
ーアルバムを通しで聴くと、「Soma」のアウトロでのドラム余韻がとても印象的で、曲の配置が難しかったのではと思ったのですが?
まず、アナログ盤を出すって決めてたから、A面とB面っていう考えがもともとあって。実は、曲順も決めてレコーディングに入ったんだけど、A面の最後は「Soma」か「Odyssey」をみんなで喧々諤々したんだよね。結果、「Odyssey」になったんだけど、「Soma」のドラムに対するリバーブは、仮ミックスのときにふざけて「これ、最後にリバーブつけて」って言ったのが始まりです。エンジニアがふざけて思いっきりつけたのを聴いて、みんなでひっくり返って笑ってたんだけど(笑)。でも何度も聴いてたら、それじゃなきゃダメになっちゃって(笑)。
ー偶然の副産物にしては、すごくマッチしていますよね。
あれでA面が終わってもいいくらいだったけど、もう決めてたから、そのままの位置にしました。
ーそのお話を伺うと、「Odyssey」ではすごくストーリー性のある楽曲になっていて、哲さんの中でもA面最後という意識をされていたのですか?
やっぱり名残惜しさをイメージしてたと思うし、「Odyssey」って響きがあるじゃないですか。「2001: A Space Odyssey(2001年宇宙の旅)」とか車の「オデッセイ」もあるでしょ?
ーありますね。それが今回は叙事詩となって表現されていて。

「Odyssey」って、字の綴りからしてもストーリーがあるような感じがしちゃうし、その言葉だけで何か浮かんできちゃうでしょ。それって、映画の1シーンというよりも、自分が見てきた風景や実体験のような気がしてて。例えば小さい頃の家族旅行で見た、地平線に沈む夕日をふっと浮かべる人もいるだろうし、電車に乗るときに売ってたお茶のやつとかね。
ーありましたね、ポリ茶瓶!懐かしい(笑)。
そういう色んな情景が、みなさんの中で浮かぶはずだから。実は、メンバーの多数決を採ると、「Odyssey」が1番好きって人が多いんだよね。
ー因みに哲さんも手を挙げられた1人ですか?
今は「The Party Song」のギター・ソロが、ずーっと頭の中にあるんですよね。改めて、簡単でシンプルなやつってすごいなあって。
ーそれが正しく「THE BLACK COMET CLUB BAND」の魅力ですし。では、シンプル繋がりの問題作「VAGABOND」(笑)。
これは問題作ですよ(笑)。
ーまず、セリフというアプローチって、これまでありました?
“叫び”みたいなものは、THE JUNEJULYAUGUSTの「Japanese Democracy」にあったけど、これまではなかったかな。
ーこのアプローチになったのは、もともと”歌ありき”で制作に入っていなかったときの、リズムの断片がそうさせたのでしょうか?
そうかも。もしかしたら、リズムとユニゾンの歌になりそうだったのを避けたのかな?
ーしかも、その辺のパンク・バンドより「馬鹿」をストレートに歌っていて、個人的に行き先の高円寺がしっくりきたんですよね(笑)。
そうだね(笑)。こっちもやってて気持ちいいし、この曲もメンバーみんな好きみたい。

ー間違いなくライブ映えする楽曲の1つだと思います。続く「Running Bird」では、ある意味「No.9」で魅せたような、哲さんの持つ” 相反する遊び方”ではなく、すごく自然な「THE BLACK COMET CLUB BAND」が出ていますよね。
そうだね。曲の世界観とか言葉とかで”ミスマッチしてるマッチングの良さ”っていうのを俺は探しがちだよね。これはサビ・タイトルの「Running Bird」に呼ばれて、歌詞の言葉たちが乗っかっていったのかな。”飛べない鳥”って書き出した時点で、もう道筋が出来てたと思うし。
ーこのバンドのキーワードにもなっているルーツ・ミュージックや、そこから派生する1つのストレートさが、この曲には色濃く出ていますし。
普段だったら、ミスマッチのマッチングを狙いにいって「No.9」みたいなことになるとしたら、これはマッチングの良い方に、自分が進んでやってたのかもしれない…なーんて考えてやってないしな(笑)。でも、ちゃんと質問してくれるから、振り返ってみると出てくるもんだね、久し振りに頭まわしたけど(笑)。
ー産んだばかりという部分があるのだと思います(笑)。それこそ「BANDEIRA」だと、このバンドだからこそ出来る”シンプルさ”の凝縮された美しい曲になっていて。
そうだね。今回、ギター・ソロだけは別で録ってるけど、ダビング・ギターって殆どしてなくて。よく広がりを持たせる為に、2〜3本目って同じようなフレーズ入れたりするけど、全然やってないのはもうドラムがそれを仕上げちゃってくれてる。言っちゃえば、ベーシック・トラックしかないぐらいなのにストーリー性がちゃんと出来たし。わかりやすく言うと、ZIGZOやnilの半分しかギターを入れてない。
ーそう伺うと、より美しくメロディを引き立たせられる音は、ドラム2台が中心であることという部分が改めて驚きですし、歌詞の面でも「Jolly Roger」とは真逆にある旗が見えていて、そこにインスパイアされた各パートの組み合わせが絶妙ですよね。

確かに旗つながりでいうと、全く違うものですね。基本的に、統が色んな音色でやってくれてるんだけけど、「ちょっとここ広げたいから、何か入れてくれ」っていうのがあって、ベースを左寄せにしたり。風間がどっしりしたドラムをやってくれるし、そこで梶が上モノドラムやってくれてるから、極力ギターとベースはシンプルなことしかやらないようにして。そこに統がキレイな色を塗ってくれて、歌が出てくみたいなメソッドがこの曲にあるかもね。
ーレコーディング初日の”目に見える音楽地図を書く”という中で得た手応えみたいなものでしょうか?
そうそう。一気に掴めて録っていったから。しかも梶は、絶対アルバムの曲順通りに録りたがるんだけど、それで俺もクセがついちゃって、ここ何年かはどのバンドでも曲順通りに録ってる。
ーこれは9曲目に録ってるから、その感触がかなり反映出来てるんでしょうね。因みに最後のコーラスの部分は、最初のベーシック・トラック時には、既に存在していたんですか?
もしかしたら、デモテープ録ったときに付け足したのかもしれないです。
ーバンドのシンガロング曲となることは、間違いなさそうですね。
ライブだと、最後の合唱のところはもう伸びてる(笑)。
ーやっぱり(笑)。
当然ながらね(笑)。俺も、まだお客さんが歌詞も知らないのに「歌え!」って言ってます(笑)。














