花田裕之 インタビューvol.27

—実際に作品を聴くと、前2作からよりシンプルな方向性をみせていて、花田さんの匂いみたいなものが、前面に出ているような感じがしますね。

そのあと「OPEN YOUR EYES」だけど(笑)。やっぱ、その辺まで作る曲自体は、そんなに変わらなかったけど、作る度に面白いことをやらなきゃいけんと考えてたから。

—そうやって作品を制作していく毎に、楽曲自体やアプローチ方法、全ての要素が血肉となっていかれると思いますが、「Rock’n Roll Gypsies」で見せた世界では、”花田裕之”としての確立が成されたアルバムと位置づけられますね。

KYONとかと作った「SONG FOR YOU」もそういう感じがあったよ。マイアミのスタジオに行ったりして。さっき言った、自分が作る曲はそんなに変わってないけど、曲なんてアレンジやと思ってるから、毎回好きなことしかやってないなと。

—自由であることが、花田さんの音楽を構成する上で重要なんでしょうね。言い方を変えると飽きやすかったりもするのかもしれませんが。

自分でも怖いくらい、急に興味がなくなったりすることあるよね(笑)。流石にギターに飽きることはないけど。

—そのギターとハーモニカ、椎野さんのドラムというシンプルな構成で制作された「NOTHIN’ON」は、花田さんのキャリアの中でも、ある意味すごくパーソナルな作品でしたし、現在の花田さんを決定付けた位置にあるものと感じました。

あれは、たまに1人でスタジオ入って録ってたやつをまとめて出しただけなんやけど、自分の中の思考はシンプルやった。ああいう何もない世界は、ある意味憧れやし。

—それこそ、フラットな花田さんの世界ということですか?

そうやね。それまで、自分なりに考えてやってきたからいいんだけど、外のことを考えず、フラットな自分で録っていったから、すっきりした感じはあったよ。

—本能的に自分でバランス取ってる

—その後にROCK’N’ROLL GYPSIESの結成となりますが、これまでの流れでいうと、ある意味突発的な出来事でしたね。

最初、九州のイベントに出てくれって話があって。地元だからさ、ルースターズのメンバーがいると嬉しいだろしっていう雰囲気と、そういうオファーで。

—それまで、ある意味敬遠してきたバンド、ルースターズ関連という部分をROCK’N’ROLL GYPSIESで覆すことにもなりましたね。

まぁ、ルースターズについてはそのときも変わってないけど、自分が出す音に関しては、元ルースターズのメンツとのやり方がわかってきたというか。こうやれば、一緒に楽しめるっていうのが、そのイベントに出たときに感じて。元々、そういう予感はあったけど、やっぱ良かったね。

—再結成なわけでもないですし、良くある懐かしさを求めてということでもなく、飽くまで花田さんが拘る、面白さがあったんですね。

あぁ、そうやね。これじゃなくてもよく会ってるから、懐かしいはないね(笑)。バンドでやりたいって言ったら、みんないいよって感じだったし。元々バンドに敬遠してソロになって、またバンドを組むのは意外だけど、心の底では分かってたところもあるよね。まぁ嬉しかったから。

—さらに並行して、柴山さんとの菊花賞、ソロ、そしてルースターズの解散ライブと一気に重なって行きました。

うん、まぁ自分がやってきたことなんで、別に辛いとかはないけどバランスはあるよ。量的に(笑)。偏ったりする方が辛いね。だから、本能的に自分でバランス取ってるし、キツイことはしない。無理するのはちょっとくらいで、ずっとやれる範囲をしてきとるね。

—その中でも、FUJI ROCKで行われたルースターズの解散ライブは、花田さんの気持ちがやはり大きく変わった出来事だったのでしょうか?

ああいうのは、やっぱくるものがあったね(笑)。オレもそうだし、他のメンバーもそうだと思うけど、やったことでけっこうさっぱりして。

—それこそ、突発的に現在もルースターズのライブがありますが、当時は再結成ではなく解散の為にやれたということが、その気持ちになれたんでしょうね。

そうやね。ただ、ルースターズに関してはオレがいつでもOKって感じじゃないから。

—先ほどのバランスがそれを指しているのでしょうし、現在の花田さんのメインはルースターズではないですしね。

そう。自分の状態もあるし、オレに取ってはROCK’N’ROLL GYPSIESとか流れが、日々でやっているメインやからね。

—「NOWADAYS」では、「NOTHIN’ON」からの流れもあり、現在のband HANADAとして提示することができたアルバムですね。

あのタイミングでも、3人でかなりやってたからね。今の感じに落ち着き始めたし、やりやすいからね。

—「NASTY WIND」もそうですけど、飾ることもなければフラットなままの花田さんで、スタジオアルバムではあるものの、普段のライブに近い世界ですよね。

それが楽なんよ。あちこちライブで周って、曲が出来たら録ってるから。今もそういう流れだし、これからも続いていくだろうね。

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