J「Limitless」インタビュー

- Jさん自身、これまでも体現して放ってきたことを敢えてアルバム・タイトルに題されたことは、尚も求めることをやめない所信証明のようにも受け取れます。

そうだね、もしかしたら「何カッコつけて言ってんだよ」って思う人もいると思う。でもね、イメージすることをやめないことっていうのは、次に向かう自分自身に対しての道標になっていくはずなんだ。目線ってよく言うけど、とんでもない世界を見てる人はとんでもない世界に行くんだよね。だとすればさ、見据えた先がいつもよりちょっと高めのイメージを持ったとしたら、世界中ものすごく変わっていくような気がするんだよね。もっと言えば、人間は想像する生き物でその想像力がなかったらさ、多分今ある日常の物も生まれてないんだよね。それって「何バカ言ってんだよ」って言われた、誰にとってもバカみたいな事を言った人が作っちゃったわけだから、その可能性ってすごくないですかっていうことだよね。

バンドとしてのカッコよさ

J

- この『Limitless』のアルバムアートワークには、その可能性のような表現もあったりするのかなと。安直ではないですけど、赤だったとしてもJさんらしさは出るけれど、そういった想いやイメージが詰まっている気がしました。

まさに。『Limitless』というタイトルを付けたときに、何もなくしたキャンバスの中に、聴いてくれた人が何を感じるのかなっていうものにしたいから、1番シンプルな真っ白にしたいと。それぐらい白い色が絶対的なイメージだったし、もしかしたら前のアルバムから繋がってるのかもしれないね。

- でも繋がりで言えば、アルバムの冒頭を飾る『the Beginning』からも繋がりを感じます。”永遠の炎”というキーワードから『eternal flames』、その炎自体は『PYROMANIA』からだとすれば、もはや炎を灯すプロのJさんからしたら、そういった連想は必然的だったのでは?

本当にね、そういうイメージで置いた言葉なんだ。1つのアルバムの物語を進めていく、開いていく扉としてはそのキーワードが必要だったというか。この4年間の時間を一緒に繋いでくれる言葉で、もっと言うと自分自身のキャリアも全部繋いでくれるような言葉がないかなと思ったとき、すっと閃いた言葉だったんだよね。1つのキーワードを探すのは結構時間はかかってはいたんだけど、このキーワードが降りて来たときにすごく腑に落ちて、ものすごい速度でいろんなイメージが始まったかな。

- アルバム制作あたって、『the Beginning』は最初の方にできた曲ですか?

仮タイトルでは『オープニング』って書いてるぐらい、この曲だなって思いながら作ってたし、曲のアイデアは初期の方にはあったんだよ。

- 制作のタイミングで、すでにアルバムの道標となるような存在になっていたんですね。

そう、それってすごい助かるんだよね。ずっとそういうものが頭の中にはあるんだけど、形にすることができない経験もしてるからね。当然、その4年間の中でいろいろな曲を書いているから、初期に書いた曲もあれば、アルバム制作作業の最終局面で出来上がった曲もある。そこに至るまでの自分の気持ちのセッティングとか、アルバム制作に向かうまでの自分に問いかけるようなことみたいなのは、その4年間の中で何度も何度も向き合ってきたから、いざ形にするっていうときには、もうその全ての儀式が終わって臨めた感じはすごくあったかな。

- そうやって『Limitless』に収められた楽曲は、敢えて”バンド”という言い方をしたいんですが、ロック・バンドとしてカッコイイ音が詰まっています。Jさん自身はLUNA SEAのメンバーでありながら、Jという”ソロ”ではなくあくまで”バンド”で熱量を惜しみなくサウンドに乗せていると感じます。

活動をする上で”J”っていう名前でしてるけど97年からずっとやってきたこと、自分が求めてたものっていうのは、バンドとしてのカッコよさだったと思うから。みんながイメージする、所謂ソロ活動とは違うものではあったのかもしれないけど、今回の『Limitless』もそのバンド・サウンドの更にカッコイイものを求めていたのは事実だよね。バンドってカッコイイし、まだまだスゲェんだよっていう想いの中で作ってた感じは常にあったし。

- 時代的には、ジャンルという言葉がもはや不健康なくらいにクロスオーバーし合っています。それでも『Limitless』で鳴らされた確固たるロックには、Jさんだからこその自信や覚悟、日本語にすると重く感じますが第一線でいる責任みたいなものまでも感じるんですよね。

そうだね。ずっとやってきたからこそ、鳴らすべき音はあるかなってすごい思うし、更に言えば、どんどん自分がシンプルになってってる気がしてるんだ。バンドってドラムとベースとギター、これしかいないんだよね。でもそれで良いし、この中でカッコイイ音がまだまだやれるよっていう。昔はね、可能性を求めて例えば打ち込みもその1つだったし、カッコイイものだと当然理解はしてる。だけど、今自分がやりたいなと思うことは、よりオリジナルなフォーマットに忠実なままで、その中での勝負をしたいんだよね。縛りではないけど「ギターとベースとドラムしかないんだけど、どう?」って言われても、スゲェカッコイイ音が鳴らせるヤツでありたいなってすごい思うんだ。「これで何ができるの?」って言われたときに、そこにはバンド・サウンドのマジックというものを経験してきてる以上、メンバー間の呼吸やグルーヴ感を追い求めて表現できる無限さがロック・ミュージックにはあるからね。

- しかも今のJさんは、ごく自然に対峙できている状態ですよね?

そうなったんだよね。俺自身にとっては顔洗うように、歯を磨くように、洋服を着るように、日常生活の中にあるようなものの1つとしてバンド、ロック・ミュージックがあるからね。特に今は、そういうものにしか惹かれなくなってっているのが事実なんだ。音楽的なプロセスも、時代によっていろいろと変わってくるわけじゃないですか。例えばだけど、昔のミュージシャンは巧いって言うけど、昔のミュージシャンは巧くないとダメだったんだよね。録り直せないし、今みたいに「後で直しておくから」なんて、気軽にできないから。そういう意味では、今の簡単に修正できる世界をあんまり信じていない部分があるんだよね(笑)。

- ぶっちゃけましたね(笑)。

音楽でも写真でも映像でもね、どの世界でもそう思ってる人は沢山いると思うよ(笑)。だけど俺たちが見て来た、俺たちが撃ち抜かれてきたものっていうのは、そういうものじゃなかったから。「マジかよ!」っていうものも実際にナチュラルに存在してて、見てきたし聴いてきたわけだから、そういうものを追い求めていってしまうのは仕方がないよね。

- それを裏付けるわけではないですが、『Limitless』にはツアーバンドのメンバーでもあるmasasucksさん、ごっちん(溝口和紀)さんが作曲でも参加されています。それは先程も仰られた”偶発的なバンドマジック”を求めたからですよね?

J

そう、あとはここ近年、彼らの一ロッカーとしても一ミュージシャンとしても、その成長の度合いが素晴らしいですよね。もっと言うとギタリストとしても演者としてもそうだし。俺より若いんだけど、自分たちの世界を以ってして、そのポジションを作り上げていってる。近くにいるからこそ、それはものすごく頼もしく感じることだし、そのエネルギーが欲しいし貰いたいといった想いはあったんだ。お互い、ライヴのあの大音量の中で会話なんてできないけど、音楽の会話っていうのができるというか。それはとても贅沢だしありがたいことだなとすごい思って。長い間、彼らが俺と一緒に活動して、彼らなりに俺自身を透かして見て作ってくれた、素晴らしい楽曲だったと思う。

- それでいて、『Limitless』に収まったときに”誰々の曲”っていう色眼鏡が皆無な程、ストーリーに絶対的に必要な楽曲になっています。そのストーリーで言えば、例えば『at Midnight』の一節にある”探していた 愛の歌”は『Love Song』を指してくれているような、ドラマ性もあるのかな思ったのですが?

後から自分で気付いてびっくりするんだよね(笑)。曲によって、この4年間の中で書いたタイミングは結構違うんだけど、不思議と言おうとしてることや伝えようとしてることが、こうやって集めていくと重なっていって。今回のアルバムは特にそれが多くて、自分が次に向けて何かを探して、次に向けて進んでいこうとする想いが、すごく強かったのかなって思うんだよね。そういう熱い想いは、自分自身の力にもなるし、聴いてくれた人たちに対してのメッセージに変わっていくと思うから。実際、アルバムのドラマ性みたいな部分っていうのは、すごくこだわった部分ではあるんだよね。いろんな聴き方が出来る時代だけども、アルバムを最後まで聴いてくれた人には、作品としてメッセージや個々の楽曲だけでは味わえない印象をパッケージしたいなって思ったし、今回はそれがうまくいったと思うよ。

感じてもらうことに対しての限界もない

- その『Limitless』を届ける前に、新曲がプレイされている『J LIVE TOUR 2019 -THE BEGINNING-』がスタートしました。

ものすごい手応えを感じてますね。逆に幸せだなと思ったのは、何の先入観もなくライヴという会場で新しい曲を聴いてもらえるというのは、ものすごい希少な体験をさせてもらってるなというか。会場の空気もまっさらなときに「どうやって変わっていくんだろう?どういう風に会場の温度が高まっていくんだろう?」って感じながらプレイもできるし、もっと言うと新曲をプレイするときって、俺たちも緊張してる部分がある中で喜びもある。そういういろんな感情が会場の中に渦巻いてる中で演奏できるのって、なかなかないことだよね。

- しかも、反応が何よりもダイレクトですよね。

ある意味、それはラッキーかなって思うし、このツアーの中でリリースされるというタイミングは、最大限自分たちもエンジョイしたいなと思ってます。

- 今インタビューさせていただいて思ったんですけど、例えば水は渡すと元の容量は減っていくわけですけど、Jさんが灯していってる炎って、渡しても元は減らないっていうか、むしろ渡された側に炎の限界は委ねられてるっていうか。Jさんがロックという炎を灯し続けることに限界はないと伝えてくれたように、『Limitless』で受け取った炎は、やっぱり限界がないんだろうなと。

そうだね。俺自身がロック・ミュージックに対して、イメージすることに対して限界がないと感じたのと同時に、やはり感じてもらうことに対しての限界もないわけだから。お互いそういうテンションで、何か向かってったときに最高なものを見れたり感じれたり、生んでいけたりするのかななんてすごく思うんですよね。是非ね、このアルバムを手にしてもらって、この時代にそのきっかけを掴んでもらえたら嬉しいな。


インタビュー:2019.07.10
text Atsushi Tsuji(辻 敦志) @classic0330
photo Yoshifumi Shimizu

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CD+DVD/Blu-ray+スマプラ, PHOTO BOOK, 三方背ケース仕様
上記CD+DVD/Blu-ray+スマプラ仕様に加え、J LIVE TOUR 2019 -Voyage 2019- 初日のEX THEATER ROPPONGI公演ライヴショットを中心とした全80ページの写真集を付属した、豪華スペシャルパッケージ。
[価格]¥10,000(税別)

 

J LIVE TOUR 2019 -THE BEGINNING-

7月6日(土) 岡山 IMAGE 終了
7月7日(日) 福岡 DRUM Be-1 終了
7月13日(土) 金沢 AZ 終了
7月15日(月祝) 仙台 darwin 終了
7月21日(日) 札幌 cube garden 終了
7月27日(土) 大阪 BIGCAT
OPEN 17:15 / START 18:00
INFO: YUMEBANCHI 06-6341-3525
イープラス
チケットぴあ 0570-02-9999[Pコード:147-916]
ローソンチケット 0570-084-005[Lコード:55773]
7月28日(日) 名古屋 CLUB QUATTRO
OPEN 16:15 / START 17:00
INFO: サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
イープラス
チケットぴあ 0570-02-9999[Pコード:149-227]
ローソンチケット 0570-084-004[Lコード:41709]
サンデーチケットセンター 052-320-9000
8月11日(日祝) 東京 マイナビBLITZ赤坂
OPEN 17:00 / START 18:00
INFO: SOGO TOKYO 03-3405-9999
イープラス
チケットぴあ 0570-02-9999[Pコード:149-550]
ローソンチケット 0570-084-007[Lコード:72012]
8月12日(月振) 東京 マイナビBLITZ赤坂(ファンクラブ会員限定)
OPEN 16:00 / START 17:00
※ファンクラブ会員限定公演の為、一般発売はございません。
INFO: F.C.Pyro. 03-5759-1488
チケット(税込/ドリンク代別):¥5,300

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