いよいよ18日に公開を迎える『ファイブ・デビルズ』。『燃ゆる女の肖像』セリーヌ・シアマや『TITANE チタン』ジュリア・デュクルノーに続く才能として、現在フランスで最も注目されているレア・ミシウス監督のインタビューが到着した。
まずは本作の物語が生まれた経緯について、次のように語る。「このキャラクターたちに命を与えたいという思いから生まれました。脚本は、匂いに取り憑かれた女の子のアイデアからスタートし、モザイク画を作るように、少しずつ組み立てていきました。脚本の執筆中、多くのアメリカ人作家の本を読みました。フランスを舞台に映画を撮ってはいても、私が作る映画はいつもアメリカ文学からインスピレーションを得ていたように思います。最終的に残ったのは、舞台とキャラクターを神話化することへの憧れでした。その願望に従って、アルプスの麓の村の、壮大な風景で、人種の混在した家族と神話的なキャラクターを登場させたのです。」そして映画の主題について「私たちは『ファイブ・デビルズ』を以下のように要約しています。失敗した、または挫折した人々の物語。この映画は悲劇でもあるのです。どの大人もどこかで道を踏み外し、不幸なままです。その良い面は、彼らが“失敗”したおかげでヴィッキーが生まれたこと。そして失われたものは何もないのだということです。失われた時間を取り戻せないとしても、私たちにはまだ選択肢がある。物事は何も決まっていない。私たちは行動を起こすことができるのです。」 と話している。
女性同士の燃えたぎる愛がテーマの一つでもある本作だが、監督はそれらを描いた背景について「『ファイブ・デビルズ』は遺伝についての物語です。ヴィッキーの持つ魔法の力は、女性から女性へと受け継がれていく。それはおそらく、昨今の多くのフェミニストのように、私が魔女の姿と女性の力に取り憑かれているからでしょう。男性を排除したいわけではないんです。たとえ男性たちが背景のような存在に見えるとしても、これまでの伝統的な男性性に代わる別の姿を提示したいだけなのです。」と明かした。
さらに、35mmフィルムで撮影された美しい映像が印象的な本作だが、撮影について「『ファイブ・デビルズ』は目に見えないものを扱っていますが、本来映画には、何か目に見えないものが存在していると私は思います。ところがデジタルではすべてが見えてしまう。私が想像していた謎を作り出すためには、35mmでの撮影は不必要な要素だったのです。」と、こだわりを覗かせている。
そして、レア・ミシウス監督から、日本の観客へ向けた貴重なメッセージ動画も到着!「本作では 継承 魔力 家族 について語っています」とし、「映画として楽しみながら何か深いものを感じてもらえればと思って作りました。どうぞお楽しみください」と私たちにメッセージを送ってくれた。
ファイブ・デビルズ
監督:レア・ミシウス 『パリ13区』
脚本:レア・ミシウス、ポール・ギローム
出演:アデル・エグザルコプロス、サリー・ドラメ
スワラ・エマティ、ムスタファ・ムベング、ダフネ・パタキア、パトリック・ブシテー
2021年/フランス/仏語/96分/カラー/シネスコ/5.1ch/原題:Les cinq diables/英題:The Five Devils/日本語字幕:横井和子
配給:ロングライド
公式サイト:https://longride.jp/fivedevils/
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