密室 TALK #1 ナカヤマアキラ(Plastic Tree)

【ルーツ】

村瀬:この間、イベントに出てもらったとき、ギター弾くの間近で見てて「やっぱ、うめえな」って。

ナカヤマ:いやいやいや。

村瀬:そのアキラくんにある、音楽的バック・ボーンを聞いてみたい。

ナカヤマ:音楽はね、世代的に洋楽じゃないですか?なんですけど、ことギターだけに関しては、ハード・ロックの影響の方が強いから、LAメタルがルーツになってしまうんだよね。自分でも気づかないけど、実はVan Halenなんですよね。

村瀬:ほお。やっぱり思った通り、メタル・ハードロックだ!!

ナカヤマ:LAメタルというとMötley Crüe、RATTの戦いだったりするじゃないですか。モトリー派がいっぱいいるのに、俺1人だけ「どっちが好きだ?俺はRATT派!」みたいな(笑)。

村瀬:(笑)。俺、すごく面白いと思ったのが、Plastic Treeの楽曲でそういうギターが入ってるところなんだよね。

ナカヤマ:どう見てもアメリカンなギターで、UKサウンドを出そうとしてますね。多分、バカだったんでしょうね(笑)。

村瀬:(笑)。いやいや、そこが個性でしょ〜。

ナカヤマ:レスポールとか持ってたんですけど、どうもしっくりこない。かといって、ストラトでもどうもしっくりこない(笑)。

村瀬:なるほどね。Plastic Treeの曲ってUK寄りだったり、ちょっとネオアコぽかったりするでしょ。そういうところに、あのギターが入ってるのは他に無いオリジナルだなって。

ナカヤマ:仰る通りで、本来はGibson ES-335とか持つべきなんです(笑)。

村瀬:それを敢えてっていうのが面白いんだよね。

ナカヤマ:これは公の場で言ったこと無いかもしれないんだけど、完全にセレクト違いってことを認識できなかった自分がいるんです(笑)。ただ、当時SUEDE とかのUKサウンドがすごい流行ったじゃないですか。みんなレスポールに行ってるんだけど、こっちは良いレスポールを手に入れられなかったし、どうにも金銭的にハードルが高くて買えない。WashburnのN4だって、そんなに安いものじゃないのに「これだ!」って思ったんでしょうね。その辺が「チンプンカンプン」の始まりな訳ですよ。

村瀬:俺、そういうの嫌いじゃないっすよ(笑)。

ナカヤマ:オリジナリティを求めてたんじゃなく、チンプンカンプン(笑)。

村瀬:でも、今はオリジナリティになってますからね。

ナカヤマ:ねえ。JAPANってバンドがすごい好きなんですけど、最初はずーっとおかしな音源ばっかり出してて認められなかったけど、最後の10年目で勝ったじゃないですか。10年やれば、ホンモノになる。それを信じてたフシはあるんです。「今はPlastic Treeの評価が低くても、10年後には俺はホンモノになるんだ!」って。

村瀬:なるほど、それを信じて今があるんだね。いい話だ。

【機材】
ナカヤマ:でも、その言葉を信じてる時点で、チンプンカンプンなことをやってる自覚はあったんだなって(笑)。ホントはね、村瀬くんみたいにちゃんと「レスポール!マーシャル!」みたいな、本物の人に言うのが恥ずかしいっ。

村瀬:そんなことはないよ(笑)。

ナカヤマ:この前に対バンしたときも、「どうやって音を出してるんだ?直なんじゃないのか?」って、村瀬くんに確認をしに行ったじゃないですか。見てみたら「うーん、ちゃんとペダルは挟まってるな」って(笑)。

村瀬:最低限だけだけど、少しだけ(笑)。

ナカヤマ:で、聞いたら「このアンプはここの現場のだ」って。よく出るなと思ったんだけど、やっぱ音を出す揺るがない本人のサウンドがあるから、どこのアンプ使ってもこうなんだな、ってワタシは認識してます。

村瀬:大先輩に褒められましたよ(笑)。

ナカヤマ:羨ましいですよ。俺もそうしたいんだもん。ギター1本持って位のフットワークで、100%の自分を出したいんですよ。でも、現場で「Marshall JCM2000」って聞いたら「無理だ!なんか挟ませてくれ!ちょっと歪むだけでいいんだ!」みたいな。それくらい2000っていうのは定番だけど、非常にハードルが高いアンプなんですよ。ジャストミートしたらすごい良い音が出せるんですけど、それ故にちゃんと考えていかないと、とんでもない目に会う(笑)。

村瀬:それ良くわかるなー。今のアンプは?Kemper導入してたよね?

ナカヤマ:だいたいKemperですね。あれは便利なの(笑)。もちろん、良いところもあれば悪いところもある。だけど、機材なんて言ってしまえば、そういう所がたくさんあるけど、良いところを引き出すということに特化していったりするじゃないですか。

村瀬:その良いところを訊きたいな。

ナカヤマ:大体80点。色んなことを困らずに繋げたら、80点は出せる。これは現状の限界として、みんな言ってます。ロックって、120点出さなくちゃいけないときがあるじゃないですか。「オマエ、リハでこんなことしてないでしょ!スゲーな!」みたいな。

村瀬:本番ならではのね。

ナカヤマ:「よし、俺も!」ってときに、デジタルは90点以上は出ないし、ど根性の部分に行くと、どうしても追いつかない。

村瀬:なるほど。それは使ってる人の貴重な意見だ。デジタルの限界かぁ。

ナカヤマ:本来、接点なんて極力ない方が良い音じゃないですか。あれだけ繋げてるのに、1個でも減らしたい俺がいて、この接点が無くなるだけでどんだけ良い音に…みたいな無駄な努力を(笑)。

村瀬:いや、無駄じゃないよ(笑)。因みにライブってワイヤレス?

ナカヤマ:違います、ワイヤードです。俺、決め打ちで「ここだけはパフォーマンスしてください」っていうワイヤレス以外は、どんなデカイ会場でもシールドで、絶対にこれは揺るがないんですよ。

村瀬:そこは一緒だな。絶対シールドの方が音痩せなくて良い音だよね。デカイ会場で見せる事を想定してるなら分かるけど。じゃあ、普通に10mとか?

ナカヤマ:うーん、プラツリは10m。どっかでセッションに行くときは5mかな。時々「あれ?ワイヤレスじゃないんですか?」って言われるんですよ。ハコが大きい現場で「こういうパフォーマンスで出てきてください」ってなって、ワイヤレスじゃないから一瞬どうするのって空気になるんだけど、10mあるから全然余裕(笑)。

村瀬:(笑)。今シールドの話だけど、他に音への拘りってある?

ナカヤマ:音の拘りといえば、去年くらいからたまたま、Kemperを手にして。それでも、Kemperはオーディオ的には良い音なんですけど、ギターのハイやローなんて、周波数的に知れてる訳で。そういう部分が強調されたようになんとかならないかなと、自分でブースターを作り始めたんです(笑)。

村瀬:え、ゼロから作ってるの?

ナカヤマ:基盤図を見て、部品買ってきて。さすがにディレイとか、すげえ部品が多いのはちょっとアレなんですけど、前からビックマフのコピーとかは作ってたんで、そのノリで。で、何個か作ってるうちに「こういうことか!」と。売ってない、俺だけの物を手にしたぞ!って(笑)。本当は、安上がりだってのが8割なんですけど、オトコなんてぐいぐいオトコならではのロマンにズレていくから(笑)。

村瀬:自画自賛(笑)。

ナカヤマ:自分で作ったから、自分を褒めたいみたいな。どんどん、目的から逸れてく(笑)。でも、ちょっとだけまた自分の思い描いたサウンドに近づけたって。ちょっとピックアップ換えただけで、また俺に近づけたって感じと同じですよ。

村瀬:それ、ライブでも使ってるんですか?

ナカヤマ:ライブのものは全部やりました。

村瀬:凄い!この話はギターマガジンでした方がいいんじゃないかな(笑)?

ナカヤマ:ホントはね(笑)。ただ、そんなに高度なこともやってないわけですよ。町の楽器屋さんに行って「この3,000円くらいのディストーションがすげえ良いよね!」っていう賭けみたいなもんじゃないですか。ご予算から大幅に超えたシステムじゃない部分のオトコのロマン、村瀬くんならわかってくれると思う(笑)。

村瀬:わかります(笑)。でも、そこまでとは思わなかった。

ナカヤマ:どっかの◯◯って高いメーカーのオーダーしてるっていうタイプだと思ってた?

村瀬:いやあ、でも基本的にそういう部分もあるかなーって思ってた(笑)。

ナカヤマ:見たこと無いでしょ。そっちの雰囲気(笑)。それでOKなことをやっているから、今が100点なんですよ。それに至るまでに、ワタシはチンプンカンプンなことを(笑)。

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