RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO report

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO report

マカロニえんぴつ

<8/17(土)14:50〜@def garage>

def garageのトップバッターを務めたのは、マカロニえんぴつ。
開演前には、ライジング初出演となる彼らのステージを目に焼き付けようとオーディエンスが次々と集まり、
気づけばテントの外にまで人があふれていたのだった。
SEが鳴り、客席からの大拍手が起こる中、メンバーが登場。
「洗濯機と君とラヂオ」でステージの幕を開ける。
サビではオーディエンスの手が一斉に上がり、序盤とは思えないほどの一体感が生まれていた。
間髪を入れずに「ワンルームデイト」でさらに会場を温め、「ヤングアダルト」では、聴き手の寂しさや不安に寄り添い、
まるで手を差しのべるかのような優しさがにじみ出す。
はっとり(ヴォーカル&ギター)は、昨日の開催が中止になったことについて触れ、
「今日はみんなの運がよかったから晴れました。昨日の分も楽しまないと。最後まで音楽しましょう」と告げ、
このステージに懸ける強い思いを覗かせた。
続けて、イントロのキーボードがきらびやかな「レモンパイ」では、彼らのポップセンスが爆発。
ラップスタイルの歌唱も取り入れるなど、随所に遊び心が散りばめられたこの曲で、
オーディエンスの盛り上がりも一層高まっていく。
そして「ブルーベリー・ナイツ」で切なさが会場中に染み渡ったあと、はっとりが「憧れのフェスにやっと出れました。
音楽を愛する人の前で演奏できるのは、まさに日の目を見たような気持ちです」とひと言。
日が沈み、また昇るように、落ち込んだりうまくいったり、そういったことを繰り返しながら彼らも進んできたという。
そしてオーディエンスの笑顔が目の前に広がり、ひとりひとりが輝いて見えていたことを伝え、
また必ず会おうと約束をオーディエンスと交わすと、ラストに「青春と一瞬」をプレイ。
何があってもこの瞬間は今しかない。
そんな思い噛み締めるような演奏だった。
そうして彼らは自らの居場所はもちろんのこと、音楽を通じて繋がった私たちの居場所も築き上げ、
ステージをあとにしたのだった。
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO report

(C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:藤川正典

ゴスペラーズ

<8/17(土)17:30〜@RED STAR FIELD>
西日が差し込むRED STAR FIELDに登場したのはゴスペラーズ。
おそろいの紺のジャケットを身にまとい、初のライジングサンのステージは「永遠に -a cappella-」で幕開け。
黒沢薫のヴォーカルに、村上てつや、安岡優、北山陽一、酒井雄二のコーラスが重なり、
伸びやかな歌声が混ざり合って、雲ひとつない空に溶けていくよう。
ギターもベースもドラムセットもない、5人と5本のマイクだけのステージ。
ロックフェスでは異色な光景だが、5人は美しいハーモニーであっという間に観衆の耳と心を惹きつけていく。
2曲目の「いろは」が終わり、はじめましてのエゾロッカーたちへ自己紹介。
初めて自分たちを観る人はどれくらいいるのか、という質問にたくさんの手があがる。
そんなアウェイの状況を楽しむように、5人は集まった人たちとコミュニケーションを取っていき、
「令和を英語で説明する時には〈Beautiful Harmony〉と言うそうです。
追い風を感じながら楽しんで行けたらと思います」と村上が笑顔で語り次の曲へ。
「ロックフェスなのでカヴァーを何曲かやりたいと思います」という言葉に続き、
披露されたのはファレル・ウィリアムスの「Happy」。
そして、彼らのデビュー翌年に日本で大ヒットしたスピッツ「ロビンソン」。
5人がヴォーカルをつなぎ、歌声を紡いでいく。
アカペラにはじめて触れる人たちでも楽しめるように、という彼らの誠意を感じる。
美空ひばり「真赤な太陽」では、村上が観客へ向けて声を求め、〈なりきりゴスペラーズ〉のコーナーを展開。
誕生月でパート分けがされ、RED STAR FIELDに集まったすべての人がハーモニーを合わせていく。
手を上げたり、タオルを回したりしなくても、歌だけでたくさんの人の心がひとつになった瞬間だった。
最後は彼らの代表曲ともいえる「ひとり」と、「星屑の街」をしっとり唄い上げた5人。
目を合わせ、呼吸を合わせ、紡がれていく楽曲に、観客は釘付けになっていた。
小細工なし、歌だけで勝負したはじめてのライジングサンは、
ヴォーカルグループとして25年間同じメンバーで活動を続けてきた彼らの歩みをしっかり魅せつけたパフォーマンスだった。
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO report

(C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:古渓一道

ELLEGARDEN

<8/17(土)21:00〜@SUN STAGE>

夜はまだまだこれから。

そんな合図を告げるかのように無数の花火が打ち上げられ、SUN STAGEで待機する観客の興奮は最高潮に。
21時、モニターに表示されたのは「ELLEGARDEN」の文字。
ずっとこの時を待っていた!そんな観客の思いが滲む大歓声の中、
細美武士(ヴォーカル&ギター)、生形真一(ギター)、高田雄一(ベース)、高橋宏貴(ドラム)が登場した。
「Fire Cracker」で勢いよく火蓋を切ると、「Space Sonic」「モンスター」と続き、早くも客席は熱狂の渦に包まれていた。
今、この瞬間が楽しくて仕方がないのは観客だけじゃない。メンバーだって同じだ。
何たって、モニターに映る1人1人の表情がそれを物語っている。
「すげーな、この光景。ずいぶんとお久しぶりだったんで、メンバーそれぞれ挨拶をさせてください」と、
観客を愛おしそうに見つめながら切り出す細美。
そこで、生形と高橋はライジングに初出演した際のことを振り返った。
高橋は「2002年に初めて出た時、北海道に向かうフェリーの中で『何観に行くんですか?』と聞かれて、
『出るんです』と答えて驚かれたことが一番印象に残ってる」と衝撃のエピソードを暴露。
感慨深そうに当時のことを語るその姿から、彼らにとってこのフェスがいかに大切なものであるかが伺える。
曲が終わるごとに「ありがとう」という言葉がひっきりなしに飛び交う中、
「ありがとうはこっちの台詞だよ。まじで。歳を重ねたら愛情が大きくなっちゃって、
後ろの人たちの顔が見えたらいいなって思ったりもして。どんな仕事してるんだろう?とか思うけど、
みんなが幸せでいてくれたらいい。でも何より、俺は今、ウブと雄一と高橋が楽しければいい」と打ち明ける細美。
この人はどうしてこうも、心を抉り、震わせるような台詞をひっきりなしに放つのだろうか?
細美の発言にたまらず痺れていると、ついに終盤へ。
「ジターバグ」「Salamander」「虹」などが披露され、ありったけの体力を注ぐかのように、力強い盛り上がりを見せる観客たち。
今日のために、エルレのために、ここにいる全員が、熱狂する準備も感涙する準備もできていたはずだ。
「もっとやりてえんだけどさ、もう終わりの時間なんだわ。でも10年前と違ってさ、もしかしたら来年もやるかもしんねえじゃん。
昔、休止前にBRAHMANと対バンした時、MAKOTOに『フロアのヤツらに自由にしろとか言って、大合唱させてるじゃん』って叱られて。
でも、俺はお前らの声が聴きたいです。ライジングの時間くらい、自分より誰かのことを大切にしような。ELLEGARDENでした」。
名残惜しくて仕方ないが、今日が終わっても、エルレと共にこれからの日々を歩むことは、この2019年の今なら可能なのだ。
恐れることは何もない。きっと、4人ならこれ以上の景色をこれからも見せてくれるはず。
そう確信できてしまうほど、彼らがELLEGARDENをこれ以上ないくらい愛してることが
今日の演奏から、言葉の端々から痛いくらいに伝わってくる。
彼らにとって、そして彼らを愛する人々にとって、きっと今日からがまた始まりなのだ。
ラストは「スターフィッシュ」で大団円。〈こんな星の夜は/全てを投げ出したって/どうしても/君に会いたいと思った〉と
唄われる同曲だが、もはや星どころじゃない。
ステージの後ろでは満月が顔を出し、最上級な自然の演出がよりこの時間を色濃いものにしている。
昨日より今日、今日より明日ーー石狩の地にまた新たな伝説を残し、4人はまた新たに歩み始めた。
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO report

(C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:n-foto RSR team

RALLYE’S JAM

<8/17(土)21:00〜@RAINBOW SHANGRI-LA>

LUCKY TAPES、DATS、TENDREという、RALLYE LABELに所属する3組が、このライジングサンで一堂に会した〈RALLYE’S JAM〉。
21時、RAINBOW SHANGRI-LAのステージにまず現れたのは、LUCKY TAPES。オリジナルメンバー3名に加えて、
ホーンセクションや女性コーラスらを含めた総勢9名で、「Lonely Lonely」をプレイ。
華やかでグルーヴィなサウンドが会場中に広がっていく。
続く「レイディ・ブルース」では、木の幹のように太く、ずっしりとした重低音が、オーディエンスの身体を揺らした。
高橋海(ヴォーカル&キーボード)とUKO(コーラス/サポート)によるハーモニーが美しい「Punch Drunk Love」が演奏されると、
ステージの天井に設置されたミラーボールが回り始め、きらきらと光を放つ。
そのさまと彼らのサウンドが重なって、フェスという会場がみるみるうちに非日常の色に染め上げられていった。
そしてTENDREとMONJOE(DATS/ヴォーカル)をステージに呼び込み「Joy」でステージを締めくくったのだった。
息つく暇もなく、TENDREのステージへ突入。序盤から心地よいサウンドを鳴らし、会場を煽っていく。
プロジェクションマッピングの演出が神秘的な「hanashi」では、唄い出しでミスをしたと打ち明け、一瞬取り乱したかと思われたものの、
すぐに立て直し、〈この瞬間を逃したくない/繋がっていたい/それだけさ〉と力強く唄う。
彼はこうしてこのステージで自らを解放し、目の前にいる人たちとの心の距離を近づけていったのだ。
MCでは、TENDREとして単独出演するはずだった1日目について「昨日中止になって悔しかったですけど、今はすげえ嬉しい。
台風のバカ!(笑)」と茶目っ気たっぷりに話し、ライジングサンに出演できた喜びを改めて噛み締めているよう。
最後に演奏された「RIDE」では、曲の終盤に差し掛かると、大井一彌(DATS/ドラム)が登場。
松浦大樹(ドラム/LUCKY TAPES、TENDREサポート)とのツインドラム体制になり、
ドラムセッションへと変貌を遂げ、見事な掛け合いを魅せる中、大井以外のDATSのメンバーもステージへ。
そうしてトリを飾るDATSへバトンが渡された。1曲目に披露されたのは、「Mobile」。
バンドサウンドとエレクトリックなサウンドが融合する、その不思議な世界に一気に飲み込まれてしまう。
次に「オドラサレテル」で、自由に揺れるオーディエンス。
「Heart」では、MONJOEがキーボードから離れてハンドマイクを持ち、歌に専念。ステージから降りるなど、
観客とのコミュニケーションを図ろうとする彼の姿からは、伝えたい、わかりあいたいという切なる思いを感じた。
そしてAAAMYYYがゲストで迎えられ、彼女とMONJOEのコラボレーション楽曲「DAYZ 」を披露。
ラストの「Get Lucky」では、〈RALLYE’S JAM〉の出演者が全員ステージに勢揃い。
仲間たちと音楽を鳴らす喜びがそこには満ちあふれていたのだった
これからも、彼らはレーベルメイトとして、良きライバルとして、互いに切磋琢磨しながら新たな音楽を生み出していくに違いない。
そう思わずにはいられない、素晴らしいステージだった。
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO report

(C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:原田直樹

ホッカイカンタビレ/奥田民生ほか

<8/17(土)00:40〜@BOHEMIAN GARDEN>

夜もどっぷり深くなった頃、ゆったりと登場したのは奥田民生。椅子に腰をかけアコギを抱えると、
「こんばんは。昨日から今日にかけて録音した曲を披露する時間です」と企画の趣旨を説明した。
このホッカイカンタビレとは、民生が通常1人で行っている「ひとりカンタビレ」(註:ギターやベースといった
あらゆる楽器やヴォーカルの録音〜ミックス作業まで、すべて1人で宅録形式で担うプロジェクト)のいわば番外編。
今回は特別にライジングサンのテーマ曲の制作が行われたのだ。ちなみにレコーディングは、会場にブースを設け、
17日の出演者の中から何人かを招き敢行されたという。
しかもそのゲストが、怒髪天・増子直純、崎山蒼志、真心ブラザーズ、GLIM SPANKY、フジファブリック、吉川晃司、湊雅史、
ウエノコウジ、TOSHI-LOWらといった豪華っぷり。

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