THE MAN インタビュー

冷牟田竜之からのメジャーデビューアルバム楽曲解説、そして青木・ギムラへの想い。THE MANの今後の活動についてをPART.4ではお届けします。

ー元々リリースされていた楽曲に、新たに4曲追加してのアルバムとなりましたが、ある意味これこそが完成形だったように思います。

そう思ってくれて良かった。でも中々難しかったんだよ。自分の中では自主制作した前アルバムで完成していたから。コンセプト、楽曲、曲順の全てがね。あの9曲の流れは絶対に変えたくなかったし、トータルでTHE MANを的確に表現する為に曲を足したんだけど、あの4曲足して良かったね。結果、より良い流れが作れたと思う。

ーこれまでのアルバムを聴いた方も、初めての方も楽しめますよね。流れを崩さないという点で、1曲目の「Charles Bukowski」は「THE MAN」のバンドイメージを良い意味で裏切ってくれています。

曲自体の匂いが強いんだよね。独特の世界観のある楽曲で、自分があのタイトルを付けたんだけど、Bukowskiが持ってる詩のムードにすごく重なるんだよね。そこって、実は自分の中で1本で繋がっていて、毒の部分ってそこだから。”Bukowskiに捧げる”っていう意味合いであのタイトルを付けたし。フィルムでBukowskiの曲をつけるんだったらこの曲だろうなって自負もあって。

ーそういった背景がある中で、アルバムの1曲目にというセレクトは、単に楽曲としての激しさで表すよりも、世界観で毒の部分を伝えたかったと。

そう。でもね、1曲目にするにあたって、メンバーから「もっと勢いのある曲で行った方が良いんじゃないか?」って意見も出てた。敢えて「そうじゃないよ」って(笑)アルバム通して聴いたときに、どれだけ引きこまれたか?っていう部分を考えたとき、今回のアルバムでも1曲目で良かったと思ってる。

ー確かに、2曲目の「Rudies on the law」の勢いがさらに伝わってきます。

「Rudies on the law」も「It go straight to you」も「THE MAN」の構想段階からあった楽曲で、「GABBA GABBA HEY」もそうだけど、盛り上がれる曲はメインで作ったかな。

ー特に「GABBA GABBA HEY」はこの曲なくして、ライブは終われないですよね。

キーがEマイナーの曲って、オレは一貫してしつこいくらい作り続けてて。そういう事、他の人は中々やらないよね。何故かって? それは曲が似ちゃうから。でもオレは敢えてそれをやり続けてて”1番盛り上がる曲はEマイナーで作る”っていうことを貫こうと思ってる。とにかく響きが好きで、全員で音を出したときの破壊力がEマイナーにはあるよね。

ー「THE MAN」のルードさを象徴しています。

あれは完全にパンクだね(笑)

ー(笑)「Serenade」はライブの空気感を変える役割も担っている楽曲の1つでは?

増井くんが最初に3曲くらい持ってきた中で、絶対やりたいって思ってピックアップした曲だね。バンドを表現する中で、こういう色が欲しかったから。

ー先程も触れさせて頂いた”楽曲の進化”が、ライブで演奏される度に感じられます。

確かにそうかも知れないね。可能性がたくさん出てくるんだよね、4管になるからそれぞれのピッチもすごく気を遣ったし。それによって、今の「Serenade」になっていたんだと思う。「Let me burn」や「in the shade」、「The melancholy of Capo」どれもそうなんだけど、デモを持ち寄ったときに”こうアレンジしていけばここにハマる”っていう風にやっていったかな。新たに追加した4曲の中で「Ghost Dog」は最初はリズムがスカだったんだけど、ツービートにすることによって楽曲が色濃くなったと思うし。

ー追加した楽曲も、前回同様にアナログレコーディングをされいますが「THE MAN」の場合は楽器が多いので…

限界がある。だって16(チャンネル)しかないんだよ、あとで細かい編集も出来ないし。ドラムもまとめて録るからハイハットが大きくても下げれないんだよね。

ー但し、そうすることで熱量をパッケージする方が、編集した音よりも伝わるということですよね。

レコーディングではメンバーが集中してエネルギーを放出する。互いが共鳴、爆発して炸裂した瞬間を録れればいいと思うんだよね。今回は冷静に、緻密に向き合うレコーディングにはしたくなかったし。いずれ、そういった手法も取り入れて行くかもしれないけど、今の「THE MAN」の本質を出すということはそういうことなんだと思う。所々間違ってたりもするけど、直してないんだよね(笑)「これは目立つね」っていうところもあるけど(笑)今は直し過ぎてる人達多いと思うよ、もったいないよね。せっかく、楽曲に込めた”念”みたいなものが分断されていくわけだから。完璧に直したものを一聴すると、普通の人は感じないかもしれないけど、オレは感じてしまうんだよね。散々、そういうのをやってきたのもあるしね。それから大事なのは直さないっていう心意気なんだよ。

ー演奏箇所を修正されるっていうのも、イヤでしょうし。

そう、”3拍目の裏から次の小節の裏まで…”とかいう細かい直しとかね。直してるときに「そこまでしなくて良いんじゃないの?」って思った事もあったからさ。あとはCD聴くのと、ライブで聴くんだったらライブの方が良いって皆んな思うんじゃない?実際、オレはそう思ってるしそれがあるから、そこまで細かく拘る必要はない。あくまで、エネルギーと気迫が伝わる事の方が大事。

ー「Preach」はTaboo -Before the 15th anniversary “Smell of the blood”にて初披露されていましたが、音源としてこの世界観をパッケージされたのに驚きました。

三上くんと一緒にやるってことは、音源制作までいきたいって気持ちが元々あって。だったら、彼の良さが1番出てる「Preach」にしたかった。追加した曲の中でいうと、「Preach」を入れる前提で、他に何をって思っていたくらいだった。

ー作曲がASA-CHANGということも先程の”原点回帰”に通づるものがありますね。

うん。ライブやってるときとか、リハーサルやってるときに青木(達之)とギムラの存在を感じる瞬間がすごくあって。彼らが見てるんだなって感じる。やっぱり、デビュー時のスカパラが最高だったなって思うし、そのときの仲間に対して「またオレは1から始めたよ」っていうのを伝えたかった。

ー青木さんもギムラさんもその冷牟田さんを見て、楽しんでくれていたら最高です!

「Good Gravy」は青木とギムラに捧げた曲。「オレまたやるよ」っていう意思表示でもある。もちろんリスナーの人達に対してもそうで。そこには「ありがとう」っていうのも込められている。

ー全13曲となったアルバムを聴いて、ライブへの期待も高まりますね。

今回のアルバムは「THE MAN」として 広く世の中に送り出す最初の1枚。漲る気持ちに正直に偽りのないアルバムになってる。とにかく聴いてみて欲しい 。そして気に入ってくれたらライブに足を運んで欲しい。毎回変化して同じモノが存在しないライブをやり続けていくつもりだから。

ー今年もライブ主体の活動となるのは間違いない?

そうだね。ツアーも周る計画だし、より多くの場所で観てもらえたらと思ってる。毎日が自分との戦いになるな。その日のライブでいかに最高の爆発をさせられるか、それを更新し続けられるかが勝負だね。「THE MAN Album Release Live “GABBA GABBA HEY”」でまずはそれを目に焼き付けて欲しい。

ーさらに「Taboo」も15周年と増々活動に目が離せない年になりそうです。

今振り返るとすごくあっという間の15年だったな。そういえば大江(慎也)さんが”UN”で出てくれたこともあったし。15周年は悪の巣窟になると思う(笑)

ー(笑)楽しみにしています。「THE MAN」の活動が主体となる中、冷牟田さんは大忙しだと思いますが(笑)

他は止めてるから(笑)既に次のアルバムの制作に入ってる位だし。「THE MAN」として高いところまで持って行きたい。その為に、来てくれる人達には必ず忘れられないライブを観せるよ。

ーということは、ライブで新曲が聴けるということですね?

どんどん出してくよ。これまでのセットリストとは、かなり変化したものになるはず。ツアーでは、毎回違うセットリストを試そうと思ってるから、来れる人はどれも見逃さないで欲しいね。


取材:2014.04.14
撮影:Shungo Takeda
インタビュー・テキスト:Atsushi Tsuji(辻 敦志) @classic0330

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