受けたと語っている。「この曲はデジタル時代のアイデンティティについての曲なんだ。インターネットの出会い系サービスが、ある種その自己喪失の象徴でもあるということに、興味を持った。初めてのデートで、どうしても脱出したいと思うときの頭の中のリアルな状況を、曲のスピードと構成で表現したかったんだ」
“Favourites”の音源はこちらから。
シングルのアートワークと、ザ・S.L.P.のティザー映像はこちらから。
サージ・ピッツォーノは昨年行った『NME』とのインタヴューの中で、カサビアンの新作について次のように語っている。「今はまだ収集の段階で、何も計画がない状況を楽しんでいるんだ……ただ聴いているだけという感じでね。世の中に出ているものを観察しているんだ。時にはただ耳を傾けて、何も言わないのも良いものだよ。今の世の中はとても移ろいやすいものになっていて、すべてがかつてないほどのスピードで動いているわけでね。僕は音楽を聴くという行為をもう一度楽しんでいるんだ」
彼は次のように続けている。「過去にはビートを探求していた時もあったんだけど、今はフックやアイディアを探求しているんだ。ストリーミング・サイトをいろいろ聴きながら、『この10秒はいいね』と思ったものなんかをレコーディングしていて、今やそれが蓄積されて図書館のようになっているんだけどさ。今の世の中を表しているとも言えるよね。10秒間のスラッシュ・メタルからバンジョーが使われた2分間の1920年代の音楽まであるわけでね。自分が何を収集しようとしているかは分からないけど、次の動きのきっかけになるものは常に存在しているんだ」
サージ・ピッツォーノは昨年、ロンドンのノーホー・ショールームで「ダフト・アペス」と題した自身の個展を開催しており、ノエル・フィールディング、ザ・リバティーンズのカール・バラー、ラジオ番組司会者のリアナ・バード、サッカー選手でカサビアンのファンであるピーター・クラウチ、モデルのアビー・クランシー、ファーン・コットン、マジシャンのダイナモ、女優のノオミ・ラパス、元ボクシング・チャンピオンのナジーム・ハメドらがオープニング・セレモニーに参加している。