【拘り】
村瀬:さっきのカッコイイに通じるところで、音楽も含めて普段生活していく中で拘っているものってありますか?
高木:真剣に思っている事で、今は宇宙に行くというような時代なのに、人殺しがなくならないことをなんでだろうと思う。ましてや、去年はNTTが世界一の量子コンピュータを開発してるような時代なのに、毎日誰かが人を殺している。その疑問が自分の中で解けないの。だから、それをちゃんと言い続けたいし、「いつまでそんなことをやるの?」という事を歌う上で意識している。
村瀬:深い。
高木:単純に、何で人が人を殺すんだろうというのを強く思うようになった。沖縄の事も、大事なのは辺野古に生きている物があるわけじゃん。その海にしかいない生き物が、そこで泳いでいる訳じゃん。そこもクリアできないと、アメリカも日本も人として問題がある。でも、政治的なことも防衛や経済のこともわかるから、オレがそれに対して「ごめんね」という思いで歌いたくて、歌えるんじゃねぇかって。最近、そうなりたいし、人のを歌うんじゃなくてそういうのを歌いたいの。村瀬は?
村瀬:特に昔はトンガっていたらだと思うんですけど、例えば対バンでもカメラマンでもインタビュアーでも、こうやって始めって会った時に、馬が合わなかったとか上手くいかなくて噛み合わない時、昔だったら「何だコイツ」って思ってそれで終わりで。でも、最近はそれを「今はタイミングじゃないんだ」なと思えるようになった。今日会ったけど、今日は仲良くなれないなとか。
高木:初めてオレと会った時の村瀬は(笑)。
村瀬:いや、それとは違います。振り出しに戻された(笑)。
高木:ならいいんだけど(笑)。
村瀬:あの時はただのシャイだった。シャイでしかも先輩だったので、あれだった(笑)。みんなが仲良くなれなくてもいいと思うんですけど、ギクシャクしても昔ほどイライラしない。今日はタイミングが良かったと思える力量じゃないけど、そういう風に思えるようになってから、上手くいくようになったという話なんですけど。それが拘りかな。
高木:いいな、村瀬は。カワイイ、カワイすぎる(笑)。
村瀬:(笑)。で、昔はそれでただイライラしていました。「コイツ感じ悪いな」とか。ミュージシャンって、バチバチするじゃないですか。
高木:うーん、バチバチした事はない。
村瀬:え、無いですか?今はみんなさ、直ぐ仲良くなるじゃないですか?何か分かんないけど「インスタやってる?」「フォローするよ?」とか。
高木:ああ、あるね。
村瀬:まぁ全然それも別にいいですけど、みんな仲良くなりやすいじゃないですか。オレらがやっていた20歳頃って、やっぱり「何だこいつ」っていう若干ケンカ腰な感じ。フトシさんの世代も絶対そうなっていたと思う。
高木:目の合った後輩を潰すみたいな感じのことかな。
村瀬:例えば「お疲れ様です」と言ってもシカトしてくるとか。
高木:そういうの全然、楽勝だもん。
村瀬:いやいや。楽勝っていうのは。それは、器がデカイから。
高木:多分それね、あの中学生時代にあった修羅場というか(笑)。これ、文字に起こせないと思う。
村瀬:書けないじゃないですか(笑)。
高木:(笑)。でもね、それは絶対あると思うよ。やっぱり中学とか10代で、修羅場を潜り抜けているやつって、全然そんなのどうでもいいのよ。
村瀬:中学生で修羅場ってあるのか(笑)。
高木:ピュアすぎるわ。それは、オレと一緒に飲むのに20年かかるわな。
村瀬:かかる(笑)。
高木:しかもこれ対談だし、若干仕事だし(笑)。もう次は仕事抜きで飲むぞ。
村瀬:ああ、もう全然、まぁ、今日も仕事じゃないですよね、うん。
高木:でもそうね、最近の人たちは単純に他人の事を気にしすぎる風潮はあるよね。例えばオレだったらインスタやっていて、いいねの数とかどうでもいいことを言う人と会った時に、挨拶してシカトされたとする。人と人だから、それはそいつがたまたまそういう時だったかもしれないし、そいつのその時のバックボーンなんて分かんないから。
村瀬:背景は分かんないですね。
高木:オレがメチャクチャお金がなくて、昨日も何も食ってなくて、今日のライブも必死で誰かに電車賃借りてその場に来ていたかもしれないしって、分かんないから。
村瀬:そこまで考えられるのが素晴らしい。
高木:人って、それぞれに事情があるしそういうもんじゃない。寧ろ、こうやって飲みに行った時に、なんかより楽しくなれるじゃん。
村瀬:今フトシさんが言った「当たり前を思える様に」っていうのにオレはなれたという話ですね。
高木:じゃないかな(笑)。
村瀬:拘りではなかったですね。
高木:成長(笑)。結論に近づいてきた。他に音楽をやる上で思想的な何かはないの?
村瀬:真面目で職人気質なので、キッチリしちゃうんですよ。例えばレコーディングとで「出来ない」とか「弾けない」とか言われると、「そんなのやって来いよ」「練習して来いよ」って思う。でも何十年も音楽をやってきて、やっぱりちょっと固すぎるなというのを自分で感じてて。自分の拘りでちゃんとやるのは良い部分なんですけど、部分的に抜いても良いかなというか、自由な部分があったもっと楽しいと思うようになって。今までずっと固くやってきた分、逆も良いなと見えるようになったというか。
高木:変えられないと思うよ。村瀬って、イメージ出来てるから最終形までデザインしちゃうんだよ。敦もそうなんだよ。
村瀬:そうなんですね。
高木:なんだけど、人と人とで作っているものだから、それは無理だって。だから、そう言うように人とやる時は楽しんだ方が良いと思う。
村瀬:そうっすね。昔は下手したら、人に言われた事はまずやらないみたいな。「オレが考えた方が良いでしょ」みたいなスタンスだったんですけど、いろんなバンドを経て今は自分でもわかるくらい受け入れる幅が広がったと思うんです。
高木:大人になったんだ。
村瀬:まぁ平たく言うと、大人になったのか。もしくは年食って柔らかくなったのかで、20年かかったんですね(笑)。
高木:かかりすぎだって(笑)。
村瀬:いいじゃないですか(笑)。面白くないっすか(笑)。
高木:そうね、かかっても今こうしているから(笑)。単に20年ってさぁ、1度も飲みに行った事がなかったのに普通…。
村瀬:急に連絡する(笑)。
高木:そう。だから、早速kojiにLINEしたもん。「村瀬が、なんか20年の歳月を経て呑みに誘ってくれてんだけど」って。
村瀬:(爆)。
高木:それぐらい、感動した。村瀬の対談話を聞いた時に、しかも酒でも飲みながらっていう。
村瀬:(笑)。
高木:でもvezのラストライブ来なくて。
村瀬:病欠です、あれ(笑)。
高木:オレ的には、それがあったのかなと思っていたの。ラストのライブに行けなかったから、村瀬的に何か伝えたいって。
村瀬:ああ、行けなかった事をね。
高木:というのがあったから、そうなのかなと思ったりしてたの。でも違うよって、どんだけピュアなんだ。
村瀬:(笑)。
高木:でも、今日はホントに嬉しかったよ(笑)。
interview & text Atsushi Tsuji (辻敦志)















