NOTHING BUT THE FUNK LIVE REPORT

ー日本屈指のグルーヴ・マスター沼澤尚を筆頭に、新旧Sheila E Bandのメンバーから成る「Nothing But The Funk」の約3年振りとなる公演の初日が、ビルボードライブ東京で行われた。

7人全員のスケジュールが許すタイミングで、定期的に活動しているこのスーパー・ファンクバンドであるが、今年はやはりこの話を避けて通れない。
4月21日にこの世を去ったPRINCE。
言うまでもなく、所縁の深いメンバーで構成された”NBTF”が今年ライブを行うことは、もはや必然だったのかもしれない。

筆者が目撃することができた2ndステージはほぼ満席状態で、SEが流れメンバーがステージに登場するや否や、フロアのオーディエンスは総立ちの拍手で迎え入れる。
各楽曲への言及は敢えて伏せさせていただきたいのだが、エディとジョエルのパワフルさは演奏面にだけに留まらず、ステージパフォーマンスとしても圧倒的だ。
ネイトは、心地よいカッティング・リズムを鳴らし、またファンキーな音色に奥深い味わいを重ねるギター・ソロには、大声援が沸き起こる。
レイモンドは堅実にリズムを捉え、音の強弱や休符を含めた細かなニュアンスを表現しきり、音符と音符の“間”みたいなものまでが、身体中にズシンとくる。
カールは思いのままに、インプロに近いリズムの合間を縫うようなビートを奏で、沼澤尚とのシンコペーションには誰もが身体を揺らす。
一音一音に魔法が込められているような錯覚をさせられる森俊之のキーボードは、「心が踊るとはまさにこのことだろう!」と言わんばかりである。
そして、このREAL FUNKINESSたちを最高のグルーヴで導く沼澤尚。
7人が織りなす、その溢れんばかりの珠玉の音の洪水は、会場中を駆け巡るだけではなく、身体中の奥底に響いて心を離さないリズムの鼓動でいっぱいに広がる。
あっという間のステージは、観終わった後の「最高だった!」と同時に発生する「また観たい!」が、オーディエンスの脳裏に浮かんだに違いない。

このライブを体感できる、残されたタイミングは広島クラブクアトロ(14日)、ビルボードライブ大阪(15日)、そして追加発表されたビルボードライブ東京(16日)のみ。
プリンスの遺伝子と共に奏でられる、極上のFUNKを是非、味わい尽くして欲しい。

STORY of “NOTHING BUT THE FUNK”

日本を代表するドラマー沼澤尚が、1983年大学卒業直後に留学したロサンゼルスの音楽学校 “P.I.T.(Percussion Institute of Technology:MUSICIANS INSTITUTE)” 。この学校で生徒として、その後同校インストラクター、そしてドラマーとして33年間とどまることがなかった彼の快進撃と、偶然に偶然を重ねた奇跡の出会いの連続で、今年2016年10月に3年ぶりの”ナッシング・バット・ザ・ファンク/NOTHING BUT THE FUNK” ビルボードライブ公演が実現する。

ライアン・アダムス(Ryan Adams)、ベン・ハーパー(Ben Harper)等のプロデューサー/エンジニア/ベーシストとしてグラミー賞を受賞、アメリカ音楽界で成功を収めているシェルドン・ゴムバーグ(Sheldon Gomberg)とクラスメート、ルームメイトであり大親友だったことがきっかけで、学校を卒業すると同時にチャカ・カーン(CHAKA KAHN)、ボビー・ウーマック(BOBBY WOMACK)、L.A.ALL STARS(Al McKay,Verdine White,Andrew Wolfork,Johnny Graham,The Emotions etc.)などのツアーに立て続けに起用されると共に、同時期にプリンス(PRINCE)やシーラ・E(SHEILA E.)のそれぞれのツアーに数年間続けて参加し、作品にももちろん参加していた同世代の特別な精鋭たち=エディ・M(Eddie M.)、カール・ペラーゾ(Karl Perazzo)、キャット・グレイ(Cat Gray)、レイモンド・マッキンリー(Raymond Mckinley)らと知り合い、現地では必然的に彼らと主に活動するようになる。

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