1年7ヶ月ぶりに2ndアルバム『BORN IN THE U.S.A.』をリリースするBŌMI。シングルライクな楽曲たちは、これまでの彼女が充分に詰め込まれた作品となっていて、それは新たな始まりを告げる作品と言っても過言ではない。リリースに際し、これまでのBŌMIさんの軌跡を全4回に渡りお送りします。
PART.3は「ビューティフォーEP」〜「さよならミゼラブル」まで。
「ビューティフォーEP」は、全体的にリリックがポジティブな印象を持ったんですけど?
BŌMI:実は気持ちとして逆なんです。「メニー・ア・マール」を出したときに、すごく良いアルバムが出来たと思ってたし、私史上すごくポップなものだったんですけど、そこまで結果が出なかったんです。だから「ビューティフォーEP」は、もっとポップなものを作りたいって気持ちがあって、かなりギリギリだったと思います。
リード曲の「ビューティフォー」は、それこそ自分自身を歌っている?
BŌMI:「ビューティフォーな私〜ワンダフォーに踊れ」っていう歌詞だけみると、超前向きに見られますけど、心理的に真逆でそう思わないとやってられない気持ちでしたね。
だとしたら、その自分の気持ちを押し殺してまでも、ポップにしなければいけなかった理由って、何があるんだろう?
BŌMI:ギリギリだった部分のことなんですけど、もっとキャッチーでポップなものを作って、これでもし状況が変わらなかったら、やり方を変えるしかないって思ってたから。誰が聴いても分かりやすく、意味が伝わるものにした理由も、そこにあると思います。
それが正しく「ビューティフォー」に綴られていますよね。「CARNIVAL」は、結構色濃く人生観が描写されてる気がしますけど。
BŌMI:エモいですよね(笑)ミニ・アルバムの中に、そのときの自分に1番近い楽曲を入れたいっていう気持ちになってましたね。「Someday」を書いたときも一緒です。「CARNIVAL」を書いたときは、「私はこの先、どこへ行くんだろう?」って。
1番近い分、素直な描写がされている楽曲ですよね。
BŌMI:よく「思い描いたところに行ける」とかあるじゃないですか?でもそれって、半分正解で半分嘘っぽいって思ってて。人生っていうスパンで見たときに “これが悪・これが善”という内容が無さ過ぎて、戸惑ったんですよね。そういうときに、それでも生きてるから生きていかなきゃいけないっていうね。楽しい瞬間ももちろんあるけど、生きてることって不条理なことの方が多いなって思って。
ー始めたときの気持ちまで見失いそうになって
ミニ・アルバムとはいえ、結構出し尽くしたわけだ?
BŌMI:私としては、燃料を燃やし尽くす勢いでやりましたね。笑ってるけど、泣いてる様な顔でしか歌ってなかったと思います(笑)
実際、ライブでもそうなってたのかな?
BŌMI:自分を削ってやってましたね。求められていたものと、私自身が乖離し始めていたから、必死で焚き付けてた気がします。
その状態って、いつまでも続かないですよね?
BŌMI:続かないです。すごく疲れちゃってたし、始めたときの気持ちまで見失いそうになってました。だから、1度リセットすることにしたんです。
その時点で、歌うことや表現すること自体には、疲れたわけではないですよね?
BŌMI:うん。私のことなのに、舵を取れてない状況のまま走って、それを恰も「ノリ気でやってます」って出ることに疲れたんです。それで、再スタートが仮に切れなかったとしたら、それは私の才能の限界だったんだって。
潔い判断ですよね。
BŌMI:私、基本的に決断することは何でも潔いんです(笑)それが去年の今くらいかな。
(笑)リセットする前の「Party night で Hold me tight♡」は、振り絞りだったの?これはカッコイイ楽曲だけど?
BŌMI:こういう曲をバンバン作れたらカッコイイんだけど、配信リリースということもあって、好きにやれた結果だと思いますね。ただ、レコーディング自体は「ビューティフォーEP」と同時期だったんで、リリースがたまたま後ろになっただけですね。
なるほど。このリリースを最後にリセット、そしてリスタートに繋がっていきますけど、「さよならミゼラブル」まで長かったですよね。
BŌMI:そうですね。デビューしてから、リセットすることもリスタートすることも、もちろん始めてなので(笑)表現活動以外でのことを整えていましたね。録音自体は終わっていたので、本当はもっと早いタイミングで出して、次の曲に行きたかったんですけどね。
ーゼロになることが怖くて心地よい感じ
ただ、このタイミングでリリースを迎えたのは、ある意味良かったんじゃないかと?
BŌMI:そうだと思います。“今までの私はこうだった”っていうのを認めつつ、”次の私へ”って言う前にこの曲たちをまず、良い形で届けることをしようというのが供養であり、それがコンセプトにあるので。
「さよならミゼラブル」を先行配信にした理由もそこにあると?
BŌMI:ちょうどリセットしたタイミングが去年の今頃くらいで、そのときに書いた曲なんですけど、失うもののない強さっていうか、ゼロになることが怖くて心地よい感じが、今回の一連のリリースの布石になると思いました。
オルガンやシンセ、グロッケンをフィーチャーしたトラックで、すごく切ない歌なんだけど、まったくネガティブなイメージが浮かばないのは、自分自身でも感じていたことなのかな?
BŌMI:そうですね。お別れすることがテーマにはなってますけど、その別れは自然ではなくて自分が選んだ別れだから。もちろん別れには変わりないから…
悲しいことは悲しいよね。
BŌMI:うん、悲しい。「こうなる為にここにはいられない」っていう瞬間が、みんなにもあると思うんですけど、それを曲にしたかったのが「さよならミゼラブル」になりました。