佐藤タイジ(シアターブルック)・うじきつよし(子供ばんど)・佐々木 亮介(a flood of circle)スペシャル対談

太陽光発電によるクリーンでピースなロックフェスティバル「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014」が9月27、28日に岐阜・中津川公園内特設ステージにて行われる。昨年に続き2度目の開催となる中津川に向けて、主催者である佐藤タイジ(シアターブルック)と今年も出演が決定している、うじきつよし(子供ばんど)・佐々木 亮介(a flood of circle)によるスペシャル対談をお送りします。

うじきつよし(以下:うじき):子供ばんどが1988年にストップして、その後に独自の世界観で、シアターブルック・佐藤タイジが出てきてたから音楽的な接点はなかったんだよね。

佐藤タイジ(以下:佐藤):俺は子供ばんどをコピーしてましたよ。徳島に来てくれるロックバンドって、子供ばんどしかいなかったんで。俺的にはスゲェ影響を受けている先輩ですよ。

うじき:そうか(笑)実はね、俺のカミさんがタイジのことをよく知っていて、「すごい面白い人だし、1度会ってみた方がいいよ」という話になって会うことになったんだけど、そのときがちょうど3.11辺りなんだよね。

佐藤:直後だったよね?13とか14くらいで。

うじき:東京もまだ混沌としててさ…電気は消してて暗いし、人々は色んなことを考えてるときだったと思う。それでも、こういう状況だけどタイジは「関係ないですよ」って来るんだけど、暗闇の中から現れたタイジの印象が「何かすごいコート着て、モジャモジャ頭が来た」っていうね(笑)お店で会ったんだけど、来るなり怒ってるわけよ。

佐藤:そうでしたっけ?

うじき:初対面なんだけど、「こんなんでヘコたれてたらダメだ!これで世の中がダメになるのは許せない!」って、熱く怒りをブチ撒けてたね。

佐藤:こっちは、初対面のつもりはないですからね(笑)

うじき:(笑)かと言って、失礼な態度とかではなくて”ここから自分が何をすべきか”ということを、タイジの言葉で語ってくれたんですよ。震災の直後って、外を歩くのも危ない雰囲気とかさ、音楽とか芝居をやってる人たちには「自分たちはやる意味があるのだろうか?世の中に役立てるのだろうか?」という雰囲気が充満していたからね。

佐藤:そうやったね。そのあと、今も下北でやってる「3.11復興支援ライヴ LIVE FOR NIPPON」の第1回目が3月17日なんだけど、斉藤和義が飛び入り参加して「反原発の歌を作る!」って言っちゃった日ね。うじきさんも、かなり大きいダンボールで2箱分の物資を持ってきてくれたのね。「うじきさん、何かやって下さいよ」って言ったら、「俺はいいんだよ」って言って物資だけ置いて帰られたんだけど、「男前か!カッコ良すぎるわ!」って。

うじき:そのときはさ、バンド活動を”四半世紀封印中”に限りなく近い状態だったんで、恥ずかしくて遠慮したの(笑)逆にタイジの方がすぐに始めてたでしょ。そのときはソーラーとかではなくて、自分たちで起こせるアクションを取って、物資も確実に届くところへっていうね。それだけでも頼もしく思ってたんだけど、「THE SOLAR BUDOKAN」の話を聞いてさ。最初は「出来るの?そうは言っても、どこかで電気がなくなるんじゃないか?」って思ってたけど、どんどん具体的になってね。「これをやろう!」って旗を振り上げたのはタイジだけど、それに賛同する仲間たちが集まっていくのを見てて「これは絶対に目撃しておかなくてはいけない」って観に行ったら、それはカッコイイ。

佐藤:嬉しいですね。

うじき:1番カッコイイと思ったのは照明だね。光量が少ない中での演出がより影を強調してて、シルエットとのモノトーンがなんとも言えない雰囲気なんだよね。「この感覚ってなんだろう」って思ったんだけど、初めてLed Zeppelinを武道館で観たときの光景とダブったんだよね。

佐藤:そんな感じだったんだ。

うじき:目を凝らさないと見えないステージ。今みたいにスクリーンが出てきて、電飾があってっていうのとは違うよね。そういうステージを観てて「音も良くないか?」って気づくのね。大きい音じゃないんだけど、生々しいんだよね。それを観てて嬉しくなっちゃってさ。そしたら吉川(晃司)が出て来たわけ。そしたら「モニカ」やらないんだよ。晃司がデビューしたときのツアーバンドを俺がやってたんだけど…あ、晃司さんは(笑)

一同:晃司さん(爆笑)

うじき:年下だけど大変尊敬してるんです(笑)すごく付き合いがあるから「いつまでたってもそういう天邪鬼な…」って思った瞬間に「そうだ、俺が出てれば出来たんだ」って思って。ここで観てる場合じゃなくて、出たいんだ・出なくちゃいけないって勝手に思って。

佐藤:みんな喜ぶから、確かに「モニカ」やって欲しかったよ。

うじき:その武道館を経て、中津川でやるって聞いたときに「これはすごいことになる!」と思って、最初からタイジに「出して」じゃなくて「出るから」ってそのときだけ先輩で(笑)新しいロックフェスの在り方っていうのを感じたし、タイジは意図してやったのかわからないけど。

佐藤:意図してないっす。

うじき:そう言うのがタイジらしいけど、俺はそう感じたんだよな。新しいステップをみんなに提示してると思うし、そこに四半世紀やってなかった自分たちも、もう1回そこのムーブメントに加わらせてもらえるっていうのは、すごく幸せだと思う。

佐々木 亮介(以下:佐々木):俺もそう思ってます。「THE SOLAR BUDOKAN」の中では、20代って俺らとFLiPと蜜、黒猫チェルシーの渡辺くんくらいだと思うんですけど、出演させて頂けるのは光栄ですね。タイジさんとお会いしたときは、武藤昭平さんと弾き語りが最初で。

佐藤:そうやね。

佐々木:俺、元々ブルースとかロックンロールの古いものが好きだったんで、そういうルーツを持ったバンドが同世代にあまりいないんです。どうしても好きなバンドや対バンした方々が、40代の人たちが多くて。でも、キャリアも違いすぎるのできっかけがないと、中々割り込んでいけないじゃないですか?だからこそ、弾き語りとかのチャンスがあれば、いつも食い込んで行くようにしてるんです。ただ、正直に言うと最初はタイジさんと、そこまで仲良くなれなかったんですよ(笑)震災またいでソーラー武道館があって、そこに俺も知ってる先輩も出演してたんですけど、スケジュールが合わずに行けなかったんですよね。「LIVE FOR NIPPON」で呼んで頂いたのがそのあとなんですけど、2012年に「FUCK FOREVER」という作品をリリースしていまして、それには色んなメッセージを込めた曲で「FUCK FOREVER」「Summertime Blues Ⅱ」っていうのがあるんです。それをタイジさんのイベントで”やらせてもらった”というよりどうしても言いたくてやったんです。

佐藤:俺が覚えてるので、ビリー・ジョエルの「ピアノ・マン」を「ブルース・マン」って歌詞変えてやったのが良かったんだよね。

佐々木:ありがとうございます。震災後の日本のことを言いたくて、日本語詞を付けたんです。「ピアノ・マン」とは全く関係のない曲なのに、ビリー・ジョエルに送ったら「出していいよ」ってなって。そういう曲をやって、そのイベントでタイジさんが「ウッドストックのときにロックは世界を変えたはずで、もう1度俺たちは世界を変えるんだ」って言ったときの目の嘘の無さが印象的で、鳥肌が立ったんです。俺の信頼してる先輩が、また世界が変わるって思ってることと、自分が言いたかったことがすごくリンクして。

うじき:タイジは本気だからね。

佐々木:去年の中津川は、光栄なことにメインステージの1番手だったんです。そのときの光景が今でも焼き付いていますね。ピーカンで晴れていて、グリーンの芝生の上に楽しみに集まったお客さんがいて、脇にはソーラーシステムが見えている。未来の景色を観てるみたいな。

佐藤:そうだね。

佐々木:もちろん、「音が良い」っていう喜びも演奏者としてあるけど、あの景色のインパクトが忘れられなくて。20代の自分が思うのは、先程うじきさんが言ったみたいに、震災の後は「何の役にも立たないかも…ただのチンピラに戻るだけかも」って頭をよぎっていたんですけど、「自分の角度だからこそ、言えることを言おう」という使命感は勝手にあったんです。バンドマンだから、ライヴをして言いたいことを言って伝えるという前提がある中で、先輩が「未来がこういう風に明るくなったら良いんじゃないか」っていうロールモデルを打ち出してくれているのが、すごく頼もしくて。但し、情けないけど、俺にはまだアイデアも力もないという実感をさせられたのも事実です。だったらそのマインドを受け継いで、ツアーの先々で「THE SOLAR BUDOKAN」「東北 LIVEHOUSE 大作戦」等の俺が信頼している先輩の活動を話したり、自分自身も何か出来るアクションがあればそれを意識し続けていたいですし。

佐藤:あー気持ちいい。

一同:(爆笑)

佐々木:特に現場で起こってるものを、実際に目で見て、肌で感じることはすごく重要だと思っていて。みんなインターネットで見て、システムや線量のことが書いてあるから概要は認識出来ると思うんですけど、さっき俺が言った景色だったり、それを見て感じたことというのは、現場で観ないと得られないと思うんです。ライヴこそがそうですし、うじきさんの子供ばんどは正しくライヴの先駆け的存在ですし。

うじき:当時の子供ばんどはライヴ2000本やってたからね。

佐藤:うじきさんが運転してたらしいよ。

うじき:今は出来ないけど、4トンとか運転してたからね(笑)楽しいじゃん、ツアーやって周るのが夢だったから。最初は、八百屋さんが持ってた中古から始まって、少しづつ大きくなって、マイクロバスになっていって。バスも自分たちのバンド名やカラーを入れられて、夢のようだったよ。ライヴって生き物だから、同じ時に同じ場所に集まったヤツらとバンドとでしか、ありえない瞬間なんだよね。瞬間の勝負で、何かの拍子でスパークしてミラクルが起こったり、ダメになって落ち込むこともある。野外だったら天気も変わるし、パッケージし難い感じだよね。あとは、わざと違うことやろうとしてドツボにハマることも…

佐藤:あるあるある。

うじき:メンバー間でも「予想を裏切ってやる」って飽きさせないやりとりが、ときに疲れたりもするんだけど(笑)

一同:(笑)

佐藤:良いときは良いのよ。気分も最高で、酒も旨いし。そうじゃないとき…昨日リハで「レスポール」のネックを折っちゃって。「レスポール」ってさ、倒れるとすぐ折れるのよ。ヘコむんですよ(笑)

うじき:それもまた人生(笑)

佐藤:そういうことなんですよね…ダメなときって印象的ですよ。ちょうど折れたばっかりやし、どういうダメな時間を過ごすかがテーマになってるかな。

うじき:よくさ、自分のパッション表現かわかんないけど、楽器を投げた結果、落として折れるんだけど、ステージでは高揚してるくせに、楽屋に戻ってきて泣いてるみたいな(笑)

一同:(爆笑)

うじき:「フライングV」なんかさ、下がコンクリートだと真下に落として「逆フライングV」みたいなさ(笑)バカだよね、泣くんだったらやらなきゃいいのに(笑)

佐藤:投げたりとかしてたんスか??

うじき:投げてました。それこそ1本しかない「レスポールカスタム」を投げて、ネック4回折れてるから。

佐藤:それ直るんですか??

うじき:最後は釘みたいなの打って直ったよ。

佐々木:直るんだ…

佐藤:直るんですよ!でもそれは…バカですよ(笑)そういうときって、色々悪いこと考えるんだよね。「アイツがいたからダメなんだ」とかって(笑)

うじき:「THE SOLAR BUDOKAN」の親分がこういう人ですからね。そういうハプニングをみんなが楽しんでくれればね(笑)

佐藤:今年は加山雄三さん出るでしょ、100%晴れるらしんだよ。でも雨を呼ぶ人もいるかも知れないから、事前に”オフィシャルてるてる坊主”を作って、みんなバックとかに下げて。

佐々木:雨乞いの逆のやつですね。

佐藤:そうそう。それをみんなでやろう。

佐々木:去年の晴れ具合すごかったですもんね。「タイジさんすごい」って思いましたね。

佐藤:ね。武藤昭平が「これは成功おめでとうっていう拍手喝采じゃないですか」と…

佐々木:「ニクイなぁ」と思いました。

佐藤:アイツ、ちょいちょいうまいこと言うから(笑)

うじき:終わったあとの降りっぷりがハンパじゃなかったからね。お客さんも移動して、バスに乗ったくらいでドカーンだったよね。

佐々木:神憑ってますよね。

佐藤:撤収が大変だったよ(笑)しかも今年はソーラーパネル自体を大きくしたんですよ。そうすると発電効率が1.5倍になるからなんだけど、また撤収が大変。

うじき:さっき佐々木くんがさ、”未来の景色”って言ったけど、未来のあるヤツが未来を観たっていうのが良いよね。

佐藤:良いっすよね。

うじき:それを持って、未来に進める道があるってことだしさ。佐々木くんはそれを未来だと思ったのが、近いうちに当たり前になっていくだろうし、「これの何が特別なの?」っていうヤツが生まれてくるんだろうね。

佐々木:それがタイジさんも言った「世界が変わる」1つですよね。

佐藤:絶対そうだよね。そうなるとさ、エネルギーの取り合いとか絶対なくなっていくわけじゃん?

うじき:その世界を変えたのが、モジャモジャのおじさんなんだよ。

佐藤:その頃には子供たちも「ふーん」って(笑)「パーマあてとるらしいで」と。そのくらい普通になっていくんだと思うよ。

うじき:そうなっていかないと嘘でしょ。

佐々木:その為にもアピールしていきたいですね。

佐藤:今回は「We as 1」とメッセージを出したんやけど。例えば「憲法の解釈を変えます」っていう今の政府の暴走っぷりに対して「何それ?」って。100年とか経ったときに、この時代・この政府はどういう評価されているのか?俺たちは同じ時代に生きた有権者の1人なわけで、少なくともそういった判断に対して「違うだろ!」っていう1つのイエスをまとめたいんよね。同じ意見というわけではなくて”違う”という意思表示が同じなだけであって、色んなコントラストがあって良いと思うわけ。今回はトークテーマで憲法の話もしようと思ってて、そこでいろんな意見があったら良いと思うし、それを話したいんだよね。特に音楽だと、それが1つになりやすいことを身を持って体現してるからさ。

佐々木:すごいしっくりきてるのが、思想とか活動とかのお題目があった上で、それぞれ違うものを持ってきて1つになろうって。みんな違うからこそ気持ち良いし、だからこそ入って来れるんだと思うんですよね。「これが答えだから」ってことを言うんじゃなくて、みんなで違うと感じたことに対して、自由に”イエス”を探しているのが気持ち良い。20代の俺たちも、音楽好きなお客さんも入ってきやすいのが「THE SOLAR BUDOKAN」だと思うし。

佐藤:元々、ロックフェスってそういうもんやったと思うんよ。例えば黒人のバンドも普通に出たりして、公民権運動とかセットになってるだろうし。きっと「THE SOLAR BUDOKAN」も色んな国籍の人も出すようにした方が良いんやろうな。

佐々木:出来そうですしね。

佐藤:ただ、”自由”っていうことは一方で脆かったりもするから、最近は”ハード”に「自由なのだ」って言おうと思ってる。それは暴力とかではなく、政府が力ずくでああいうことをやるなら、力ずくで”自由”って言おうと。

うじき:要はさ「政治をやらせたら誰にも負けません」っていう、才能のあるトップの政治家がホントにいない。「おい、おまえらプロだろ?」って。こうやってタイジが動き出してみたら、好む・好まざるに関わらず、”拳を振り上げた状態”にならざる得ない状況なんだよね。さっき「力ずく」って言ったけど、本当は音楽好きって、どっちかって言えば真逆な人間だよ。Love & Peaceだよ。ただ”ハートはアウトロー”であることが大事だよね。つまらない決めごとに対して「つまらない!って普通に言うぜ!歌うぜ!」っていう。しかしそれは、本来の”ロー”が、つまり体制側が保守的で、形だけでもそれなりの体裁を保っていてのこと。今はあっちの”ロー”側が、政治家たちが姑息な手段で、まさしく決めごとを滅茶苦茶にしている。こっち側・本来のアウトローからしたら「おいおい!」って。

佐藤:そうそう。

うじき:「俺らがアウトになれないじゃないか!」って。そっち側がブレブレじゃないかって。体制側がアウト。「えっ?!俺らに真っ当な人の道を説かせるの?」っていう、全然似合わないのに。

うじき:政府がつまらなく、スクエアーにコンサバにやっててくれりゃ、そんなところに俺らの出番はないよ。「四角四面はつまんないぜ!」って、とにかく面白くしなきゃって、変な意地もあったりするのがミュージシャンで(笑)

佐々木:すげぇわかります。

佐藤:あるよね。

うじき:「タイジにここまで言わせるなよな」っていうくらい、今の一部の政治家がおかしいから。特に原発は、これだけ人の手で御せないっていうのがわかってるんだから、まだ続けるっていう思想・哲学、ありとあらゆる理屈をつけたところで別の次元の問題。憲法にしたって、みんなが能書き垂れてられるのは、戦争がないからだよ。

佐藤:その通り。

うじき:人殺しをしながら音楽はできないし、人殺しをしながら芝居は出来ないし、人殺しがあるのに毎晩焼き鳥屋で飲めるのかって。人間としての基本を逸脱しているようなダメな大人が、やれてる気になってしまっているから、主義主張を超えてダメでしょって。

佐藤:去年よりも話さないといけないこと・去年よりも増えた問題ってあるんやけど、今年の「THE SOLAR BUDOKAN」は色んな人に来てもらって、色んな意見を1つにして音楽を楽しみながら、未来の景色をみんなと一緒に観たいですね。


取材:2014.08.07
インタビュー・テキスト:Atsushi Tsuji(辻 敦志) @classic0330