佐藤タイジ(シアターブルック)・うじきつよし(子供ばんど)・佐々木 亮介(a flood of circle)スペシャル対談

佐々木 亮介(以下:佐々木):俺もそう思ってます。「THE SOLAR BUDOKAN」の中では、20代って俺らとFLiPと蜜、黒猫チェルシーの渡辺くんくらいだと思うんですけど、出演させて頂けるのは光栄ですね。タイジさんとお会いしたときは、武藤昭平さんと弾き語りが最初で。

佐藤:そうやね。

佐々木:俺、元々ブルースとかロックンロールの古いものが好きだったんで、そういうルーツを持ったバンドが同世代にあまりいないんです。どうしても好きなバンドや対バンした方々が、40代の人たちが多くて。でも、キャリアも違いすぎるのできっかけがないと、中々割り込んでいけないじゃないですか?だからこそ、弾き語りとかのチャンスがあれば、いつも食い込んで行くようにしてるんです。ただ、正直に言うと最初はタイジさんと、そこまで仲良くなれなかったんですよ(笑)震災またいでソーラー武道館があって、そこに俺も知ってる先輩も出演してたんですけど、スケジュールが合わずに行けなかったんですよね。「LIVE FOR NIPPON」で呼んで頂いたのがそのあとなんですけど、2012年に「FUCK FOREVER」という作品をリリースしていまして、それには色んなメッセージを込めた曲で「FUCK FOREVER」「Summertime Blues Ⅱ」っていうのがあるんです。それをタイジさんのイベントで”やらせてもらった”というよりどうしても言いたくてやったんです。

佐藤:俺が覚えてるので、ビリー・ジョエルの「ピアノ・マン」を「ブルース・マン」って歌詞変えてやったのが良かったんだよね。

佐々木:ありがとうございます。震災後の日本のことを言いたくて、日本語詞を付けたんです。「ピアノ・マン」とは全く関係のない曲なのに、ビリー・ジョエルに送ったら「出していいよ」ってなって。そういう曲をやって、そのイベントでタイジさんが「ウッドストックのときにロックは世界を変えたはずで、もう1度俺たちは世界を変えるんだ」って言ったときの目の嘘の無さが印象的で、鳥肌が立ったんです。俺の信頼してる先輩が、また世界が変わるって思ってることと、自分が言いたかったことがすごくリンクして。

うじき:タイジは本気だからね。

佐々木:去年の中津川は、光栄なことにメインステージの1番手だったんです。そのときの光景が今でも焼き付いていますね。ピーカンで晴れていて、グリーンの芝生の上に楽しみに集まったお客さんがいて、脇にはソーラーシステムが見えている。未来の景色を観てるみたいな。

佐藤:そうだね。

佐々木:もちろん、「音が良い」っていう喜びも演奏者としてあるけど、あの景色のインパクトが忘れられなくて。20代の自分が思うのは、先程うじきさんが言ったみたいに、震災の後は「何の役にも立たないかも…ただのチンピラに戻るだけかも」って頭をよぎっていたんですけど、「自分の角度だからこそ、言えることを言おう」という使命感は勝手にあったんです。バンドマンだから、ライヴをして言いたいことを言って伝えるという前提がある中で、先輩が「未来がこういう風に明るくなったら良いんじゃないか」っていうロールモデルを打ち出してくれているのが、すごく頼もしくて。但し、情けないけど、俺にはまだアイデアも力もないという実感をさせられたのも事実です。だったらそのマインドを受け継いで、ツアーの先々で「THE SOLAR BUDOKAN」「東北 LIVEHOUSE 大作戦」等の俺が信頼している先輩の活動を話したり、自分自身も何か出来るアクションがあればそれを意識し続けていたいですし。

佐藤:あー気持ちいい。

一同:(爆笑)

佐々木:特に現場で起こってるものを、実際に目で見て、肌で感じることはすごく重要だと思っていて。みんなインターネットで見て、システムや線量のことが書いてあるから概要は認識出来ると思うんですけど、さっき俺が言った景色だったり、それを見て感じたことというのは、現場で観ないと得られないと思うんです。ライヴこそがそうですし、うじきさんの子供ばんどは正しくライヴの先駆け的存在ですし。

うじき:当時の子供ばんどはライヴ2000本やってたからね。

佐藤:うじきさんが運転してたらしいよ。

うじき:今は出来ないけど、4トンとか運転してたからね(笑)楽しいじゃん、ツアーやって周るのが夢だったから。最初は、八百屋さんが持ってた中古から始まって、少しづつ大きくなって、マイクロバスになっていって。バスも自分たちのバンド名やカラーを入れられて、夢のようだったよ。ライヴって生き物だから、同じ時に同じ場所に集まったヤツらとバンドとでしか、ありえない瞬間なんだよね。瞬間の勝負で、何かの拍子でスパークしてミラクルが起こったり、ダメになって落ち込むこともある。野外だったら天気も変わるし、パッケージし難い感じだよね。あとは、わざと違うことやろうとしてドツボにハマることも…

佐藤:あるあるある。

うじき:メンバー間でも「予想を裏切ってやる」って飽きさせないやりとりが、ときに疲れたりもするんだけど(笑)

一同:(笑)

佐藤:良いときは良いのよ。気分も最高で、酒も旨いし。そうじゃないとき…昨日リハで「レスポール」のネックを折っちゃって。「レスポール」ってさ、倒れるとすぐ折れるのよ。ヘコむんですよ(笑)

うじき:それもまた人生(笑)

佐藤:そういうことなんですよね…ダメなときって印象的ですよ。ちょうど折れたばっかりやし、どういうダメな時間を過ごすかがテーマになってるかな。

うじき:よくさ、自分のパッション表現かわかんないけど、楽器を投げた結果、落として折れるんだけど、ステージでは高揚してるくせに、楽屋に戻ってきて泣いてるみたいな(笑)

一同:(爆笑)

うじき:「フライングV」なんかさ、下がコンクリートだと真下に落として「逆フライングV」みたいなさ(笑)バカだよね、泣くんだったらやらなきゃいいのに(笑)

佐藤:投げたりとかしてたんスか??

うじき:投げてました。それこそ1本しかない「レスポールカスタム」を投げて、ネック4回折れてるから。

佐藤:それ直るんですか??

うじき:最後は釘みたいなの打って直ったよ。

佐々木:直るんだ…

佐藤:直るんですよ!でもそれは…バカですよ(笑)そういうときって、色々悪いこと考えるんだよね。「アイツがいたからダメなんだ」とかって(笑)

うじき:「THE SOLAR BUDOKAN」の親分がこういう人ですからね。そういうハプニングをみんなが楽しんでくれればね(笑)

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