BAROQUE Interview vol.30

─確かにこの映像から滲み出る”温度”が伝わってきます。

怜:もし俺が「何かを持ちたい、照らしたい」 って言ってたら、もう少し違ったかもしれない。何も考えないまま持ったっていうのが良かったと思います。

─偶発的なシーンが収められたことで、逆にリアリティのある温かさになったんでしょうね。次は、幾何学模様が印象的な「SKY WALKER」。バスドラに合わせて変化したり、先進的な仕上がりとなっていますが、2人はどのようにそれを捉えられました?

圭:「SKY WALKER」はこの時代のイメージが結構強かったんで、まさにピッタリな感じでしたね。

怜:イメージ通りといえばイメージ通りだし、やってるときは真っ白な世界でしかなかったんで、最初は「どのくらいまで出てるんだろう」って思ってました。実際に見て、スタイリッシュさもあるし、でも冷たくはない。こういったアプローチもあるんだなとは思いましたね。

─どの楽曲も一貫したテーマがあることによって、先程からキーワードで出てくる光や温かみが映像としてもコアになっていますよね。その象徴として、「SWALLOW THE NIGHT」でもそうですが、TAKASHI KONDOさんの造形作品が映っています。

圭:これは今回のアートワークをTAKASHI KONDOさんと一緒にやろうってことが決まってたんで、アルバムのテーマを伝えたときに、彼がオブジェを作ってきたんですね。実際の立体図でアルバムのテーマに沿ったり、収録される楽曲を聴きながら作ってくれたことで、表現されていると思います。

—表現をする部分で言えば、「PURIFY」のアウトロ共にメンバーが映されたシーンでは、普段を覗かせていただいているような映像になっていて、「バンドなんだな」と改めて思いました。

圭:あれは映像チームが勝手に入れてきました(笑)。

怜:その一日を通しての様子を撮っていて、それを作品に含めても面白いんじゃないかと。仰るようにバンド感を表現したかったので、本当はサポートメンバーなんですけど、演奏してるとき以外でもバンドメンバーと変わらないですからね。

─スタジオライブはもちろん、この雑談のシーンでさえBAROQUEはバンドであることを見せられているシーンとなっていますね。また、怜さんがキャンドルにマッチで火を灯すシーンから始まる「SILENT PICTURE」、あの演出はニクいですよね(笑)。

怜:あれが1番緊張しました(笑)。1回で火を灯すっていうのをその日に聞いて、その瞬間に演奏が始まるんです。

─実際の現場はキャンドルのみの明かりだったんですか?

怜:確かにキャンドルの灯りが強かったんですけど、VJもあるし、カメラのエフェクトもあったと思います。俺は気づかされた部分が多くて、こういうアプローチの仕方によって、1番入り込めたし。

—「ORIGINAL LOVE」もそうですよね。真っ白な空間に圭さんが浮かび上がり、時折映し出される小さな手が歌詞ともリンクしていて。

圭:すごいシンプルな映像なんですけど、真っ白な中で何かに包まれているものを表現しようとしました。曲自体、すごく無垢な愛を表現しているんで、映像もすごくリンクしたと思います。

—そしてラストの「MEMENTO」で開いた蕾には、どのようなメッセージが込められているのでしょうか?

圭:例えば「ORIGINAL LOVE」が個人・人としての愛を描いた曲だとしたら、「MEMENTO」はもっとスケールが大きいマクロな世界で、地球全体としての愛という、ちょっとぶっ飛んだ話になるんですけど(笑)。生命力とかそういうものを感じさせる曲なんで。僕ら個人は圭という人間・怜という人間で、マクロで見ればBAROQUEじゃないですか。でももっと大きな視点で見れば、日本人であり、さらに大きく見れば地球中の1人であり、宇宙から見たら僕らは地球の一部という視点の曲なんですよね。

—全てに対する愛のような?

圭:生命に対する愛っていうか。自分たちも、今まで描いたことないぐらい大きなメッセージを持っている曲だったんで、なかなか言葉では表現しづらい部分を花が咲くことや、自然の持つ生命力っていうのが映像としてマッチするんですよね。

怜:自分を超えてるんですよね。これを歌ってるときも思うんですけど、自分じゃないものを見ています。それを伝える使命があると思うし、大きな意味がある曲です。映像チームが、この曲が持つテーマを見出したのは平和だったりもするしね。

─すごく開けていますよね。誰しもが持つテーマでもありますし。

怜:1番心が開けてるし、どんな人にでも伝わるんじゃないかな。みんなが気づいてそうで、気づいていない気持ちが見出せるだろうし。

─届いた人には、ビジュアルでも表現されていた、蕾が開く瞬間が訪れるんでしょうね。因みに「BAROQUE SPECIAL FILMING LIVE FOR BLU-RAY DISC」含め、ツアーには太陽系の惑星をサブタイトルとされていますが、「Moon」とされたのは?

圭:月って地球から見れるじゃないですか。だからどこにいても「Moon」を体験できるという風になったら面白いですよね。

—8月14日に行われるO-EASTでの「Sun」で「OPEN YOUR WORLD AND SEE THE LIGHT」が完結しますが、テーマにも掲げた”唯一無二の存在であること””生きる美しさを見つめ直す”は、BAROQUEとしても確かめ合えたことだったのでしょうか?

圭:そうですね。事実として、ライブは来てくれた1人1人がいなければと成り立たないし、ステージの上と下というボーダーが無い状態のときが、良いライブだったりするので、究極のコミュニケーションだと思います。ミクロ・マクロの話じゃないですけど、全てにおいてこの世の中や時代生きているみんながいるから、成り立ってるものだと思うし、ライブはその縮図な気がするんですよね。1つの同じエネルギーの下で、何かを達成する・共有するときに、人間ってすごく楽しさや生きがいを感じるんですよ。

—人と繋がり合えたときがそうですよね。

圭:ライブはそういう場だと思ってて。それを味わって、分かり合えたのが今回のツアーだったと思いますね。

怜:俺も本当にそう思っていて、この時代って何でも情報が得られるし、こうやって集まることって、本当に強い思いがないと難しい。しかも、今回はアルバムまで時間が空いていた中で、それでも集まってくれた人と共有できたと思うし、そういうことを各地で感じられましたね。次の14日も、ある意味どの会場でも変わらないような気持ちや繋がりがあるんじゃないかな。

─簡単な言葉になってしまいますが、これが「ライブ」なんですよね。

圭:ですね。ただ観せたいだけではないんだよっていうね。

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