y’s presents 貴ちゃんナイト vol.7

「いらっしゃい!」
開場と同時に、次々とフロアに入る来場者へ声を掛けた中村貴子。
男女問わず、幅広い層から手紙を渡され、和やかに話す開場時間は、このイベントの1コンテンツであるように楽しんでいる。 毎回、異例の出演者未発表段階からチケット発売をスタートし、ソールドアウト必至となる本イベントは、ラジオ・パーソナリティとして絶大な人気を誇る中村貴子が、”大好きなミュージシャンを迎えて、いちオーディエンスとして見たい組み合わせにこだわる”ライブ・イベント。
まずは、主催者である中村貴子からの挨拶。リスナーが集うDJイベントとして岡山から始まったものを本人が引き継ぎ、ライブ・イベントとして続けてきた今回も、高野寛、田中和将(GRAPEVINE)+高野寛、カミナリグモが名を連ねた。

トップバッターのカミナリグモは、観覧車や帆船のオブジェ、ランプ、等のオブジェが並ぶステージにあらわれ、「TOY BOX STORY」が奏でられる。ハンドクラップが絶えない開場は、始まったばかりであることを忘れさせる程の盛り上がりを見せる。
普段は「貴子さん」と呼ぶメンバーは「イベント名とはいえ、”貴ちゃん”は違和感がある(笑)けど貴ちゃん宜しく!」と親しみを込めた笑いを誘う。オーディエンスに寄り添うように演奏された「SCRAP SHORT SUMMER 」、アップテンポにカラフルな情景を魅せる「丘の上のスタンリー」、優しい歌声と共にこの時代への想像力を覗かせる「王様のミサイル」と、それぞれの色を放ちながらも決して耳から離れない音楽は、フロア中を包み込んだ。未来の歌「ブランクペーパー」を会場中のハンドクラップと共に演奏し、田中和将(GRAPEVINE)+高野寛へバトンを繋いだ。

宮川剛(Per.)を迎えて始まったのは、名曲「光について」。高野寛のコーラスも絶妙で、一気に引き込んでいく。田中和将のMCに「固いね(笑)」と突っ込む高野寛、そして「楽しくてしょうがない」と重ねる2人のステージには、和やかな時間が流れる。GRAPEVINEのライブでも中々披露されない「鏡」では、力強い歌声と圧巻のギターソロに、オーディエンスを釘付けにしていた。

続いて、田中和将からの無茶振り(?)に答える形で披露されたのは、高野寛と親交が深く、「Kameleon pop」に収録されたTodd Rundgrenのカバーで「I Saw The Light」。
本日限りのユニットにも関わらず、元々、ギタリストであるという共通点を持つ2人の息はぴったりで、「フラクタル」では田中和将のアコースティックギターに、浮遊するように絡む高野寛のエレクトリックギターは、美しい旋律を奏でる。オリジナルのチェロ、ストリングス部分を高野寛がアレンジを施した「Twang」で奇跡のユニットのステージを終えたが、いつまでもその余韻が続いたことは言うまでもない。

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