2022年釜山国際映画祭を騒然とさせたフィリピン映画界の鬼才ブリランテ・メンドーサ最新作「FEAST -狂宴-」
45歳で映画監督デビュー。わずか7年で三大映画祭を席巻!
唯一無二の独自性を持つ、ブリランテ・メンドーサ驚きの撮影手法とは?
デビュー7年でカンヌ、ベネチア、ベルリンの世界3大映画祭すべてで受賞
映画の美術監督やCMディレクターとして高い評価を得ていたブリランテ・メンドーサが『マニラ・デイドリーム』で監督デビューしたのは2005年。45歳という遅咲きであった。本作でロカルノ国際映画祭のビデオ部門金豹賞などを受賞し、この年をもってフィリピン映画は「第3黄金期」に突入したと言われるが、その後の目覚ましい活躍とともにメンドーサは常にその中心で映画界を牽引して今日に至っている。『サービス』(08)が、フィリピン映画として 84 年以来のカンヌ国際映画祭コンペ出品作となり、『キナタイ─マニラ・アンダーグラウンド─』(09)で第 62 回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞。『グランドマザー』(09)で第 66 回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品。イザベル・ユペール主演『囚われ人 パラワン島観光客 21 人誘拐事件』(12)が第 62回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品され、世界三大映画祭のコンペティション部門出品を果たす。『ローサは密告された』(16)では主演のジャクリン・ホセを東南アジア初のカンヌ映画祭女優賞に導いた。
“メンドーサ・マジック”に世界中の映画人が称賛し、その才能に嫉妬する
メンドーサの映画作法は独特である。俳優に脚本を渡さず撮影現場で討議して最高のセリフを見つけていく「ファウンド・ストーリー」と呼ばれるメソッド。ときに人物の声が聞き取れないほど街の雑踏や自然の環境音をすべて採録する臨場感にあふれた「ノイズ主義」の手法。そしてデジタル時代の申し子といえる軽量小型の機材を駆使してスラムの細い路地に手持ちカメラで縦横無尽に入っていく「荒れ・ブレ・ボケ」の撮影美学。メンドーサ・マジックと称されるこうした独自の映画術のもと、数々の傑作・問題作が世に送り出されてきた。徹底したリサーチに始まり、事前のリハーサルもほとんどなく、長回しすることによって、リアルな映像を追及する。ドキュメンタリーばりの臨場感とともに登場人物たちの心情を映し出す彼の作品は「ドキュドラマ」というカテゴライズにされることが多い。
エンドロールを迎えた時、あなたの心はあぶりだされるー
フィリピン社会の暗部をえぐり、社会問題や社会的リアリズムを通してそこで強くたくましく生きる庶民の姿をリアルに描いてきた、社会派監督ブリランテ・メンドーサ監督最新作は、フィリピンの田舎町で巻き起こった交通死亡事故から始まる当事者家族同士の心の機微と赦しをテーマに描く。人はどう罪と向き合い、どう赦し、そして生き直せるのか? しかし、それだけでは終わらないのがメンドーサ監督。ただのハートフルムービーではなく、ストーリーは次々と観るものの予想を裏切る展開を見せ、抒情的な映像の奥で、大きな疑問符をわれわれ観客に突きつける。凝り固まった映画ファンの映画的常識に挑むメンドーサ監督からの挑戦であり、野心作とも言えるだろう。是非、劇場でその新境地を確かめていただきたい。『FEAST -狂宴-』は、3月1日(金)より全国公開。
FEAST -狂宴-
監督:ブリランテ・メンドーサ
脚本:アリアナ・マルティネス
撮影:ラップ・ラミレス
美術:ダンテ・メンドーサ
編集:イサベル・デノガ
音楽:ジェイク・アベラ
出演:ココ・マーティン、ジャクリン・ホセ、グラディス・レイエス、リト・ラピッド
2022年/香港/タガログ語、パンパンガ語/104分/シネスコ/原題:Apag(英題:FEAST) PG-12
後援:フィリピン政府観光省
配給・宣伝:百道浜ピクチャーズ
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